プロローグ ~少女との出会い~
最初の投稿ということで緊張が……。
Enterを押す人差し指が震えてるのは、武者震いと思いたい。
「あなたの夢、覗かせてもらえませんか?」
四月七日、俺がこの高校で迎える二回目の入学式。
去年の今日と比べると、驚くほど関係のなくなった行事終了後、唐突に向けられた言葉に若干の驚きと戸惑いの反応を見せる俺こと浦隼人。
中学一年から高校一年までの間で、女子と会話をした時間をすべてつなぎ合わせても、カップラーメンが丁度いいくらいに出来上がる時間しか経たないくらい短いだろうなと考えていつも溜息をついている俺に、まさか高校二年の新学期初日という特別な日に声をかけてくる女性が現れるなんて思いもしなかった。
上の階から降りてきたということは、恐らくは先ほどの入学式で、行列をなして先輩方の間を歩いていった憂いらしい後輩の一人だろう。
腰までとどくかと言うほど長い黒髪を左右に揺らしながら彼女は俺が立っている場所と同じ段差のところまで降りてきた
遠近法で気がつかなかったが、身長は結構高い。俺自身、学年の中で背の高いグループに属しているが、彼女は俺と肩を並べるほどだ。百七十は確実にあるだろう。
「お答えを」
「……ん?」
「私の願いに対するあなたの答えを要求しているんですよ?」
「……」
うん、声も悪くない。凛と透き通った声が、俺の五感すべてに浸透していくような感覚を覚える。
「サン、ニ、イチ……」
「え? 何――」
「ゼロ。はい、ドーン」
視界が逆転した。
嫌な浮遊感が、体全身を包み込む。
その理由が、階段から落ちたせいで生まれたということに気づくのに1.1秒、その犯人が、階段の中腹に立っている彼女だと気づくころには、俺は背中から廊下に落ちていた。
下校途中の人たちも行き交う中、どうやら俺は階段で後輩の女子にグーで殴られたようである。……え、なんで?
「レディを待たせるなんて、男失格ですよ、隼人先輩」
もう一度いいます、と、コチラに向かって満面の笑みを浮かべながら、
「私の名前は雨沢夢美と言います。あなたの夢、覗かせてもらえませんか?」
ここで、「な……なぜ俺の名前を知ってるんだっ!」なんてセリフが吐けたら、将来は俳優か警察官、もしくは探偵なんかになれていたかもしれないが、俺が考えていたことはただ一つ、……背中が物凄く痛いということだけだった。
最初は乗りに乗って、早めの投稿になると思いますが、最低でも一週間に一度は投稿出来たらと思います。
応援のほう、よろしくお願いします。