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間章~聖女ははっきりと告げる

「いつの間にか~」でレアに会い、特訓後のアリナの話(+α)です。


「私」は誰かを好きになったことがない。

そういう経験がないまま前世は終わってしまった。


かっこいい、すてきだ、と思うことはある。特に今の人生、出会う人はイケメンが多い。

でも私は彼らにいい印象を与えなかった。

そう思っていたのだが。


ディン、雷の長は違ったようだ。

あの騒動までは特に()()()()()()()と思う。私が取り調べを受けてから、彼は友達と接するのと同じような態度だった。


だから、彼は変わらずに接してくれると思っていた。







「なんだい、話って」

私の気持ちを知らずに彼はニコニコと良い顔をしている。


私たちは喫茶店に来ていた。一番人気のカフェではなく、純喫茶という感じの少しレトロな場所だ。ガラス張りで照明も花のような装飾がある。蓄音機から聞こえてくるのはクラッシックで、かすかに音が途切れるのも新鮮に感じる。とてもいい場所を選んだものだ。


「あの」

「お待たせしました~」

…タイミングが悪い。

店員さんが持ってきたのはフルーツパフェとコーヒーフロート。

ディンにフロートが運ばれ、私にパフェがきた。


店員さんが去ってから、彼はフロートを私のもとへ寄越して、私がパフェを彼へ渡す。

「パフェも食べて」

「食べたいから頼んだのではないんですか」

「アリナに食べてほしかったから」

…彼はそういう男なのだ。

他へ敵意をむき出しにして、私には甘やかす。

それが過度だと私は思う。けれどもそれは人によっては愛されているということらしい。


「…ありがとう、ございます」

アイスが溶けてしまうから、私はパフェを口に運ぶ。

「~っ」

ひんやりとのどに流れてくるチョコソースが絡むアイス。続いてリンゴやオレンジなどのフルーツが流れてくる。芳醇な香りと食感が素晴らしい。

「…おいしい」

「よかったねえ」

頬杖をつきながらうっとりした表情で彼が言う。

そんな夢心地な表情でいるとこれからのことを想像して罪悪感がわいてくる。


「で、話なんだけど」

え、今!?

「何か言いたいことがあるんでしょ?」

彼は変わらずに笑いながら言っている。こんなに想ってくれているのであれば、彼は悪いほうには考えないかもしれない。


「あの」

「もう少し、周りの人の目を気にして、ください」

「…え」

「私は、どこにも行かないです。他の誰のモノにも、なりません。なので…周りの人へのけん制は…止めてください」

言ってて恥ずかしくなってきた。

言っているうちにうつむいていたのでゆっくりと顔をあげて、彼を見る。



彼は両手で顔を覆っていた。

「…ディン様?」

「う、ん…わかった、やめる。今までごめんね」

彼は顔を覆ったままあっさり答えた。良かった、通じたみたいだ。こんなにあっさり終わるならもっと早く言えば良かった。

しばらくして、彼は手をゆっくり離した。何かを我慢しているような表情にも見えるけど、調子でも悪いのだろうか。

「ディン様、大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫大丈夫。それより食べて?ここ、いいでしょ」

「はい…雰囲気があって、おしゃれですね」


彼はそれからも表情はおかしかったけど、それ以外はいつもと同じようだった。

時折私をほめながら、私の反応を楽しんでいる彼。

私はオイシイものを食べられるし、言いたいことも言えてすっきりしたので、とても気分が良い。


(あ、そうだ…陛下に伝えなくちゃ。心配かけたなあ)





◇◇◇


ディンののろけに毎度のことながら付き合わされるヨルドの話。




「俺の聖女が可愛すぎる件だ」

「…私がなんでも聞くと思わないでくださいね~」



「まあ聞け」

「答えは聞いてくれないんですよね、いつも」

「アリナがとうとう言ったんだ。他の誰のモノにもならないと」


「話の前後がないとおかしいですよ。その発言」

「おかしくはない!確かにアリナは照れながら言ったんだよ」

「…まあどうせそのあとにアピールをやめてほしいあたりのことを言われたんでしょうね」


「あのアリナがなあ…よくここまで頑張った、俺」

「それについては否定しないのですね」

「この俺が、それを言われてからアリナの顔をまともに見られなくてさ。まあ紹介してくれた喫茶店が雰囲気が良くて、おいしそうに食べてくれたからなんとかなったんだけど」


「…まあ確かに、あなたの態度は露骨すぎましたものねえ。皆が注意しないのがおかしいと感じるほど」

「…うん。わざとやってたんだけど。そこまでだったかな」

「ひっどいですよ。もう」

「すごい言われよう」


「仮にも王に次いで権利の強い長なのですから気を付けてほしいものです」

「わかったよ。少し控える…アリナにも言われたし」


「まったく。アリナ嬢も苦労しそうですね」

「でもあの時のアリナは本当に可愛かったなあ…」

「……」









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