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隠しキャラという性質上の話。

基本的に女王目線でのお話ですが、前回今回はリュカ目線の話です。





(朝か)

目を覚ますと、見慣れない豪華な設備。趣味ではない高級そうな家具たちがやけに整頓している。

一瞬眉をゆがめた。しかし、そうだ、休暇のために泊っているんだと寝起きの頭は再確認していく。ぼんやりした視界を眼鏡で補強し、鞄にしまっていた自分の洗顔料、歯ブラシ、歯磨き粉で身支度を整えていく。研究員という職業柄、きっちりと整えられているものを想像されがちだが、大まかにジャンル分けされてあれば特にこだわりはなく。使い終わったそれらは乱雑にしまわれた。



備え付けの粉でコーヒーを落として、彼は今回のことについて考えていた。

補佐官が用意してくれた休暇。しかし二人きりというわけではなく、慰労の意味を兼ねてほとんど聖女事件にかかわった全員が行くこととなった。


自分も疲れていたから、こういうところで疲れを癒すのもいいかもしれない。今は改善されたが仕事のシステムや本来の業務ではないことも請け負っていたのだから。





だが、事件が起きた。というか女王が休暇をなくした。こういう言い方は良くないのかもしれないが、実際これによって準備が必要になるし、魔物との戦闘となると万が一にも備えなくてはならない。

そして皮肉なことに、自分だけが今回は出番がないのだ。

女王、聖女、属性の長達や魔法講師は魔法を使うのが得意な連中ばかりだ。

それによって役職に選ばれているのだから当然と言えば当然なのだが。

しかし自分は才能がなかった。別にそれで悲観することはなかった。自分には学んで知識を得ることや物事を調べてまとめることの方が得意だと思ったから。

しかし今になって、嫌な思いになるとは。


これが王試験なら、聖女のことであれば、自分にも役割がある。しかし魔物の討伐に関しては何もないのだ。情報収集なら彼や彼の周りから聞けば済むだろうし(そしておそらくそれは女王が自分で行うだろう)


「…ふう」

考えると少しむなしく、悲しくなるので彼はバルコニーへ向かい、久しぶりに電子葉巻を点灯させた。淡い光がぽつりぽつり、肺に空気を流してメンソールを充満させる。さすが最上階、眺めはとても良い。碧く美しい海がどこまでも広がっているようだ。


(何、しよっかな…)

一つ伸びて、ゆったりと休日のような気分になる。そうか、いっそのこと自分は休んでもいいのかもしれない。自分にできることは何もない。

これだけ多くの人数が行っているのだ、自分の出る幕はない。

そう考えると少し気が楽になった。女王のことが気になったが、彼女の性格上、自分も魔物との戦いに参加すると言い出すのだろう。そのための準備をするはずだ。

それに聖女とも約束があるようだし。


休暇だからと言ってすべて彼女との時間にする必要はない。乗り気になった自分はもう自分に言い聞かせるためだけに考えていた。自分だけの時間…考えるとわくわくしてきた。もちろん節度をもって行動はするが、こんなに高揚したのは久しぶりだ。


「何しよっかな~」

先ほどと同じ言葉だが、それは先ほどと比べ物にならないほど嬉しそうにつぶやいた。




朝の食事会場へ向かう。朝はビュッフェスタイルで、各々が自分の好きなものを食べていた。一応女王の部屋をノックしたが、返事がなかった。昨日のこともあり約束もしていなかった。もしかしたら疲れて寝ているのかもしれないと思い、ひとりで来てみた。選んでいる時に長達が何人(貴族、医者、騎士団)か食べていた。休日なのに規則正しいひとたちなんだなと改めて思う。



好みのモノを何点か持ってきて席に着く。特に誰かと仲が良いわけではないため、一人用のテーブルに掛け、手を合わせる。

「……!」

さすが観光地の食事、とてもおいしく感じる。これが地産であればもっと良いが、輸入したものであってもここまでの腕前なのかと感心した。

一度では足りず、気になったものを再び持ってきて口にする。この美味しい料理を食べるだけでも来た甲斐はあるのかもしれない、と嬉しく思った。


食事会場からの帰り、聖女に会った。聖女は一人だった。

「おはようございます、アリナ様。おひとりですか」

「…おはようございます。リュカ、さま?眼鏡ですと雰囲気が違いますね。ええ一人ですわ」

にこりと笑った彼女は以前のような天真爛漫さはなく、落ち着いた淑女の笑みといった感じだ。

ひとりと言った時に少しだけ空気がぴりついた感じがしたが、すぐにいつもの彼女に戻った。

ここ最近、彼女も疲弊していたから、ひとりの時間も大事だよね、と勝手に同調する。


「そういうリュカ様こそ、おひとりですか?」

「ええ。陛下の部屋をノックしたのですが返事がなく…昨日の会議や転移門を開いた影響でお疲れかと思い、私もひとりです」

「まあ…そうでしたか」

バツの悪そうな顔をした。おそらく女王に会ったのだろう。しかしそれも自分にとってはさほど気にはならなかった。


「おいしかったですよ。料理の種類も幅広いですし。それでは」



他愛のない話をして、部屋へと戻った。




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