グレン
新キャラ登場!
今日は交流会の日だった。
魔法協会に行くというセンがスコットを送っていくことになり、会場までセンとスコットは一緒に向かう。
センはそのまま自宅に帰るので帰りはイグニスが迎えにいく。
会場に向かえばウォルスが立っていて、スコットがセンといることに少し驚いていた。
「話に聞いていたがあれは事実だったか」
「信じにくいのは分かるけど、酷すぎるよ」
イグニスがセンの元に顔を出して最近は交流しているというのはウォルスもセルジュたちから聞いていたものの、自分の目で見ない限りは信じられなかったらしい。
「だから言ったでしょ。まー、あのイグニスがと思うと俄かには信じ難いけどさ」
わずかに固まるウォルスの肩に軽く手を乗せたセルジュがイタズラに成功したみたいにクスクスと笑う。
しかもトアルとの和解もなったというのだから、弟子効果恐るべしというものである。
「あの子も成長したってことなんだろうね」
「そうとも言うか」
センたちの会話を聞きながら、なぜかスコットはこの場にイグニスがいなくてよかったと思っていた。
センと別れたスコットは交流会の会場の中に入る。
まずは知り合いのところへ向かおうとしたが、今日はいつものメンバーが見当たらない。
センが帰ってしまうことも相まって普段よりも余計にスコットの心は不安になる。
「おい、そこのお前!」
背後から高圧的に声をかけられる。
スコットはおっかなそうにしながらも振り向いて、そこには目つきの悪い少年が立っていた。年はスコットよりも上、リオンと同じか上くらいだろうか。
「お前、イグニスさんの弟子だろ。なんでイグニスさんと一緒じゃないんだよ」
「え、あ、と、師匠は……」
高圧的な口調にスコットは完全に怯えている。そして、目の前の人物がイグニスを恨んでいるという魔法使いの弟子なのではないかと思うと、すぐには返事を返せない。
「まだお前は師匠とくるはずだろ、どうして――」
「はいはーい、ストップ。君もイグニスに会わずに帰りたいわけじゃないでしょ。まずは、自己紹介ってね」
スコットの態度にイラつき始めた少年にスコットが余計に身を固くし始め、そこにセルジュが割って入る。
「オレはグレンだ」
セルジュに言われたからか、恥ずかしさに顔を少し赤くしながらぶっきらぼうに少年はグレンと名乗る。
「スコット、です」
スコットはセルジュの顔を見ながら小さな声で名乗る。
その様子にクスクスとセルジュは笑ってグレンのことをスコットに教えてくれる。
「グレンはイグニスのファンでさ、嫌いなんじゃなくて好きなんだよ。それで今日、イグニスに会えると楽しみしてたみたい」
「……ファン」
「そう、ファン。名前は知られてるから、1人くらいはいてもおかしくはないんだよね」
敵ではないことがわかってひとまず安心はするものの、イグニスにファンがいると知って驚きが隠せない。
「意外だよね。ま、悪い子ではないから仲良くしてあげて」
「え、っと、はい」
ひとまずは大丈夫だと、セルジュは他の見回りに向かう。スコットの目はセルジュに対して助けを求めていたが。
気を取り直したグレンに先ほどまでの勢いはなく、スコットと目を合わせずにグレンはイグニスについて尋ね、スコットも少しだけ怖くないと分かったのか会話が出来る。
「その、師匠はあとで迎えにき」
「――つーことは来るんだな、ここに」
スコットの言葉を遮ったグレンは、テンションを高くしてスコットの肩に両手を置いて確かめるように聞く。
スコットはただ黙って頷いて、この交流会のあいだグレンからイグニスの武勇伝をひたすら聞くことになるのだが、そのどれもがスコットには新鮮だった。
なにしろ本人の口から語られず、周囲から聞かされるのは本人が隠しておきたいような話ばかりである。
手放しで褒められるような師匠の話なんてほぼ初耳なのだ。
ありがとうございました。




