たまにはラブラブしたっていいじゃないですか
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夕暮れ時の海。
もう間もなく魔物の討伐が行われる。
万が一危険がないように騎士団が設置した立ち入り禁止の向こう側に入った。
ここには誰もいない。
私は、リュカに告げることにした。
「ねえ、リュカ」
夕日があたるとただでさえ綺麗な銀髪はさらに美しくなる。
私に向けて首を傾けながら話を聞きに来る。その姿も好きだなあと思う。
「私ね。この世界を知っているの」
「…?」
「私は、別の人生の記憶があるの」
彼は私の顔をしっかりととらえていた。
知らない人には言わずに生きていこうと思っていた。でも、リュカには伝えたい。
「その人生で、この世界の物語を知ったの」
「そこにはロキがいて、アリナがいて、長達もいて…もちろん、貴方もいたの」
「その物語の通りに進んできたのね、この間まで」
「だけどアリナ、が…聖女に選ばれてから少しずつ変わってきたの」
「少しずつその物語にないことが起きてきたの。レイア嬢がアリナに関わってくることはなかったし、今回こんなに早く討伐をするというのもなかったことなの」
「私、今までその物語の通りに進んでいれば良いって思ってたんだ。でもそれが違ってきて、恐くなって…」
「リュカが、ミラさんと会ってたのも、物語にないことで…」
「私、リュカとミラさんが話しているのを見て…そして不安に、なって」
話していても、なかなかまとまらない。涙は出てくるし、もうぐちゃぐちゃだ。
そんな私をふわりと彼の腕が囲う。
「大丈夫」
「リュカ」
「急、だけど信じるし、話してくれてありがとう」
「うううぅぅ」
きっと私の話は本当に急すぎて理解して、信じるまでは時間がかかるだろう。けれど彼は否定せず、しっかりと向き合ってくれる。
それもいとおしくて、私は彼に抱き着く腕をさらに強くした。
「そんなに俺のこと、好きなんだな」
彼は冗談めかして言っているから、私は彼のぬくもりからぷはっと抜け出して
「うん。リュカが好き。リュカを幸せにしたいって、誰よりも思ってるのぉ」
もう少しで嗚咽するんじゃないかって思うくらいの声を上げた。
「ありがとう、レア」
私の前髪をかきあげて、リュカの唇が額に触れる。
触れたそこからぽかぽかと温かくなって。私の感情は少しずつ落ち着きを取り戻していった。
「その世界の俺は、レアになんて告白するの?やっぱり俺と同じこと言ってた?」
「え!?」
「その反応、同じだったんだな」
「う…」
「ならそれ以上のことを言わなきゃな」
「え…」
私を抱きしめていたリュカはそこから離れ、跪いて手の甲に唇を落とす。
「レア、どんな時も。何があっても、俺は離れない。だからお前も俺から離れるな。ずっと一緒にいる」
それは今まで聞いたことのない告白だった。
過去は経験となり財産となる。私はゲームの知識を使って今まで過ごしてきた。現実はゲームでは見えないところがたくさんあった。苦労もした。
ゲームが主軸であることは変わらない。けれどもそれはあくまでひとつのルートであり、これからもきっとそれが起きていくのだろう。
…ようやく、それを消化できた気がする。
「うん。ずっと一緒にいる」
「だから、この件が落ち着いたら証をつくろうか」
「証?」
「大丈夫。まずはこの件を終わらせよう」
急にひらめき、ニコニコしだしたリュカ。これは何か企んでいる時の顔だ。
リュカの発言は気になるが、私たちはそこから帰ることにした。
そして、閉店間際のとある店を訪ねた。
悔しいがゲームの知識はここでも役に立つことになったのだ。
◇◇◇
「では、これより討伐に向かう。皆のもの準備は良いか」
「はっ」
訓練とは違う、魔物を倒すということ。
何度かニール様と一緒に討伐に出たことがあったが、そこまで力を使わなくとも倒せた印象がある。
陛下も言っていたが、この世界の魔物は大したことがないらしい。
バフデバフ?もなく、ジョータイイジョー?攻撃もしてこないみたいでただ攻撃したり守ったりみたい。
けれどもこんな多くの人数での討伐は初めてだ。その場にピリリとした緊張が走る。
「なあ、女王陛下は?」
「陛下は体調が万全ではないため、留守番です」
「え、大丈夫なのか」
「…君は優しいね。これから戦いに出るというのに」
ケイトは知らなかったようだ。陛下のことを考えると少し心が痛む。あのあと会っていないし、先ほども連絡してみたがつながらず、メッセージにも反応がない。
「アリナ、大丈夫?」
「うん…平気」
ディン様の手が温かい。緊張していないと言えばうそになるけれど、それでも今回私が陛下の不参加を促したので責任を取らなくては。
「行きましょう。皆さん」
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