早く気持ちを伝えたい
今日も私は人間の姿になる練習。
私は、人間になりたい。
心愛様とお話ししたいと思いながら「すぅーっ」と息を吸う。
身体中に力が湧き上がってくる。
やはり少し意識が朦朧とする。やはり、意識を失ってしまった。
10分程で目覚める事ができました。
「やっぱり、この身体は、重い...」
私にはとにかく重く感じます。
それでも私は、普通に歩けるようになりたいと強く思っていました。
「私も、自分の足で歩いて、一緒の道を歩きたい」
私は少しずつ、ゆっくり一歩を踏み出した。
初めてまともに進めた。そして反対の足もゆっくり一歩踏み出した。初めてまともに歩けた。
「やった。 もっと頑張って早く歩けるようになろう!」
私は、一歩、また一歩とゆっくりですが、だんだん歩くスピードが早くなった。
それでもこの身体の重さにはなかなか耐える事ができず、パタッと倒れてしまいました。
徐々に力が抜けていき、私は猫の姿に戻りました。
「ニャー」(もっと頑張らなくちゃ)
午後18:00。心愛様が帰って来ました。
「ただいま〜」
私はもう迷惑かけまいと、疲れきった身体をムリに動かし、走って駆け寄っていきました。
「おお〜。 元気そーだね〜」
そう言って私を持ち上げてくれました。
「ニャー」
持ち上げてもらうと、私は猫の姿で良いと、満足してしまいます。
でも、満足してはいけません。もっと頑張らなくちゃ。
次の日も、また次の日も人間になる練習。
毎日毎日繰り返して、毎日毎日思う事はただ一つ。
好きな人と話したい。
初めて人間の姿になって3週間が経った頃には、もう普通に歩けるようになっていました。
「後は、体力を付けなくちゃ」
私は家の中を人間の姿で行ったり来たり。
身体も慣れてきたみたいで、猫の姿に戻っても、あまり疲れない、むしろ身軽に感じる程になっていました。
「ニャー」(もう少しでお話できる。)
私は嬉しさのあまり、一つ、忘れていることがあった。
猫が急に人間の姿になるなんて、普通に考えたらおかしい。普通に考えると、恐怖だ。
それを思い出した瞬間、なにが正解なのか本当に分からなくなってきました。
「ニャー」(また捨てられたらどうしよう...。)
午後18:00。いつものように帰って来る心愛様。
「ただいま〜」
私はなぜか、駆け寄ることができません。
人を愛するが故の恐怖なのでしょうか?
「フォレストどした?」
「ニャー」(いけない。また迷惑をかけてしまう。)
「よしよ〜し」
心愛様は私の頭を撫でてくれる。
私が原因で心配させているのに、物凄く温かく包み込んでくれる。
私は、その優しさに甘えてばかり。
私は息が詰まるような感覚を覚えました。
「お風呂入ろっか」
そう言って私を抱き上げてくれる。
一緒にお風呂に入ってくれる。
綺麗に洗ってくれて、毛並みを整えてくれて、清潔感の溢れる容姿にしてくれる。
(私が人間の姿になっても、同じようにしてくれるのかな?)
私は、猫だからできて、人間だからできないことも多いのではないかと思いました。
それでも私は、人間の姿になって話したい。
私は、『好き』だと言う気持ちを伝えたい。
早く話したい、話しかけたいというストーリーでした。
次話は、楽しく生きようという感じを描いていきます。
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