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第五話(1)

「いやあ、うめえな! 勝った後の酒ってやつぁよ!」


 かん、と気持ちよくグラスを机に叩き付けるヴェルクト。

 闘拳大会が終わった後、レイはヴェルクトを訪ねた、そのままの成り行きで祝勝会を上げることになった。久しぶりの再会であったが、特別な挨拶を交わすわけでもなく、まるでいつも一緒にいるかのように世間話を始める二人をトリヤは少し離れたところで見ていた。

 酒場までの道でレイはトリヤとヴェルクトを紹介しあった。トリヤは先ほどまでのヴェルクトの印象でかなり恐れていたようだが、その恐怖心は酒場で一気になくなってしまった。

 戦っている印象だと抜き身の刃物のように感じたが、こうして酒場で話してみるとやんちゃな若者というか、気のいい兄貴分といった感じなんだなとトリヤは思った。


「しかも人の金で飲めるなんて、サイコーだ!」


 席に着いて数分、はや二杯目のエールを飲み干した。先ほどまで命を削るような戦いをしていたとは思えないほど疲労感を感じさせないヴェルクトに、レイは相変わらずだなっと笑った。


「姉ちゃんも悪かったな。闘技場の雰囲気、結構怖かっただろ」

「いえ、そんなことないですよ! 初めは慣れませんでしたけど、最後らへんはヴェルクトさんの戦いに引き込まれてました!」

「そう言ってもらえると、ありがてぇな! 闘拳士冥利に尽きるってやつだ!」


 気をさらに良くしたヴェルクトは三杯目のエールを飲み干した。


「……ところで、俺に会いに来たのは久々に顔を見てぇからって理由じゃねぇよな?」


 四杯目のエールが運ばれてきたとき、ヴェルクトは少し真剣なトーンで切り出した。先ほどまでのギャップでトリヤは少し怯んだが、レイは少しため息をついた。


「やっぱり察しがいいね。そう、今王都に変なことが起こっててさ」

「変なこと?」

「魔種が発芽しかけている者がいるかもしれない」

「……マジかよ」

「すいません、その魔種って何なんですか?」


 二人の会話について行けなかったトリヤは、そこで初めて二人の会話に首を突っ込んだ。


「魔種っていうのはね……」

「レイ、俺が説明する」


 ヴェルクトはレイの説明を遮った。


「魔種っていうのはな、俺らが普段使ってる『魔法の核』みたいなもんだ」

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