Lv.4 体力テスト
初めまして、VETです。
小説を書くことに関して初心者なので、ご意見・ご感想お待ちしてます。
よろしくお願いします。
身体中が軋む朝だった。
階段を下りるたびに脚が重く、腕も肩も張っている。でも、嫌な痛みじゃなかった。むしろ――自分の努力の証みたいで、誇らしさまである。
「今日も、頑張るぞ……」
あの公園でのトレーニング以降、僕は毎日身体を動かした。帰り道に遠回りして走ったり、放課後は公園に行って筋トレをしたり、河川敷を走ったり、夜でも自室で筋トレをしたり。誰にも見られず、誰にも知られず。
その積み重ねの結果ーー
【ステータスが一定値に達しました。称号『凡人以下』が称号『並以上』に進化しました】
あれは確か、レベルが4になり、ステータスの合計が45を超えた頃、そんな声が聞こえた。
ーーそして僕の今のステータスがこれだ。
名前:渋谷翔
年齢:15
職業:高校1年生
レベル:6
ステータス
知力:12
体力:25
筋力:25
感覚:12
魅力:11
運:11
不明:ー
ステータスポイント:0
スキル:
『数学理解Lv.2』『英語理解Lv.2』『化学理解Lv.2』『日本語理解Lv.2』『料理Lv.2』『持久Lv.3』『筋操作Lv.3』『反復Lv.2』
称号:『並以上』『挑戦する者』『諦めない者』
ステータスの合計が86になった。称号の進化条件的に、平均の合計ステータスは45くらいで、各ステータスの平均は7、8くらいなのだろう。そうなると今の僕は平均の二倍弱になり、筋力と体力は3倍強になった。まさしく”並以上“になったのだ。
ーーー
そして迎えた体力テスト当日。
教室に入ると、みんな少しソワソワしていた。体育の時間が近づくにつれ、空気が少しずつ引き締まっていく。
僕は静かにジャージに着替え、深呼吸する。
「……大丈夫。頑張ってきたじゃないか」
ーーー
体育館と校庭を使って、順番に測定は進んでいく。
一種目目、反復横跳び。
正直、僕が一番苦手な種目だ。以前は右足がもつれて5秒で転び、みんなに笑われた。
でも今は違う……!
僕はイメージしながら立ち位置に入る。
そしてーー“スキル『持久』『反復』『筋操作』”!!
ちなみにそれぞれのスキルの効果はこんな感じだ。
『持久』:パッシブスキル
疲労しにくくなる
効果はレベルに依存
『反復』:パッシブスキル
繰り返し行うことの効率が繰り返すほど上昇する
効果はレベルに依存
『筋操作』:アクティブスキル
任意での筋力調整が可能。一時的にステータスを超えた筋力にも調節できる
効果はレベルに依存
それをフル活用してーーー
「よーい、始めっ!」
右へ、左へ。リズムを保ち、『筋操作』で踏み込む足の強さを上昇させる。
脚がブレない。体がついてくる。前は何度も引っかかった脚も、今はちゃんとついてくる。
「はい、終了!」
体育教師の後藤がストップウォッチを止める。
「……おっ、君、良い動きするね。ん、91回?凄いぞ!60回超えたら凄いのに、ギネス超えてるんじゃないか....?君、名前なんて言うんだ?」
「し、渋谷です....」
ざわつく周囲の視線が突き刺さる。
「えーーー!?あの子渋谷だったの!?」
「あの渋谷?……マジ?」
「全然前と違うじゃん....背も顔も...」
「あの子転校生かなって思ってたけど、まさかあの渋谷だったなんて....」
中学の顔見知りが次々に言う。
何を言ってるかは分からないけど、驚いてるのはわかる。
ふふ、これからもっと驚け!
ーーー
その後も翔は、普通の高校一年生、いや一般人にはありえない数値を叩き出していく。
ーーー
三種目目、上体起こし。
「112回...!?」
ーーー
4種目目、握力測定。
「右、100キロ.....左、100キロ.....」
「振り切れてる...これ壊れてんじゃねぇよな....」
周りの顔が引き攣っていく。
「……渋谷君、何かスポーツでもしてるのかい....?」
顔を引き攣らせながら言う先生に、僕は少しだけ笑って言った。
「ちょっとだけ、頑張っただけですよ」
ーーー
そして、別日になったが、いよいよ最後の種目――1500m持久走。
これこそ、過去の僕が一番逃げていたもの。完走できなかった数だけ、自信を失ってきた。
でも、今は違う。ぶっちぎってやる。
笛の音が鳴った。
走り出す。
軽い、軽い、足が軽い!
『持久』がLv.3に上がったおかげか、ほとんど疲れない。そして、筋力アップのおかげで一歩も大きくスピードも速い。
「2分32秒!!」
視界の端に、クラスメイトが僕を見て話しているのが見える。
「渋谷、どうしたんだあいつ……」
「隠れて筋トレしてたのかな」
「筋トレとかのレベルじゃねぇぞ……」
「明らかに“レベルアップ”してる.....」
息は上がってる。でも、同時に笑いが込み上げる。
僕はついに、「何もできない自分」を超えたんだ。
ーーー
ーー数日後、とある話し合いがあった。
「神宮寺さん、うちにすごい生徒がいたんですよ」
「どうした藪から棒に。すごい生徒ってこれまた抽象的だな」
そう話し始めたのは、渋谷翔が通う高校の体育教師、後藤。答えるは、英星学園高等学校の理事長、神宮寺だ。
英星学園は、日本で1、2を争う名門校。卒業生はその大半が世界に名を残す偉業を成している。学科は学進科と体進科があり、そのどちらも入試難易度は凄まじく、体進科に至っては、学進科と同等の筆記テストに加え、厳しい体力試験がある。そして、学進科の定員が80人であるのに対し、体進科の定員は20人である。故に、毎年倍率は100倍を超える異例の入試となっている。
「この渋谷って子の体力テストの結果を見てください!」
そう言って渋谷の体力テストの結果を見せた。
ーーー
体力テスト結果 渋谷翔
握力:右100kg 左100kg
上体起こし:112回
長座体前屈:56cm
反復横跳び:91回
1500m持久走:2分32秒
50m走:5.03秒
立ち幅跳び:4m12cm
ハンドボール投げ97m
ーーー
「どうですか!?どれも世界で通用するレベル!私には、この子がうちの高校で貴重な高校3年間を送るのは、もったいないと思うんです!」
興奮して言う後藤に、神宮寺は落ち着いて言う。
「それは....こういうことか?その渋谷君を、英星学園に推薦入学させろと...?」
「んぐっ....そういうことになります...」
「ごめんごめん、そう怖がらないでくれ。可愛い後輩の頼みだ、前向きに検討しよう。まずは、その渋谷君をこの目で確かめないとな...」ーーー
こういう設定はすごく大好きです。
たくさんの物語を読んできましたが、この作品もまず自分が面白いと思える作品にしたいと思っています。