ルピナスと言う名の嵐
「あいつらだけ会ってるものズリィと思ったから顔だけ見にきた」
隠すことなどないと言うようにルピナスは堂々と言い切った。
まあイグニスもルピナスのことは分かっているので予想もついていたというより、ここに来た理由はそれしかないだろうと理解はしていた。
何かがあって手を借りるなら、一番始めに彼は師匠のアレスに頼るだろうし、センやレオルドの方がよほどイグニスよりも頭も腕も立つ。
「ま、2、3日したらすぐに帰るから長居はしねぇよ」
「それはいいですけど、食事については文句言わないでくださいよ」
ルピナスの来る可能性はあるとも分かっていたので、さしたる問題はないのだが弟子時代にあまりにも下手すぎてルピナスによく大笑いされたものだ。
それについては仲間がいたのでトラウマになってはいないが。
「ああ、あの黒コゲから進歩してねぇのか、イグニスは」
「食べられる味にはなってます!流石に弟子がいるのに変なものは出せませんから」
「んじゃ、お手並み拝見ってな」
そう言ってルピナスはエアカトラリーを手に持って机を叩き、イグニスはため息をつくと自分用に多く焼いていたパンをいくつか皿に分けるとルピナスの前に置いた。
「サンキュー、イグニス」
それだけ言うとルピナスは遠慮皆無で差し出されたパンを口に放り込んだ。
人となりを分かっているので特別何かを言うことはないがただただこの遠慮のなさには呆れるばかりである。
救いはこの場にアレスがいないことか。
「成長はしたんだなぁ。コントロールは相変わらずヘッタクソみたいだけど」
「分かるんですか?」
パンを食べただけだというのにルピナスにはそれが分かったようで、スコットは不思議だとルピナスに尋ねる。
どうやら好奇心が勝ったらしい。
「ん?おう。魔力の残滓があるからな」
一気に水を飲んだルピナスはそう言いニッと笑い、スコットは自分が手にしているパンをまじまじと見つめるが分からないと首を傾げた。
「ここまでわかるのは特殊技能だ」
「まー、そうかもな。俺のはついでだけど」
魔力の残滓、残された魔力を感じとるにも魔力のコントロールは必須らしいが、ちょっと使っただけならわかる人は少ないとルピナス。
長い付き合いあってこそここまで分かると言う。
「ついで?」
「そそ、俺は魔力多いんだよ。だからコントロールを覚えるのは必須でさ、クソジジイもそれだけは逃してくれねぇの」
その時だけはクソジジイも鬼のような形相で毎度追いかけてきたという。
もともとルピナスは魔力をコントロールするセンスはあったらしく、アレスとケンカしながら魔法は学んでいたが暴発を起こすことは滅多になかったらしい。
「ま、おかげでトアルに教えるのに助かったけどな」
「トアルも魔力は多いから大変そうにしてたからな」
朝食を食べ終えるとルピナスは俺のコントロールを見せてやるとスコットを庭に連れ出したが、イグニスはルピナスを呼ぶ。
「ルピナスさん。その前に魔力供給お願いします」
「ったく、出鼻をくじくなよ」
ため息をついたルピナスはスコットにちょっと待ってろと言うとイグニスの家にある魔道具の魔力を全て満タンにして、スコットのところへ戻ってくる。
イグニスが一度にやると魔力が尽きると日々こまめにやることをケロッとやってしまうルピナスに、スコットはルピナスの魔力の多さを実感したのだった。
お読みくださりありがとうございました!
ルピナス一人で騒がしいですね。




