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第1話 ハラハラ!異世界召喚!

すっかり更新日を忘れていて2ヶ月以上放置していました。本当に申し訳ございません!!これからは気をつけます!

「ん…ここは……?」

 目を覚ますと、屋上とは違う場所にいた。

 紫色の光が纏っている冷たくて、まるで現実にはないような場所。

 目の前には、黒いフードを被ったいかにも怪しい人…?と、どす黒い王冠を被った老人がいた。いきなりのことなので頭が混乱するが、よく見ると去年退職した理科の先生に似ていて吹き出しそうになった。

 老人と目が合った瞬間、その部下らしき人たちは俺に動揺しているのか、何かコソコソと話していた。

「召喚に成功したぞ!!」

 驚いた。まさか召喚されていたとは。

 でも待てよ……。つい最近、俺の住む町では誘拐事件が多発しているというニュースを目にしたことがある。 もしかしたら、誘拐されたのかもしれない。

 ボーっとそんな事を考えながら周りを見ると、ほとんどのやつが怯えているのか後ずさりしている。多分警戒しているっぽい。

 少し空気が気まずくなってきたので、恐る恐る老人に顔を向ける。

「お、お前はだ、誰だ?」

「お前!サニー様にタメ口など失礼だぞ!!」

 真横にいたやつが怒声を上げる。

 一人が言った瞬間、次々と怒声を上げてくるので、別の恐怖を感じた。

 冷や汗をかきながら、怒鳴っているやつらを見ていると、「静かに!」という声と手を叩く音で一斉に静かになった。

「すまない。こいつらは感情的になりやすくてな」

「はぁ……」

「自己紹介を忘れていたな。私の名はサニー・ローワー、この城に住んでいる魔法使いだ」

 聞いたことがある。確か、大人気RPG「セイナル・ファンタジー」に出てくる悪の大魔法使いだった気がする。

 でもこのゲーム体験版しかやってないからその事ぐらいしか知らない。

「何で俺を召喚したんですか?」

「ん?あぁ…単刀直入に言わせてもらうと、勇者セウィロウを倒してもらうために召喚した」

 セウィロウ?と少し考えたが、このゲームの主人公だ。確かサニーは中ボスだったような……。

「今、セウィロウを探知魔法で見ているのだが……。もう城の中入ってるんだよな!」

「ええ!?」

「だから頼む!私を守ってくれ!!」

 いきなりのことなので状況が掴めない。

 てか、サニーってこんな弱々しい感じだったけ…?

「む、無理ですよ!俺、召喚されたばかりで状況も掴めないし、それに能力持ってないですよ!?」

「大丈夫さ。俺たちが何とかしてあげるからさ、キラーン☆」

 ……ちょっとキモいけど、実は結構優しいのでは?

 いや、勝手に呼び出しといて怒声を浴びせられておまけに能力持ってないのに守れって言われたもんだから一概そうとは言えないな。

「ヒィ〜!もう一階から六階までの部下たちが全滅しとる!もうおしまいだァー!!」

 焦るサニーに急いで武器や大砲を持ってくる部下たち。

 もう何をすればいいか分からなすぎて頭が痛くなる。

「ドンドン!!」

 強くドアを叩く音が空間に響く。セウィロウが来たのだろう。

 音はだんだんと大きくなっていき、多少の光も見えた。

 怒声を上げられた時よりも心臓の音がうるさかった。

 ーーついに、ドアから眩しいほどの光が見え、セウィロウらしき影が見えた。

「あ〜!!…あ、あれ?セリフなんだったっけ?」

 サニーさん、夢を壊すような発言は言わないでください。

 あと、一番いいところでセリフを忘れないでください。



      〜〜~ 



 その後、激しい戦いが始まった。部下たちは血塗れになりながらセウィロウに立ち向かう。しかし、伝説の剣?みたいなのであっさり吹き飛ばされた。

 そして、壁の隅に腰を抜かせるサニーの目の前に立つ。

「これで終わりだ!サニー!」

 セウィロウが剣を突き刺す。

「く、ここまでか……」

 歯を食いしばいながら睨むサニー。もう諦めているっぽい。

 そして俺、緊張しつつ興奮しながら二人の対話を聞いていた。生でこんな対話を聞くのは五歳の時に行ったヒーローショー以来だろう。

「あ、」

 ふと、ある事を思い出した。

『ん?あぁ…単刀直入に言わせてもらうと、勇者セウィロウを倒してもらうために召喚した』

 そうだった!俺はセウィロウをを倒してもらうために召喚されたんだった!

 でも、俺何も能力ないしな…。それに部下たちが何とかするみたいなことも言ってたし…。

 しかし、部下たちは既にセウィロウによって全滅していた。守れるのは俺しかいない。

「トドメだ!」

 セウィロウが剣を振る。

 やばい、止めないと!

 俺は必死に止めようと声をだす。

「や、やめろ!」

 二人は無言で俺に注目する。

 緊張して声が出なかった。やべー、死ぬほど気まじー。

「え〜っと、ごほんっ、えっと、剣を捨ててもらっていいですか?」

 セウィロウは戸惑いながらも剣を置いた。

「はぁぁぁぁっ、ふぅー」

 俺は大きく深呼吸をし、周りを見渡す。(なぜ見渡したのかはよく分からない…。)

 さて、何を話そう。「この人を殺さないでください!」はなんか単純だし、「この人はいい人だ!」は百パーセント部下だと思われるし〜……。

 考え事をしている間、生きていた中で一番気まずい沈黙が続いた。セウィロウは真剣な眼差しで見つめてくるし、サニーはとにかく圧が強い。

「え、えっと、この人はいい人ですっ!だからっ!殺さないでくださいっ!」

 言ってはいけないこと全部言ってしまった……!!

 でも仕方ない事だ、だってこの沈黙を終わらせたかったのだ。

 するとセウィロウは少しため息をついて近づいて来た。

 やばい!殺される!

「少年、もしかして洗脳されているだろう?」

「え」

 予想外の質問が返ってきた。なんて反応をすればいいか分からない。

「最近サニーによって洗脳されている子供が増えているんだ。それで奴隷にされていたりしてな」

 何を言っているかさっぱり分からない。そもそもサニーが洗脳能力を持っている事すら初耳だ。あと奴隷と言っていたな。もしかしたらあの部下たちは元々――。

「だから、洗脳を解くために君を保護する!」

「えぇぇぇぇぇぇっ!!」

 本当に予想外すぎて思わず叫んでしまった。これにはサニーも驚愕。

「そんなに驚くことではない。必ず洗脳を解いてやるからな!」

 セウィロウは笑いながら俺の肩を組む。セウィロウって冷酷であまり笑わない勇者だったような……。

 その時、サニーが焦りつつ、ゆっくり立ち上がった。

「せ、セウィロウ!このガキは渡さんぞ!!」

 その瞬間、魔法陣みたいなのが現れた。どんどん巨大な手のようなものが出てくる。

「少年、逃げるぞ」

 セウィロウは思いっきり俺を肩に担ぐ。

「うわっ!」

 肩に担いだ途端、凄まじい勢いで走り出した。

 視界が一瞬で流れ、風が肌を切りつけるように冷たい。

「あっ!待ちやがれぇ!!」

 走り出した後、魔法陣から出てきた巨大な手と黒いイナズマが物凄い勢いで後を追ってくる。

 それでもセウィロウは動じず、イナズマを避けているところはまるで本当にゲームで見るような迫力だった。

 あまりの速さに、呼吸も感覚も追いつかなかった。

 


 


最後まで見てくれてありがとうございました。次の更新日は3月12日です。

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