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それぞれの得意分野

 トアルとグラジオはしばらくイグニスの家に留まる予定で、今日からは魔法協会ではなく、イグニスの自宅に泊まる。


「ついでだから色々買ってきたよ」

「助かる」


 そう言ってトアルが荷物を床と机に置く。


 グラジオも手伝い荷物を持っていて、食材の入った袋を机の上に置くと大きく深呼吸をする。

 かなり重かったらしい。


「強化魔法が使えれば少し楽になるのに」


 ため息をついたグラジオにトアルは笑ってから、提案をする。


「師匠たちがいるときにやってみる?」

「そうですね、できれば」


 頷くグラジオは難しい顔をするので、イグニスが尋ねる。


「どうしたんだ?」

「いえ、無属性の魔法は苦手で。強化魔法は使いたいですけど習得までに時間がかかりそうだと思って」

「?強化魔法って無属性なんですか」


 ためらいがちに口にしたグラジオの言葉に、スコットが驚く。


「うん、そうだよ」

「なんだと思ってたんだ?」

「なんか、特殊なものなのかと思って」

 

 教えたはずだと肩を落とすイグニスをよそにスコットが言う。


「無属性が真似できない魔法が多いから、本当に無属性なのかなって驚くよね」

「そういえばジオもスコット君と同じようなこと言ってたなぁ」


 無属性はオリジナルの魔法が多く、同じ無属性魔法を使える魔法使いはあまりいない。


 そのため、無属性の魔法の中でもほぼ全員が扱える身体強化魔法は、無属性魔法の中で特殊になもののように感じてしまうことは仕方ないのかもしれない。


「あ、そうだ。イグニス、火属性で聞きたいことがあるんだ」


 属性の話で思い出したとトアルが言う。


「アレスさんの方が分かると思うが」


 適正の属性は違うが、おそらく魔法の技術や知識はアレスやセンの方がある。


 あまり力になれるとも思えないがと心の中で付け加え、イグニスはトアルの聞きたいことを待つ。


「大師匠も感覚的すぎて説明が……。ジオの適正が火属性だから火属性の中級魔法の練習を始めたんだけど、青い炎が出せなくて困ってるんだ」

「中級魔法のか」


 アレスとルピナスは使うのは容易いだろうが、感覚的に魔法を使うので説明するとなると難しいようだ。


 トアルの場合は、火属性の中級魔法は攻撃に関するものが多いのでかなり苦手分野で、ほとんど使えないのだ。


「感覚を掴むくらいなら教えられるか。トアル、スコットは風属性が適性だから頼んだ」

「うん。分かったよ」


 風属性を適性とするトアルなら、教えるのは適任だ。

 セルリアと違い、トアルは人を傷つけるような魔法は苦手ため、今のスコットにはちょうどいいだろう。


「よろしくね。スコット君」

「はい、よろしくお願いします」


 トアルとイグニスは、イグニスの家にいる間、互いの弟子を入れ替え魔法の授業をすることになった。


ありがとうございました。

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