とある疑惑が浮上しました。
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「………」
ドアは余韻を残しながらゆっくり閉まっていく。
しっかりと開いていない瞳はそこだけ捉えて。
最悪な気分のまま、ベッドに飛び込んだ。
ああ、疲れた。疲労がどっと襲い掛かる。予想していないことが次々起きてしまった。極めつけは最後だ。彼が会っていた金髪の女性。カフェで同席になったその人。あまり長時間観察していなかったが彼女はリュカに触れていた。見た感じ彼も拒んでいないように見えた。
(だれ、なんで、なにしてんの)
頭の中では次々と疑問が浮かぶが、言葉を話し出した子どものように、接続詞が出てこない。頭が混乱している。いろいろあったけど最後に見たそれが衝撃的で、めまいさえした。
顔を埋めて、深呼吸する。ぐるぐると回る感覚はおさまってきた。でも気分は変わらずだ。冷静に考える時間ととなっていく。
あの店はアリナのメッセージのおすすめにも書いてあった女性に人気のカフェだ。フルーツをふんだんに使ったパフェやケーキが人気だそうで、アリナが丁寧なレポートと画像を送ってくれていた。ここの地域で一番の人気店らしく、予約は必須。並んでも閉店までに間に合わないこともしばしばあるという。
(そんなところに彼が行ったの?)
またしても疑問が浮かぶ。
私の知る『リュカ』は食に頓着がない。それにかかる時間を研究に充てたい性分だ。叶うならサプリメントで栄養すべてを補給したいと言っていた。
今は私と一緒の時には食事を摂ろうとするものの、カフェで彼を見かけたのは意外だった。
(私とは一緒に行くのしぶしぶだったのに…リュカ、どうして?)
そう思えば彼はとても楽しそうな表情をしていた気がする。私と一緒の時よりも楽しく過ごしていたのではないか。
(もう、なんなのよ…)
もう何もかも面倒だ。このまま寝てしまいたい。でも寝れないんだろうな。
うだうだと考えていると
昨日と同じようにノックが鳴る。
◇◇◇
「なんですかそれ!」
部屋に訪ねてきたアリナに聞いてもらうと憤慨していた。何か話したいことがあってきただろうに、憔悴しきった私の顔を見て、真っ先に私の話を聞いてくれたのだ。
「…アリナ、もう少し静かに話してもらえる?」
「すみません…でも」
「知り合いと会ったのかもしれないし、もしかしたら私の勘違いだったのかもしれないわ」
「こんなにリュカ様のこと好きな陛下が、間違えるわけないかと思いますけど…」
アリナに話して、彼女が怒ってくれたことで少し冷静になれた。見たのは一場面だけだ。旧知の仲なのかもしれないし、もしかしたら私のためにお店を探してくれていたのかもしれない。
そう考えると落ち込んでいたのも少し浮かんでくる。
「リュカ様から、連絡はないんですか!?」
「帰ってくるまでは連絡がなかったけど…あ、きてる」
「なんて!!」
「ちょっとアリナ落ち着いて…」
「『今日は行き違いになってしまってごめん。良い店を見つけたから明日一緒に行こう』」
「…なんとも言えないですね。陛下のためにお店探してたのでしょうか」
彼の言葉は私が見た事実を証明できるものだろう(疑問も残るが)。
私は、彼を信じたい。でも100%信じられるかといえば違う。
「…そう、だといいわね」
もう少し明るく答えられたらよかったのに、思ったよりも私の言葉は暗かった。
「リュカ様めっ陛下をこんな風に悩ませて!」
「…ありがとう、アリナ」
普段はクールなアリナが冗談めいて言ってくれたのも彼女の優しさだろう。こんな風に心が通う友がいてくれてよかった。
「へ、陛下!」
ぎゅう、と彼女を抱きしめると、彼女は少し照れながら抱きしめ返してくれた。
「大丈夫です。いざとなったら私がいますし、陛下のことを想っている人はたくさんいるんですから」
彼女の手が頭に触れる。
これではどちらが年上かわからない。でもそれは心地よかった。
(久しぶりかもしれない、この心地よさ…)
「私の話は、また今度聞いてください。陛下は今日はゆっくり休んでくださいね」
ああ申し訳ない。彼女には本当に助けられている。
彼女は優しいお姉さんのように私に言い聞かせた。彼女の表情からすると悪い結果ではないようだ。
「ええ。本当にありがとう」
今日は眠れそうだ。ゆっくりお風呂につかって、行くときに買ったお菓子を食べて、眠るのだ。
ゲームのことは少し忘れよう。
せっかくの初めての海だ。
色々見て回りたい店もある。彼とも話をしなくてはならないが、今のような気分ならそれもきっと大丈夫だ。
昨日よりも良い気分で眠りにおちた。
(明日はリュカと話をしなくちゃ。大丈夫、大丈夫…)
「陛下、準備が整いました!今日の夜、出撃できます」
ちょっと休ませてくれよおおおお!
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