セン?
簡単な人物紹介を作りましたので、こいつ誰だっけって時にお使いください。
第1話の前に置いてあります。
「さすがにそろそろ行かないとな」
イグニスの呟きを聞き取ったスコットが首を傾げるのでイグニスが説明をする。
「森の外に行く講習会。受けずに外に出てるからな」
センがいるなら大丈夫だろうと魔法協会の上部が判断し、本来受けるべき講習会をスコットは受けていないのだ。
魔法協会の職員たちはセンに対しては、公私混同では済まないほどの行動を起こすことがある。
誰も止める人間がいないのも問題なのだが、魔法協会ではそれが常識となりつつあり、他の魔法使いたちも堂々やられている上に、過剰すぎるそれに感覚が麻痺して気づかないのだろう。
それはさておき、講習会当日。
講習会の場所は魔法協会なので、スコットを連れて魔法協会に向かう。
来たことを受付に伝えに行こうとして、スコットがイグニスの服を引いて遠目に見える人物をためらいがちに指差す。
「師匠、セン師匠がいます」
その声はちょっとだけ自信がなさそうだ。
スコットの示した方に視線を向けたイグニスはわずかに驚いた顔をする。
服装こそセンらしくないが、背格好やら容姿はセンにそっくりである。
「ん?似てるけどあの人は――」
「あの人は?」
「センじゃない」
確信を持ってイグニスはセンではないと否定をする。
知っている人物のようでイグニスは頰をかいてから口を開く。
「あの人はセンの双子の兄弟で、エルマンの従者をやってる――」
「ユーリと申します」
いつの間にかイグニスとスコットのそばまで来ていたユーリはそう言って丁寧に一礼をする。
驚いて一歩後ずさったイグニスとイグニスにしがみついたスコットに反応を割と無視してユーリは続ける。
「以後お見知りを、スコット様。そして、イグニス様はお元気そうでなによりございます」
近くでよく見れば、センと違うのはよくわかる。
なんというか、顔はそっくりなのに印象は全く違う気がする。
魔法使い以外が着る正装のようなものを着ているせいもあるだろうとおもうが、全体的にキチッとしている印象で、かたっ苦しさがある。
なのにセンのような穏やかさが感じられて、その雰囲気だけでもセンと兄弟なのだとわかる気がする。
「あ、あぁ。何度も言うけど、様付けはやめてくれ。その顔で言われるのは違和感を通り越してゾッとする」
顔をしかめたイグニスが言うがユーリは一蹴する。
「仕事中ですので出来かねます。ですが、休暇中でしたら可能です」
「休みなんかないくせに」
ぼそっとイグニスが呟き、それを聞こえていないのか、聞こえない振りをしているのかユーリはスコットの方を向く。
「エルマン様の言葉通り利発そうな子です。お会いしたと知ればさぞ悔しがるでしょう」
イグニスにしがみついたままのスコットはユーリの顔をまじまじと見ていて、まるでセンと比べているようだ。
「今日は一人か?」
「はい。私がこちらに一人で伺えばエルマン様の仕事は捗りますので」
「そうか」
「そうです」
まとまった休みが取れず、半ば諦めていた魔法使いの森での長期滞在の夢がイグニスに久しぶりに会って再燃したらしい。
その夢を叶えるためにユーリは一人でここに来たようだ。
「忘れるところでした。スコット様の好みなどできる限りで調べて欲しいとエルマン様から申しつけられておりました」
「この前ので言えばココアが気に入ってたか。浮かんでたのはなんだったか」
イグニスがスコットの方を見れば、スコットが答える。
「マシュマロ。小さいのがいっぱい」
「なるほど、他にはございませんか」
「えぇっと、いちごのクッキーです」
ふむと頷いたユーリは素早く手帳にペンを走らせる。
「ありがとうございます、スコット様。これでエルマン様に怒られずに済みそうです」
スコットに目線を合わせて礼を言ったユーリは立ち上がるとイグニスへと向く。
「イグニス様、一つ個人的な伝言をお願いできますか」
「センにか?」
「はい。会った時で構いませんので、根を詰めずに休めと」
言いながら、ユーリの視線が一瞬スコットにいく。
イグニスやスコットのためにも集中して周りが見えなくならないようにということのようだ。
「わかった。けどそれはユーリさんもだと思うけど」
「そうかもしれません」
苦笑するユーリはセンによく似ている。
ちょうど会話が途切れたところでユーリを呼ぶ声が聞こえてユーリと別れると、イグニスとスコットは講習会を受けるために受付に向かうのだった。
お読みいただきありがとうございます!




