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カタリナの仕事

「やってることはほとんど、変わらないわね」


  そう言ってカタリナはティーカップのお茶を一口飲む。


「弟子を育てることですもんね」

「そうね。違いがあるとすれば、教え方ね」

「教え方」


  例えばと、カタリナがアゴに指を当て、僅かな間のあとで答える。


「私は魔法の実践の前にしっかりとどうなるかを教えてからやるの。成功した時と失敗した時を伝えておくのよ」

「うちと違う……」


  少し離れた場所でフィアの質問に答えているイグニスにスコットは視線を向ける。

  練習の時にまともに教えられてないどころか、一度だけ手本を見せられて同じようにやってみろ、である。


  やり方もおぼつかない素人相手に無茶振りである。

 

  「なんだよ」


  視線に気づいたイグニスがいう。


「いろんなやり方があるな〜って思って」


  少々、恨みがましいスコットの視線であるが、イグニスは気にも留めない。


「教え方はどうでも暴発させずに使えるようになりゃ問題はないだろ」

「そうなのかもしれませんけど……」

「こいつに常識を求めるだけ無駄よ」


  カタリナが横からバッサリと言った。

  フィアが慌てるが、スコットが納得したように言葉を発するので場は平穏だ。


「そっか、そうですね。セン師匠も言ってましたし」


  否定したそうなイグニスだったが、何も言わない。


「あら、センさんに会ったの?」


  驚いた顔のカタリナがスコットに尋ねる。


「はい!とっても強くて優しい人です」

「そう」


  微笑んだカタリナはそれだけ言って、それ以上は突っ込まない。

 

  何かそうしなければならない理由があったのだろうと、長い付き合いから理解しているからだ。

 

  なにもなければ、こいつ(イグニス)がセンに会いにいくはずがない。

  だから、カタリナは何も聞かない。

 

  カタリナの視界の端、イグニスが安堵したようにみえた。


  それから、スコットはイグニスに聞いた話を確認しながらカタリナへの質問を決める。


「カタリナさんは、魔法協会のお仕事なにを選んでるんですか?」

「私はそうね、アイテムの加工かしら。魔道具なんかの部品作りね」

「そうなんですね」


  紙に書いていくスコット。


「あとは魔力の付与とかが多いわね」

「師匠が苦手なやつ」

「それはそうでしょうね。イグニスは直感で動く方だもの」

「なるほど」


  大体、聞いたことを書き終えると白紙だった紙はしっかりと埋まっている。


  フィアの方も無事に終わり、帰ろうとしたカタリナは立ち止まる。


「お姉ちゃん?」


  フィアも足を止めてカタリナを見上げる。


「ちょっと言い忘れよ」


  イグニスたちの方へカタリナは振り返る。

  一応イグニスの数少ない友人であるという自負がある。

  だからこそ――伝える。


「困ったことがあれば力になるわ。まあ、戦闘面じゃ足手まといでしょうけどね」


  イグニスは頭をかいていう。


「そん時は頼む」


  弟子たちはどこか不思議そうな顔をしていたが、師匠たちはなにも教えてはくれなかった。



 

ありがとうございました。

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