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第3話 悪夢?

また、遅れてしまいました……。もう更新日決めるのやめます。

「タクミ、なんだよコレ?」

 見せつけられたノートには、『ケイスケ死ね』と書かれていた。

「ち、違う!これは誤解で…!」

 俺は必死に言い訳をする。

 しかしケイスケは「お前のこと信頼してたのに」と言って暗闇の中へ消えてしまった。

 松部ケイスケ。幼稚園の頃から親友で、お互い気を使ったり協力し合ったりしていた。

 けれどあの時、彼女らしき女と歩いているところを目撃した。

 絶対大人になるまで彼女禁止と約束していたのに……。

 その事に腹が立ってさっきの状況に至る。

 約束を破ったのはケイスケなのに、なんで俺がこんな目に!

 自然と悔し涙が溢れ出す。

(俺は悪くない、ケイスケのせいだ!俺は悪くない、ケイスケのせいだ!俺は悪くない、ケイスケのせいだ……)

「――っ!」

 はっとして、目が覚めた。

 荒い息を吐きながら、ぼんやりと床に落ちている剣を見つめる。

 頬を伝う涙に気づき、指で擦った。

 夢の内容は中三の時の事だ。

 けれど、胸の奥に残る痛みはまだ消えない。

 あの夢の事を考えていると、「ドンドン! ドンドンッ!!」と壊れそうなほどの勢いでドアが叩かれる音が、静まり返った部屋に怒鳴り込むように響き渡った。

 心臓がびくりと跳ねる。まるでケイスケが夢から飛び出してきたみたいだ。

「ちょっと助けてくれ!」

 ドアの向こうから聞こえてきたのは、何かに怯えているセウィロウの声だった。

「ど、どうしたんですか?」

 呻き声が聞こえたあと、「今なぁ」と泣き声みたいな声が聞こえる。

「敵が家の前にいるんだ、しかも二体も!」

「!?」

 あまりの衝撃で声がでなかった。

 え、こんな森の奥なのに敵二体!?絶対狙われてるだろっ!!

「この部屋に新品な剣があるだろ?それ持って行って倒すの手伝ってくれ!!」

 そう言った後、何も無かったようにいきなり静かになった。

(新品の剣って何だ……?)

 部屋にある剣を漁る。どれも錆びていたり折れているのばっかだからどこにあるのか先が見えない。

「これも違う…これも違、あった!って、折れてるじゃんか!」

 見つけたと思ったら折れていたり、裏側だけ錆びていたりの繰り返しでストレスが溜まる。

「あ」

 四本ぐらい剣を退かしていると、一本だけめちゃくちゃ光っている剣を見つけた。

 慎重に持ち手を持つ。片手で持つと重さがずっしりきたので片方の手も添える。

 剣先がまるで本物のゲームみたいに七色に光っている。俺が持って良いやつなのか?

 ――って考えている暇はなかった。

「ゔあぁ!!」

 窓越しから叫び声が聞こえる。セウィロウが攻撃されているのだろうか。

「行くぞ……っ!」

 俺は剣を振りかざし、セウィロウのもとへ駆け出した。



   〜〜〜



「大丈夫ですか!?」

 そこで目にしたものは、血だらけでぐったりとうつ伏せで倒れているセウィロウと、RPGでしか見たことがないデカくて狂気じみているゴブリンが二体いた。

 あまりの光景に息を呑んだ。これ、絶対ヤバいやつだ。

 恐怖で足が動かないぐらい震えている。腕も力が抜けて剣を落としそうになった。

 けど、ここで戦えるのは俺しかいない。

 心臓の鼓動がうるさいぐらいに鼓膜に響く。それでも、俺は一歩、前に出た。

「ここで立ち止まってたまるかよ!!」

 俺は剣を握り直し、ゴブリンたちへ真正面から突っ込んだ。

 しかし、突っ込んだのはいいものの、現実はそんなに甘くはなかった。

 ゴブリンの棍棒が唸りを上げ、次の瞬間――

「がはっ……!!」

 みぞおちに炸裂した衝撃が全身を駆け抜け、息が漏れる間もなく体が宙を舞った。

 背中から勢いよく地面に叩きつけられ、世界がぐらりと揺れる。

 視界が赤く染まり、全身に力が抜ける。まるで、戦っているんじゃなくて、嬲られているみたいだった。

 それでも、剣をもう一度握りしめた。

「ここで死んでたまるか……っ!!」


 そのときだった。

 ゴブリンの動きが一瞬だけ鈍った。

 ――あれ?

 よく見ると、奴らの体はすでに満身創痍だった。

 肩に深い切り傷。足にも深い切り傷。背中にも深い切り傷がある。もう一体はさらに酷く、腸が飛び出しているぐらい重傷だ。

 そうだ。きっと、俺が来る前にセウィロウがギリギリまで粘って攻撃していたんだ。

「だったら、俺が決めるしかねぇだろ!!」

 最後の力を振り絞り、傷口を狙って渾身の一撃を叩き込む。

 七色に輝く剣が、ゴブリンの胸を貫いた。

「……これで……終わったのか」

 崩れ落ちる敵を見届けて、俺はその場に倒れ込んだ。



   〜〜~



「少年、大丈夫か!?」

 鋭く、焦りを帯びている声に意識がわずかに浮上する。

 ぼんやりとした意識の中で、ゆっくりと目を開ける。

 逆光の向こうに立っていたのは、頭から大量の血を流していたセウィロウだった。

 助かった……?いや、それより出血ぅーっ!?

 頭が追いつかなくて、思わず口をぱくぱくしてしまった。

「ん?あ、もしかしてこの出血で動揺しているんだな?心配ない、無痛魔法で痛みは軽減している。ちなみに少年にも付与(エンチャント)しておいた」

 エンチャント?与えたっていうことなのだろうか。確かにみぞおちに手を当ててみたけどそんなに痛くはなかった。

「それにしても凄かったなぁ〜!あの剣さばきで豪快にゴブリンをやっつけてなぁ、ぼんやり見てたけど僕よりも凄いんじゃないか?」

 すごかったなーと何回も言うセウィロウに「なぁ」と呼ばれて目を合わせる。

「君は今まで出会ったやつで一番すごかった。いきなりだが、僕の仲間(相棒)になってくれないかい?」

 その言葉を聞いた瞬間、胸の奥で何かがはじけた。

「は……?えっ、今何て……?」

 思わず聞き返してしまう。声が上ずっているのが自分でもわかる。

 だってその言葉は、ルシファー、ヤンデ、マサを仲間(相棒)にする際に使うセリフだ。セイナル・ファンタジーの歴代の名シーンランキングでも上位に上がるほど有名な名シーン。体験版しかやっていない俺でも名シーンだと思えるほどだ。それを目の前で聞けるなんて夢のようだ。

「ははは!だから、君を仲間(相棒)にする。そのまんまのことだ」

 胸の鼓動がうるさい。全身が喜びで震えている。

「――ありがとうございます……」

 いつの間にか俺は涙と喜びで溢れていた。こんな経験は初めてだった。

 そして俺は歴代に続くセウィロウの仲間(相棒)になった。……はずだった。









   



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