魔法適性
「今日はこんなもんかな。質問はあるか?」
手にした教科書を閉じてイグニスが言った。
「そうだ、師匠。この前、セン師匠が使った魔法って何ですか」
「この前?」
イグニスは心当たりがないというふうで、考え始める。
「えっと、薬草を取りに行った時の、何もわからないまま終わったから」
「ああ、あの時の」
センよりも早く倒せなかった悔しさがこみ上げて来るイグニスだが、あの時は背中合わせで戦っていたのでどうやってセンが倒したのかはわからない。
「センのことだ。無属性の魔法だろうな」
「無属性?」
「最初の方で教えただろ」
スコットは首をひねってしばらく考えた後、思い出したようだ。
魔法は大きく分けて五つの属性に分類される。
火、水、風、土、そして無属性。
どの属性も魔法使いたちは扱える。
属性の得手不得手や魔力のコントロール、魔力の量などで使えない魔法もあるにはあるが基本的に全属性はつかえる。
「どこにも属さない魔法……」
「あいつは無属性魔法が得意だからな。それ以外、使えるのかずっと謎だったし」
イグニスはセンが無属性以外の魔法を使っているのを見たのは数えるほどしかないらしい。
「師匠は?」
「俺は火だ。適性もあったからな」
「適性」
適性の魔法は使う魔力が少なくて済むという利点がある。効果も上がるので、一般的には適性属性を伸ばすようにする。
「せっかくだし、調べてみるか?」
「出来るんですか」
「近々、調べるつもりだったし用意はしてあるからな」
と言って、イグニスが持ってきたのは手のひらに乗るサイズの水晶だった。
水晶の上に手をかざすと、火なら赤に、水なら青に、風なら緑に、土なら黄色に、無属性なら白に光る。
イグニスは手本を見せるために手をかざす。
すると水晶は赤くぼんやりと光る。
「まあ、簡易版だし詳しくは調べられないけどな」
スコットも同じように水晶に手をかざすと、水晶は緑に光る。
「緑だから、えっと、風だ」
「風か。風はセルリアと……」
「セルリアさんと?」
「いや、セルリアだけだ」
他にも誰かいそうであるのに、言うのをやめたイグニスに、スコットは不思議に思いながら追求はしない。
聞き出す術をスコットは持ってないし、師匠がいつか話してくれるような気がしてるから。
「師匠、他の人の属性はなんですか」
「そうだな、火属性はウォルスさんか。水ならカタリナ、トネリコさんは地属性だったか、無属性だとセンの他にレオルドさんだな」
今はこれでいいと、スコットは思ったんだ。
ありがとうございます。




