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いつの間にか彼の好感度が高いようです

…やらかした。

時計を見ると11時…

いつ寝てしまったんだろう。いやいやいやそんなことはいい。


(朝食食べ損ねた…)

ここの朝食、ビュッフェなのだが、評価が高いのだ。ゲーム内でも料理のスチルがとってもおいしそうだった。なので朝食を楽しみにしていたのだけど…

なんてことだ。

(…まずは着替えよう)

侍女がいないのは前世のころを思い出させる。クローゼットにかけて合った服を着て、髪をとかしてなど身支度を自分で整える。

(これでいいかな)


鏡の前に立ち、後ろ姿も確認する。白に近いシャツワンピース。腰のところを布で留めている。涼しさは感じるが、ぱっと見ただけでは高級なものとは分からず、誰が見ても女王とは思わないだろう。


「申し訳ありません!」

部屋を出たとたんにアリナが謝罪の言葉と共に私の前にあらわれた。

…いやいや、アリナのせいではなく、私が悪いのだ。


「リュカ様が訪ねてきたらしいのですが、気づかないほど熟睡をしていたんですよね…」

「ああ…ほんと」

追い打ちをかけるような言葉はショックだった。リュカが訪ねてきたのに応えられなかったのだ。


「今日はどうされるのですか?」

「リュカに、会って謝るわ。そして一緒に出掛けられたらいいな」

「そうですか」

「アリナは?」

「空き地を修練場として貸していただいたので、ニール様と特訓を。そのあとは少し街を巡ろうと思います」

「おいしいお店があったら教えてね」


まずはリュカの部屋へ行かなくちゃ。そう思った時に

「いたいた、女王サマ!」

「!?」

なぜか最上階に来ていたケイトが私の腕をつかんだ。

「えっちょっとケイト…」

「来てくれよ女王サマ、アンタに用があるんだ」

「ケイト」

この世界ではあまり縁のない、強引な手段。何から言おうと考えているうちに私は彼に連れられて、ホテルを出る。


「しっかしアンタがあの女王サマだったなんてな。人は見た目によらないもんだ」

不敬。ロキがいたら怒り狂いそうだ。かつての聖女とはまた違った意味で。

(こんなイベントあったかしら…)

私は彼と一緒に、観光のとある店へ着いた。

「さ、好きなものを選んでくれよ」

「えっと」

「女王サマなんだから金はあるだろ?少しでも払って地域に貢献してくれよ」

「…え?」

「なんだよその顔」


ケイトは悪びれずに言う。きっと彼らの間ではそういうことは平気で行われているのだろう。

ゲームの彼はそうだったろうか。本命ではないため記憶があいまいだ。しかし彼は平民というこのゲームにはない種類の人物だ。もしかしたらこういったことがあるのかもしれない。

というか、私はそんなことのために呼ばれたのか!?


「…ケイト。申し訳ないけれど、私は買いません」

「なんでだよ、ケチだな」

「貴方は私に「仕方ないから買ってやろう」と思わせたいのですか」

「人の金で生活しているんだ。少しくらいいいだろ」

まさか反対されるとは思わなかったのか、彼は私から視線を外しながらそれでもつぶやくように言う。言わなくてはわからないか。あまり厳しいことは言いたくないのだけれど。


「平民が懇願するから仕方なく買ってやろう。と思ってても?」

「…そんなの…別に言わなければ、わからないし」

彼は少しはっとした。まずいと感じたのだろう。しかし後には引けないようだ。

「私は口に出します。私を女王として扱い、買わせたいと思うのだったら、貴方もそれなりの態度をしなさい。先ほどからだいぶ砕けて話しているようですが、冗談であったとしても私には不快です。改めなさい」


女王になった時に前任の王に言われた。

人の上に立つからには人を理解しようという気持ちを持て、と。完全に理解はしなくともそういう姿勢を持つことが大切だと。


少しシンとして、それから彼は私をまっすぐ見て言った。

「…悪かった。申し訳ない」


きっと根は純粋なのだろう。素直に謝罪の言葉を彼は口にした。

「…謝罪を受け入れます。それじゃあコレを頂戴」

「え」

「私が気に入ったの。買わせて」


私が手に取ったのは小さなシーグラスをつなげたアンクレット。さすがに公務の時につけるのは女王としての気品やら何やらで注意を受けるかもしれないが、休日に着けられるシンプルだけどかわいらしいデザインだ。


「わかった、いやわかり、ました…」

「…無理して敬語を使わなくてもいいわ。態度は言葉だけではないもの」

彼はやっぱりわかりやすい。それが面白くて笑うと、緊張はようやく解消されたようだ。





◇◇◇




「俺は、平民なのに強い魔力があるんだ」


とわきらの世界では魔力を持つのは貴族。特定の魔力が強いものは属性の長に選ばれるがケイトはその類ではなく。魔力が全般的に高いのだ。

「俺の住んでいる地域は魔力のある人間がいなくてさ。俺、押さえ方を知らなくて暴発して、それから村のみんなからのけ者にされた」

そう、それが彼がここに来た理由。追いやられたというほうが正しいのかもしれない。


彼は私に気を許したのか、ゆっくりと自身の生い立ちを語り始めた。




閲覧いただきありがとうございます。

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