表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

【運営SIDE】誕生


 薄暗い部屋の中に浮かび上がる、U字型のテーブルと20を超す椅子。そしてそれらの席に坐する性別や年齢、そして身にまとう雰囲気までばらばらで統一感のない、とても一つの秩序を持った集団を形成しているとは思えないような顔ぶれ。現在彼ら、彼女らは皆一様にこの部屋で唯一の光源となっている一つの巨大モニターに目を向けていた。


 ある者は期待に胸を膨らませる無垢な子供のように笑みを浮かべて────


「キタキタついにキター!!待ってましたよ、この時を!!」


 ある者はまるで戦に臨もうとしているかのような、決意と覚悟を帯びた眼差しで────


「ああ、ようやくこの時が来たな・・・」


 ある者は一片の興味もないことに付き合わされている現状への不満を一切隠さず────


(早く終わらなかナー)


 ある者はただひたすら無感情に────


「・・・・・・」


 そしてある者は────




「────お腹すいた・・・」


「「「なんか食え!!」」」




 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――




『────最終チェック終了。システムの起動を開始します』



『────システム起動率10%────』



『────・・・・・・30%・・・・・・50%・・・・・・70%────』


 ビー!ビー!


 、突如としてけたたましいアラーム音が室内の静寂を破り鳴り響いた。


『────エラーが発生しました』


「な!?」

「おいおいおい、どういうことだよ!!」

「アハハ、ピーンチ」

「ンー?どれどれ・・・・・・あーはいはいこれネ」

「おい!大丈夫なのか!?」

「こんなのちょちょいですヨ~・・・ここをこうして、と・・・・・・ホイ完了」


『────エラークリア。システム起動を再開します』


「「「おお!」」」

「こんなエラーよくあることですヨ~」

「・・・・・・おい、本当か?本当にもう大丈夫なんだな?」

「ダイジョブダイジョブ~」


『────システム起動率70%・・・・・・・・・・・・・・・90%────』






『────全システム異常なし。【Second Node Of World】の正常機動を確認しました』


 一瞬の静寂の後、その場に居合わせた者の内、数人が思わず声を上げた。


「おお!」

「やった・・・!やった!成功だ!!」

「当然さ。失敗するわけがない」

「いやー良かったネー」

「むしろ大変なのはこれからっすよ」

「確かに。『席』もまだ全て埋まってないしね」

「お腹すいた・・・」

「「「なんか食え!!」」」



 歓喜、安堵、決意、期待と不安、ついでに空腹、さまざまな感情が部屋の中を飛び交った。そんな中、U字型のテーブルの真ん中に位置する位置、巨大モニターの真正面に座っていた男が徐に立ち上がる。男はその場に居合わせた者達の顔を一通り眺め、そして口を開いた。


「同志諸君。我らは────

「おぉぉぉぉっしゃぁぁぁぁ!!」


「我らは────

「やったー!やったやった!」


「我ら────

「ウヒョー!ウヒョヒョヒョー!!」


「我────

「ウィィィィィィ!!」


「わ────

「だからお腹すいたってば・・・」

「「「だからなんか食えよ!!」」」


「聞けよ!!!」




 なんやかんやありつつ、この日、『世界』が産声を上げた────




『バブー』


「「「え??」」」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ