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休息と賢者の話

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「それじゃあ忙しかったね」


 近くに立ち寄ったからとやって来たセンは台所に立ちながら、イグニスの話を聞いてクスリと笑いながら労った。


 突然の賢者の来訪、グリーンハイムに会うために協会に向かったりと予定の数はそれほど多いわけではなかったが、精神的に疲れるのだ。


 魔法使い内ではほぼ使うことのない敬語などマナーに、例え数分だったとしても緊張感から疲労は半端ないのだ。


「センも会ってきたんだろ。よく疲れないな」

「慣れてるからね。協会にはそういった人も多く訪れるから」


 協会で育ったセンにとっては慣れていることらしい。


 グリーンハイムはセンのことを気に入っていて、そのこともあり協会職員やグリーンハイム本人などからも、そういった際の立ち振る舞いは教えられている。

 協会には王族などがよく来るので実践もバッチリである。

 そもそも、センは割と自分のペースを崩さないので緊張などするとも思えないのだが。


「ああ、そうだったな」

「でも、初めに見せるのはグリーンハイムさんだったから、その時は緊張したけどね。けど、そんな人からお墨付きがもらえたら自信はつくでしょ?」

「そういうもんか」


 大国の王であるグリーンハイムのお墨付きが貰えればどこへ行っても恥ずかしく振る舞いは出来る。だからと言って全く緊張しないというのもイグニスからすれば信じられない話である。


「そのせいかお茶出しとか押し付けられてはいたけどね」

「いいように使われてんじゃねぇか」


 粗相があった場合の責任などと考えて、魔法協会職員達はこぞってセンに行かせることが多かったという。

 失礼があったとしても子供がやったことだと大目に見てもらえるだろうという事もあったらしいが、それが会長や副会長にバレると職員たちは割と本気で怒られていた言う。


「うん、そうなんだけどね。あの頃はまだ子供だったし、行けばお菓子とかちょっとしたものをご褒美だって貰えたから喜んで行ってたよ」


 中にはグリーンハイムのようにセンの成長を見るのを楽しみしていた人もいるようだ。

 彼らが滅多に見ることのない魔法使いの子供ということもあったのだろうが。


「そういや、賢者って昔からああなのか?」


 ふと思い出したイグニスがセンに尋ねた。

 イグニスの知る賢者は姿を自由に変えて、割となんとも親しげな喋り方をする。つい最近家に賢者が来たこともあって疑問だったのだ。


 イグニスは子供の頃から思っていたが、想像の賢者像とはかけ離れている。


「少なくとも僕が知る賢者はそうかな」


 スープを小皿にすくって味見をしながらセンが言った。


「でも、会長……前の会長の方が言うには昔はもっと堅物だったみたいで、同一人物には思えないって言ってよ」

「そうか。代変わりはしてるってことか」

「たぶんね。確証はないけど」


 センがイグニスに同意をする。

 協会に残されている賢者についての記述を見たことがあるセンは少なくともそう思っている。

 ある日突然、賢者の性格がガラリと変わっているのだ。さすがに全てが一人の人物だとは思えない。


「それにしても、今の賢者はいたずら好きだね。前は協会職員に紛れてたりしてたし」


 賢者がイグニスたちのこの家に子供の姿でやって来たことを聞いていたセンが言った。

 魔法協会に数年に一度はやってくることの多い賢者は、一度もまともにやってきたことがなかったらしい。必ずいらない一工夫を加えてくる。


「その度に協会が騒がしくなってさ、大変だったんだよ」


 そう言う割に楽しそうに語るセンは、食事を作り終えたようでイグニスの対面に座り、自分の知る限りの賢者のことを教え始めた。


 そのどれもが、賢者によるイタズラで協会職員が苦労しているものだった。

今回スコットはリオンに遊び誘われて家にいません。

セルリアがいるので大丈夫だろうと安心しているイグニス。

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