転生
名前 イデア・イース・キャメロット
種族 人間
性別 女
身長 155cm
好きなモノ 魔法・食事・研究
嫌いなモノ 特に無し
容姿 長い黒髪・金色の瞳・童顔
【備考】
勇者パーティの魔法使い。神と恐れられる魔神に挑む勇者パーティの1人であり、人間基準では化け物と呼ばれても仕方ない存在。
元々は魔術が好きなおてんば王女だったが、幼馴染の少女ノエルが勇者になると決まり、一緒について行くと決めた。
旅の途中で魔術師から魔法使いになり、誰よりも早く人間の領域から逸脱したパーティのまとめ役。ノエルは勇者だがどちらかと言うとパーティを振り回す方の人間だった。
魔法使いではあるが、素手の殴り合いで戦士をしていたカインを倒した事がある。
その圧倒的な破壊力と攻撃性により、人々から厄災と恐れられた魔神は勇者ノエルとその仲間によって討たれた。
魔神討伐戦は熾烈を極め、魔神は死の直前勇者一行を巻き込んで自爆し、勇者一行の魔法使いイデアは世界の理を書き換え、魔神の一撃から自分以外の仲間全員を守り、魔神と共に次元の狭間に消えて行った。
(ここは……)
イデアが目を覚ますとそこは何も無い暗闇、身体を動かす事も声を出す事も出来ず、ただただ静寂の中にいた。
そして、足から何かが這い上がってくるような不快感、そして這い上がってくるたびにその部分に耐え難い痛みを感じた。
(私は……確か魔神の最後の一撃で……)
魔法はシンプルであればある程その効力を増し、制限を設ける事で一時的に効果をブーストする事も出来る。
イデアは『仲間を守る』というシンプルな効果で魔法を発動させ、それでも守れる気がしなかったが故に、仲間の訳から自分を除外して自分は攻撃を受ける事で、背後の仲間を守る強固なバリアを展開した。
当然、それによりイデアは跡形もなく消滅した。
(消滅したはずなのに、何で私はまだ生きて……いや、あの世の可能性だってあるか。天国も地獄も無い、ただの真っ暗闇だけど)
イデアが何も無い空間を歩き出そうとすると、突然手足を鎖で繋がれ、どこからともなく声が聞こえて来る。
『新しい……器』
「器?」
状況からその声の主が魔神であるとおおよその見当を付け、『新しい器』という単語から魔神は死体を渡る、もしくは死者の魂と結びついて復活する生物で、半ば心中したイデアが器にならざるを得なかったのだと結論付けた。
「知性があるなんて驚いたよ」
『新しい器……君に、あげる』
「え?」
『全部……間違えた……』
魔神は神などではなく、極めて強力な魔法を使う限りなく不死に近い生物であり、理性は愚か知性すら持たないと思われて来た。
しかし、心中して転生の器となった事で初めて魔神の思考を理解する事となった。
魔神は人間を滅ぼそうと暴れていたのではなく、遊びたかったらしい。しかし、あらゆる能力が桁違いの魔神は全力で走るだけで衝撃波を発生させ、戯れようと相手に触れればぐちゃぐちゃにしてしまう。
それでも諦めずに力加減を学ぼうとしているうちに人間を殺し過ぎてしまい、魔神として恐れられるようになってしまった。
その結果、人類最強の勇者が討伐にやって来てほとんど不死とは言え、防衛の為に戦って負けた。
魔神は元々死の間際に派手に散る習性があり、その理由は次の器を作り出す為、生物の構造として組み込まれているものだった。
「それで、どれだけ訴えかけても言葉は通じず、遊ぶつもりも殺すつもりもなく防衛してたら殺し切られちゃって、生物としての繁殖……で良いのかな?まあ自爆で私を殺した事でもう諦めたと」
『諦めた……僕には人は……難しい。だから、あげる』
「君の匙加減で人格の主導権とか渡せるもんなんだね。前の主はどうしたのさ」
『僕が触れたら……消えた』
魔神の魂も当然桁違いであり、普通ならば人間が器になった時点で魂の情報は消滅して器だけが残り、そこに魔神が入るというのが基本になる。
しかし、イデアは魂が通常の人間の比にならない程に強く、魔神が触れても消える事が無かった。
魔神は人間が好きだが、言葉が通じる訳でもなく、身体能力が違い過ぎて何をしても裏目に出るのでイデアに人格を渡し、初めて会話した人間であるイデアに渡す事にした。
本当はやっと言葉も意思も理解したイデアと遊びたかったが、イデアは自分が殺してしまって肉体が無い。だからイデアと話しをするだけで良いと考えた。
『生まれ変わる……新しい身体』
「圧倒的最強の肉体があっても孤独は辛いか。まあ、話し相手くらいにはなるよ。殺したのは私達だしね」
『うん……話し相手』
魔神は穏やかな声でイデアを受け入れると、イデアは心地良い眠気と共に意識を投げ捨てる。
目を覚ますと、そよ風が吹く広い草原で寝転がっていた。
「死んだ場所で復活するわけじゃないんだね」
(生まれる場所は……いつもバラバラ)
「そうなんだ」
イデアが身体を起こすと、足が人間ではなく4本指の肉食獣のものになっていた。その足は紛れもなく魔神のものだった。
魔神はヤギの頭、鋭い爪がある屈強な前足、獅子の下半身、大鷲の翼があり、首元・手首・足首・獅子の尾の先に青い炎が灯る巨大な獣。
イデアは自分の姿を確認すると、足こそ魔神ものだったが、全身が魔神の姿をしていたわけではなかった。
頭にはマルコポーロヒツジのような角先が外に向いた巻き角と羊耳、長い天然パーマの白髪と金色の瞳に、白い体毛に覆われた鋭い爪がある手、白い獅子の下半身、腰に大きな白い大鷲の翼が生えていた。顔や身体も白い体毛に覆われたキメラの獣人のような姿をしていた。
大きさは生前のイデアとほとんど同じであり、魔神の様な巨体は無い。
(僕の魂と……君の魂……同じくらい、強かった)
「本来は魔神の肉体になるところが、私と君の魂が同格だったから混ざったと」
(うん)
体毛で覆われているものの、人間と違って局部は逆に体毛が薄くなるのが動物である為、イデアは魔法で服を作る。
腰に翼が生えているのでヘソ出しで背中が大きく開いたノースリーブ、脚の骨格が人間では無いので裾にいくにつれて幅広かつ動きやすさの為に裾を足首にフィットさせるズボン、爪を仕舞い黒い手袋で覆い、折り畳んだ翼を隠すように肩落としのロングコートを作り出す。
「どうよ」
魔法で鏡を作ってその前で回ってみる。
(うん……うん?)
「分からないか。そう言えば、君って名前とかあるの?」
(アザルエール……最初は、そう呼ばれてた)
「じゃあアルルで」
(アザルエール……だよ?)
「略称、あだ名だよ。可愛いでしょ?」
イマイチ理解してないアルルだったが、イデアは略称として綺麗にまとまってるし、響きが可愛いからとそう呼ぶと押し切った。
「さて、どこに行こうか」
鏡を消し、腰に手を当てて辺りを見渡す。
よく見渡してみればその草原は高い山々に囲まれ、他の動物すら居ない秘境と言える場所だった。
「よし、あっちに行こう」
(何があるの?)
「知らない」
(えぇ……)
ノリと勢いで行先を決めたイデアは翼があるにも関わらず、颯爽と歩き出した。
何のことはない、今まで無かったもの故に忘れていたのだ。
「魔神が討たれ、私が死んだ後の世界か。ちょっと楽しみだよ。そもそも、死んでから復活するまでどのくらい時間経ったの?もう1000年とか経ってたり?」
(復活には10年かかるよ)
「じゃあ死んでから10年か。色々と復興も進んで、魔神を倒したノエルは超有名人になってるんだろうな」
そんな呑気な事を考えながら新たな魔神となったイデアは旅に出た。
徒歩で旅に出てから3日が経ち、イデアはある疑問が確信に変わっていた。
イデアの今の身体は食事の必要が無く、睡眠の必要も無く、疲れる事もない完全無欠なものになっていた。
逆に言えば、食事をしても消化器官が無いのでら吐くしかなく、目を瞑って何時間経とうとも眠る事は出来ないとも言える。
「食事出来ないのは退屈だなぁ、娯楽が乏しい」
(食事?)
「完全性を捨てちゃおうかな」
(どうやって?)
「自己改造だよ」
この世界には魔術と魔法がある。
魔術とは魔力をエネルギーとして消費する技術の総称であり、魔法は魔力によってこの世の理を改変する人の領域を超えた奇跡。
魔術で肉体を改造しようとすれば、身体を切り開いて別の臓器を繋ぎ合わせたり、ツギハギになるだけでなく適合しない臓器を移植する事は出来ない。
しかし、魔法はこの世界に干渉するものである為、ノーリスクで肉体を別の形に変換する事ができる。
ただし、魔法は本来、個人が使える様な代物では無く、魔法特有のルールもある。
魔法は世界を書き換えるものである為、世界そのものが改変を修正する力が発生する。それにより、改変が複雑になればなるほど、範囲が広ければ広いほど修正しようとする力が強くなり、効果が弱くなる。逆に言えばシンプルかつ狭い範囲であればあるほど強力になる為、イデアは魔神と心中する道を選んだ。
それでも、並の魔術師では何百年かけても辿り着けない境地になる。
「自己改造は範囲が自分のみ、尚且つ今回の場合は不要なモノを取り付けて完全性を失うからもっと簡単になる」
(魔法は……難しいんじゃないの?)
「魔法は難しいけど、私は魔術師じゃなくて魔法使いだからね」
イデアは自己改造の魔法により、人間の構造を手に入れた。それによって食事の必要性も睡眠の必要性も生まれ、完全な肉体では無くなってしまった。
「弱くなったけど、そもそもが平和な……」
イデアが言葉を言い切る前に、近くで爆発音と巨大な爆煙が立ち昇る。
「平和な……はずだったんだけどなぁ」
(祭り、かな?)
「いつもそんな感覚で乱入してたの?アレは戦争だよ。人間同士で殺し合ってんの」
(どうして……)
「人間っていうのは、争いなくして生きられない愚かな生き物なんだよ。そのくせ単一では貧弱だから、群れて戦って規模を拡大してしまうのさ」
イデアは爆煙の方に向かい、木陰から戦場を覗き見る。
魔術師と兵士が入り混じる戦場で、イデアは単純に感動していた。
「見た事ない兵器が沢山!これが人間の10年の進歩か」
(楽しいの?)
「魔法使いではあるけど、元々は魔術師であり、魔力の研究者だからね。魔力の技術革新というのはとても興味深いというか、興味をそそられるんだよ」
魔力を筒に装填して撃ち出す兵器を用いた戦場は10年前よりもかなり激しさを増し、凄惨さも増していた。
技術革新には感動したものの、やはり戦争を見て見ぬフリをするのは勇者パーティの魔法使いとしては到底出来なかった。
「アルルには悪いけど、これは干渉させてもらうよ。スローライフも良かったけど、どうやらこの世界は天敵を失って力の矛先を自分達に向け始めてしまったらしい」
(イデアがやりたい様に、すると良いよ)
撃ち合う戦場になった事で、明確に陣営が分かれており、イデアにとってはとてもやり易い戦場となっていた。
イデアは白い半透明の壁を両陣営の中間位置に発生させる。その大きさは山脈の如く、極めて広範囲にわたって戦場を断絶させていた。
(広い範囲では、使えないんじゃ……)
「そんなこと言った覚えないけど?」
効果はシンプルだが範囲は広い今回の魔法は、消費魔力が多いが発動出来ないわけでは無く、心中した時のバリアよりもかなり脆い。
しかし、魔法であるが故にそこにあるのはただの壁では無く、空間を隔てる境目である。空間を歪める程の莫大なエネルギーでも無ければ突破不可能なものだった。
「心中しないと防ぎ切れなかったアルルの自爆が凄いだけで、魔術師だとこの範囲の魔法すら突破不可能なんだよ。魔術は魔力を使った技術、魔法は世界の書き換え、そこの差が埋まる事は絶対に無い」
(イデア、もしかして、凄い人?)
「多分そうだね。勇者パーティっていうのは全員が人間の領域から逸脱した存在だからね。勇者は光速で動けて次元を切り裂き、僧侶はどんな怪我も治して肉体と魂さえ確保出来れば死者すら蘇らせる、戦士も剣の一振りで山を更地に変える。私も止まるんじゃなくて殺すつもりならここら一帯の空間を世界の修正力を利用して消滅させる事も出来る。人間基準なら化け物さ」
そんなの存在が4人いても魔神単体にほぼ互角であり、イデアは命を落としている。アルルは自分が強い事を自覚しているが、どのくらい強いのかは理解し切れていない。
「さて、こんな壁一つ作ったところで戦争は止まらない。終止符を打ちに行こうか」
(どうするの?)
「話し合いだよ。力で解決すると、後々問題が発生しちゃうからね。さ〜て、どちらにしようかな〜」
イデアはどちらの陣営に向かうかを適当に決め、軍の司令官の場所に向かって飛ぶ。イデアはこの3日で翼がある事に慣れて、飛ぶ事を覚えたので新しい技術を使いたくてうずうずしていたのでちょうど良かった。
名前 イデア・アズライール
種族 魔神
性別 女
身長 153cm
好きなモノ 魔法・食事・研究
嫌いなモノ 特に無し
容姿 白い長髪の天然パーマ・金色の瞳・ヒツジの角と耳・大鷲の翼、獅子の下半身
【備考】
一度死んで転生した事で王女としての名前を捨てて、アザルエールから少し変えて新しい名前とした魔神。
パーティのまとめ役だっただけあって面倒見が良く、ずっと1人で恐れられたりしていたアルルの友達として、今は野良の魔神として生きている。
アルルよりも格段に力加減が上手く、暴走することも無いが、魔神というだけで恐怖の対象になるとしてあまり世俗に関わるつもりは無い。
やっぱり魔法より殴り合いの方が得意らしく、魔法は趣味だとしている。




