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ちょっとした昔話2

「カタリナか。上がれよ」


 普段、人の顔を見るなり嫌そうな顔をするイグニスが淡々と言うのでカタリナは驚く。


 しかし、おつかいのものを渡してすぐに帰るのも疲れるので、休憩も兼ねて家に上がらせてもらう。

 イグニスの後ろをついてリビングに着くと、そこにいる人物をみてカタリナは驚きの声をあげた。


「……トアル君じゃない⁉︎」

「え、あ、久しぶりだね。カタリナちゃん」


 面食らったのはカタリナだけではなく、トアルもで驚きに目を開く。


「元気だった?トアル君も、ルピナスさんたちも」

「うん、それはもう変わりなく」

「お元気そうでいいけれど、言葉に困るわね」


 トアルはカタリナの言葉に同意するような困った顔をして頷いた。

 元気なのもいいけど、いい加減少し落ち着いてもらいたいと思うのも事実だ。


「そっちの子はトアル君の弟子の子?」

「うん」


 初めて見かける男の子(グラジオ)に視線を向けたカタリナがトアルに尋ね、トアルが頷く。


「フィアも連れて来れば良かったわね。弟子なんだけど、お師匠様に懐いてるから」

「そうなんだ」


 さっきスコットからの話を聞いているため、なんとなくフィアがカタリナではなくその師匠に懐いている理由になんとなく察しがついたが口には出さない。

 自分たちよりも師匠たちの方がまだまだ出来ることも多いのだ。


「スコット君、向こうで説明しようか」

「はい」


 気を使ったグラジオは読んでいた本を閉じるとスコットを連れてこの場を離れる。


「それにしても全員が弟子を取るなんてね。イグニスは警備団に入ると思ってたけど」

「気が変わったんだよ」


 カタリナの言葉にイグニスが若干煩わしそうに返し、トアルは何も言わずに静かに笑った。

 センに憧れて弟子をとったなんて、イグニスは口が裂けても言うはずもないから。


 椅子に座ったカタリナにトアルがお茶を出して、残り少ないイグニスのカップにもお茶を注ぐ。

 その様子にカタリナは小さく笑った。


「懐かしいわね、この感じ」


 このメンバーでいるときは、細かく動くのはトアルだった。久しぶりの再会だというのにそれはあまり変わらないらしい。


「そうかも」

「よくばーさんに怒られたな」

「あー、そうね。お客に茶を出させるなんて何を考えてるだってお師匠様は」


 イグニスとカタリナはそれで拳骨をくらったこともある。


「だけど、適材適所だと思うのよね」

「俺らがやると不味いからな」

「あはは」


 二人が珍しく気が合ったを様子をトアルは苦笑をする。

 今でこそまともな味になっているが、あの頃のイグニスが淹れたお茶は真っ黒だったりでもったいないから水で薄めて飲んだりもした。


 それからしばらく、カタリナを交えて懐かしい子供の頃の話に花を咲かせていたのだが、どうにも怒られた記憶が多かった。

今年も一年、ありがとうございました。

来年もよろしくお願いします。


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