1/2
第1話 事故を起こしたの!
父は同じことを何度も言うし何度も聞く。できる限り答えようと思う。父は目を見開きながら「しつこいねぇ!!」「聞かれたから答えてるんでしょうが!!」と私。
私は父が「さっき言ったこと聞いたこと覚えることができなくなっている」と感じていた。まあね、歳を重ねるとね。まあね。
そして鼻がムズムズするある日。
「お風呂入ろ」と階段を降りると客間から声が聞こえた。父と母がいる。ああ、昨日お墓参り行くって言ってたね。帰ってきたんだ。
二人が並んで座り、母がスマートフォンで話してる。だれと話してるんだろう?母の顔は怖く眉間に皺が寄っていた。父はなぜかニヤついていた。
なんなんだろう?
対照的な二人が、気持ち悪くて不気味だった。私は母の電話に耳を澄ませた。母が私に向かって「事故を起こしたの!」「え!!」マジでかぁ。。
免許を持っているのは父。父が事故を起こしたのだ。そうだったそうだった。事故は突然起こるものだった。思い出した。ちょっと忘れてた。
そして「免許返納」の怒涛の日々が始まった。




