外伝ーーエルマンとユーリ
エルマン視点の話です。
トネリコに連れられて魔法協会に戻る。
本当はもっと話したいこともあるのだが、無理を言ってここに出掛けた以上、追加のワガママは言うべきじゃない。
それに、従者であるユーリを怒らせるのは得策ではないのだ。
彼を怒らせたら誰も味方してくれないし、説教という名のお小言を頂戴して仕事も五割り増しになる。
それはなんとしても避けるべきだ。
時間をなんとか作って会いにくればいい。
きっとユーリなら手伝ってくれるだろうと、思いながら魔法協会の中に入り来客用の部屋に案内をされる。
トネリコが扉を開けて、僕を中に入るように促す。
「馬車の手配が出来次第お呼びしますので――」
それだけ言って、彼は仕事に戻っていった。
部屋の中にいるのは、茶色の髪に柔らかな雰囲気を持つのにかた苦しい、いや、冷たい印象を与えるユーリ1人だ。
魔法使いの森に行ける人間は少ないうえ、護衛のためといえど行きたがる人間も少ないのだ。
ユーリは喜んでついて行きたがるが。
僕の顔を見るなり、ユーリが尋ねる。
「何かいいことでもありましたか?」
「うん。イグニス君に会ったんだ」
「そうでしたか。それにしては、なんだか悔しそうな顔もしてますけど」
隠していたつもりでも、ユーリにはわかるらしい。
「弟子を連れていてね。計画がダメになりそうなんだ」
「本気で考えていたんですか」
「半分はね」
イグニス君がいてくれたら、きっと毎日が楽しくなると思う。ユーリに勝てる日もあるかもしれない。
そんな風に考えながら、僕とユーリは魔法使いの住む森を後にした。
ありがとうございました。




