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カタリナ襲来またはフィアの奮闘

  カタリナが扉を叩こうと拳を作る。


  いつかのように乱暴な音は鳴らず、控えめなノックの音が響く。

 

  それもそのはず、カタリナの前にフィアが扉を叩いたからだ。

 

 フィアはセーフと息を吐く。


  カタリナの師である女性にしっかりと言われているのだ。


『あれはあのこに対してだけはすぐ突っかかる。フィア、あなたの役目はあれの行動を常識の範囲、不快にさせない程度の行動にさせることです。頼みましたよ』


  魔法使い以前に、人間としてまだまだ半人前の子供に託すようなものじゃないとフィアは思う。


  だとしても、前回のことがある。

  本気でやっていると考えたくはないが、家を吹き飛ばそうとしたカタリナだ。フィアとしては不安が残る。


  イグニスがすぐに怒るような人ではないと、なんとなく感じるし、カタリナの師にも言われた。


  かといって、やりすぎだとフィアは思っているので、全力で頼まれたことをやる気でいる。


「フィアです。師匠と一緒です」


  カタリナが大声を張り上げる前に、手を打つフィア。


  なんとなく、カタリナが不機嫌になった気がした。


  たとえ、半分がストレス発散だとしてもやめてもらいたいので、フィアとしてはこのまま続ける。


  走る音が聞こえて、玄関の扉が開く。


  出迎えてくれたのはスコットだ。


「こんにちは。フィアさん、カタリナさん」

「こんにちは、スコット君」


  フィアとスコットが挨拶をしたのを見た後、カタリナが口を開く。


「これ、お師匠様からのおすそ分け」


  カタリナが持っていた袋を開いてスコットに見せる。

  中には、ごろごろとたくさんの野菜が入っている。


「うわぁ、いっぱいある」

「お師匠様が趣味で作ってるのよ」

「ありがとうございます」


  お礼を言って、スコットが受け取るために手を出すが、カタリナがそれを止める。


「重いから運ぶわ。どこに置いたらいいかしら」

  「師匠に聞いてきます」


  スコットがリビングに行こうとすると、ちょうどイグニスが玄関までやってくる。

 

  カタリナは袋をイグニスに差し出す。


「これ、お師匠様から」

「ああ、いつも悪いな」

「お師匠様が好きでやってることだしいいんじゃないかしら」


  それから、妙な間があいてイグニスが口を開く。


「スコット、3人目はこいつでいいんじゃないか。ちょうどいいだろ」

「投げやりね。なら、こっちもあんたの話、聞かせなさいよ」


  少々ケンカ腰の師匠たちの会話を眺めつつ、弟子たちは相手の師匠に頭を下げた。



 

ありがとうございました。

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