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酒豪日和  作者: 爛伽
1/1

霧島

「にぃちゃん知ってるかい」

隣の席の見知らぬおじさんが俺に話しかけて来た。

「人間は20を超えたらうえから薬を処方されんだ。

そいつが仕事、人間関係なんのその。全部の嫌に対して効果を発揮するのよ。」

「じーさん、その薬とやらは俺らが今手に持ってるこれかい?」

ニッと笑って派手にそれをぶつける。

「乾杯!」

とどのつまり、薬は酒だ。


俺は酒井桐島。

どっちも苗字みたいな名前だが本名だ。

親父が酒好きでお袋にバレないように1番好きな酒の名を冠した名前にしたらしい。そいつの名は

「霧島」

大体の酒屋、なんならドラッグストアの酒コーナーにも置いてあるなんてことのない芋焼酎だ。だがまるで分身かのように思えるこいつは俺にとって特別なお酒のひとつだった。

「今日は飲んじゃうか」

余談だが家に1人、田舎から上京してきてはや10年程、1人飲みは俺の大切な時間だった。

俺流焼酎の楽しみ方で頂く。

まず選ぶ。

霧島酒造の酒は多岐にわたる。フルーティーな茜、ガツンとくる黒、甘みのある金、バニラの方な芳醇さのある〈玉〉金。葛藤に葛藤を重ねる。

今日は茜霧島に決めた。

次はグラス選び、と言っても俺の中でもう決まってしまっているのだが。飾らない、底が六角形のガラスのグラスだ。グラスをキンキンに冷やす。その間に風呂に入る。あがったら準備完了って寸法だ。


時は満ちた。火照ったで早急に準備をする。

グラスを出す。そしてゆっくり注ぐ。溢れんばかりの香りを堪能するのだ。注ぎ終えたら少し待つ。

グラスの冷気が酒に移るのを待つ。

冷えすぎると味は分かりにくくなる。

常温だとぬるすぎる。

だからこうして完璧なタイミングを待つ。

そして時がきたら、少しずつ、味わいながら飲む。

と見せかけてグビっと一気にいく。

旨みががつんっとくる。喉の奥からえもいえぬ旨みが押し寄せてはかえる。まるで海の波だ。

2杯目からは繊細な旨みを堪能するため少しずつ飲む。

まるでジュースのような味わい、だがその奥には焼酎としての矜持を誇示するかのような深い味わい。

とても贅沢な気分だ。例えるならハンバーグから出る肉汁が全て口の中に入ってくるような、そんな感じ。

(俺の例えは分かりにくいと飲み仲間によく言われる)

気持ちよく酔って、まるでプールの上に浮かんでいるようで心地よかった。

部屋を暗くし、カーテンを全開にしたら完璧だ。

俺の城はきっと世界で今1番幸せな空間だと思えるほどに。

お酒の話を描きます。

おすすめのお酒がありましたら教えてください。

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