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外伝 意外と早い再会に

今回はルピナスとセンの話です。

 口笛を吹けばそれほどの時間が過ぎることなく小型のドラゴンが飛んでくる。


 低空飛行をするドラゴンにルピナスが飛び乗ると、ドラゴンは勢いよく空高く舞い上がった。


 ルピナスが乗った小型のドラゴンは、ルピナスがセルリアのように飼っている個体ではなく、単純にルピナスと気があうため力を貸してくれているだけだ。

 なので、呼んでも来てくれないこともある。


「ネージュ、サンキューな。中央地区までよろしくぅ‼︎」

「ガオゥ‼︎」


 轟き了解だと返事をするネージュは猛スピードで飛んでいく。

 風に煽られなびく髪は、まるで固定されたかのように動かない。

 速度を取り締まる法律やルールはないが、スピードは出しすぎている。


「この辺でいいや、また呼ぶわ」


 ネージュに乗り込んで半日ほど、ルピナスはネージュの背を叩いて自分が降りることを知らせると、飛んだままのネージュから飛び降りた。


 セルリアのように風魔法を上手く使った着地ではなく、身体強化と衝撃吸収の魔法を使った豪快な着地だ。


 上空を振り返りもせず、ルピナスは目の前の家まで行くと窓ガラスを叩くと、鍵がかかっていないのを確認しそこから侵入をした。


「セーン、どこだ!」


 ルピナスにとって勝手知ったる他人の家で、自分の家のように歩き回ってルピナスはセンを探す。

 あまり中は変わってないので迷うことはない。強いていえば、イグニスがいた頃より散らかっていることくらいだろうか。


 一番奥の部屋に行ったところでルピナスはセンを見つける。


 センは大量の書類と格闘していたが、自分を呼ぶ声にその手を止めて顔を上げた。


「相変わらずだね、ルピナスは」

「おうよ。今更変わるような性格でもねぇかんな」


 対して驚く様子もなくセンはルピナスを受け入れる。


 弟子時代、それこそ初めての交流会からの長い付き合いだ。

 ルピナスのこんな行動も幾度となくみてきている。注意するのも怒るのも億劫になるほどには繰り返されてきた行動だ。


「今も協会の仕事手伝ってんのか」

「まあね、ずっとそばで見てきたからよく分かってるし、セルジュとドロシーのせいでトネリコ休めてないみたいだから」

「なんも変わってねーのな」


 センが協会の仕事を手伝うのは昔からで、センから聞く協会の様子は今も大して変わっていないようだ。


「それより、なんか飲ませてくれ」

「保冷庫に入ってるから適当に出して。魔力は入れておいてね」

「任せろ」


 お互いによく分かっているので好きに過ごして貰えばいいというのは、昔と変わっていない。


 魔力の少ないセンは代わりに魔道具の魔石に魔力の補充をしてもらうのがいつものパターンだ。

 ルピナスの魔力量は一般家庭にある魔道具を全てフル充電してもまだまだ有り余る。


 センの眼鏡を取ってリビングに向かったルピナスは、保冷庫を開けてジュースの入った瓶を取り出すと蓋を開けてそのまま口をつける。


 そして、魔道具の位置を確かめると順番に魔道具の魔石に魔力を込めていく。

 棚の引き出しに通信機が入っているのを思い出しそれにも魔力を入れるとルピナスは椅子に座った。


 センの眼鏡をまじまじと見てからルピナスは眼鏡に魔力を入れていく。


「こんな小さいのによく入るよなぁ」


 魔石もほぼ見当たらない、見かけだけならごくごく普通の眼鏡だというのに魔法使いの平均値の魔力であればこの眼鏡は上限まで魔力は貯められないだろう。


「つか、こんなもんどこで手に入れたんだ」

「一人前になった時にお祝いにもらったんだ」


 ルピナスが独り言をいって、ちょうどリビングにやってきたセンが答える。


「うぉ、センか。眼鏡(これ)もバッチリ充電完了!」


 一瞬だけ予期していなかった声を驚いたルピナスだが、センだと分かっているのでそのまま座ったままで、センに向けて眼鏡を投げる。


「ありがとう、ルピナス」

「おう。それ、どんだけ入るんだよ、だいぶ持ってかれたぞ」

初めて入れたとき(空の状態)でトネリコの魔力とそう変わらなかったっけ」


 ルピナスが絶句する。

 今の魔法使いの中じゃ所有魔力量が上位にいるトネリコだ。


 そんな人と同じくらいの魔力をため込めるセンの眼鏡はオーパーツといってもおかしくないほどのものだ。


「偶然出来たから、たぶんもう作れることはないだろうって」

「こんなん大量生産できたらまずいだろ、さすがに。つーか、眼鏡(それ)の製作者はトネリコ(あいつ)の師匠かよ」


 肯定をしたセンは頷いて、コップに水を入れてからルピナスの正面に座った。


「あの人は変なもの作るの得意だからね。同じもの作れた試しないんじゃない?」

「そのわりに使えるもんばっかりとかいうから驚きだよな」

「同じくらい使えないものも作ってるけどね」


 それから思い出話に花が咲き、外が暗くなってきた頃、ルピナスが唐突に言った。


「なぁ、そういやレオルドって今中央地区(ここ)の勤務なんだろ。呼ぼうぜ」

「ルピナスが帰るまでに休暇があればいいけど」

「通信機、借りるぞ」


 すぐに通信機を取り出したルピナスは、警備団に通信をする。

 レオルドと話せたらしく、事情を説明している。ルピナスは顔に出るので話が聞こえなくてもよくわかる。


「じゃ、明後日センの家に」


 言い終わるか終わらないかで通信を切ったルピナスは、センに振り返り親指を立てる。


「よっしゃ!買い出し行くぞ、セン。善は急げだ」

「ルピナス、明日でいいって。今日は買うものを考えよう」

「そう、か。そうだな」


 センの言葉に納得したルピナスは大人しく椅子に座るが、すでに頭の中は明日と明後日のことでいっぱいで、喋るのはほぼルピナス一人だというに家の中は一気に騒がしくなったのだった。

ありがとうございました。

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