忙しい人
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「もう疲れたぁ」
大きくため息をついたセルジュは、コツコツと机を人差し指で叩く。
二度目のため息と同時に部屋の中を見回す。
幸いなことに今日のお目付役は新しい資料を取りに席を外している。
「よし」
逃げるなら今のうち。
部屋の扉から堂々と出れば面倒になるのは目に見えてるので、窓を開けてそこから出る。
見つからないように細心の注意を払いながら歩いていると、セルリアを見つけたので適当なところまでドラゴンに乗せてもらうことにする。
この際逃げれるなら行き先はどこでもいい。
セルリアに礼を言って降りた先はイグニスとスコットの家だ。
さぼりがてら様子を見に行くことにして、玄関の戸をノックをすると返事を待たずに中に入る。
「お邪魔しまーすって、勉強中か」
リビングで難しい顔をして計算問題をやっているスコット。
セルジュには気づいていないらしい。
イグニスは立ち上がっていて、ちょうど玄関に向かおうとしていたようだ。
「……セルジュさん」
「サボりに来た」
堂々言い切ったセルジュはニッコリと笑った。
イグニスはため息をついて、お茶の準備をする。そろそろ、スコットの勉強もひと段落つく頃だ。
「出来た!師匠、答え合わせ―――セルジュさん?」
ひらひらと手を振るセルジュ。
「うん。ちょっとね遊びに来た」
わずかに疑いの目を向けるスコットだが、気にする様子もないセルジュ。
イグニスが運んできたカップを手に取ると礼を言って口をつける。
そこに席を外したスコットが一枚の紙を持って戻ってくる。どうやら、自分の部屋に行ってきたらしい。
「セルジュさん、お話聞かせてください」
持ってきた紙をセルジュに見せるスコット。
「えっと、ああ、あれか」
書いてある内容を見て、何かを理解する。
一瞬、ため息を出しそうになるが素早く飲み込んだ。
「未来の魔法使いを育てるため」
誰に聞こえないほど小さな声でセルジュが呟いて、笑顔を貼り付ける。
「僕の仕事というか、まあ一般的な協会の仕事について話そうか」
スコットが首をかしげると、イグニスが補足をする。
「セルジュさんは会長候補だから、協会の仕事はなんでもやるからな」
「やらされてるの間違いだよ」
イグニスの言葉をセルジュが訂正する。
「おかげでやってもやらなくても仕事は増えてくんだよ。いつまでたっても終わらないし、監視をつけられるしで休む暇もない」
「監視……」
「そ、ウォルスの部下とか」
一口だけお茶を飲むと、セルジュは魔法協会の仕事について説明を始める。
「魔法協会の仕事で一番多いのは、魔法使いの困りごとを聞いて解決することと、師匠と弟子が上手くやってるかを知っておくことかな」
「困ったことがあれば、協会に聞くのが一番だからな」
スコットが紙に書き終わるのを確認してから、セルジュが続ける。
「魔力を持った子が見つかったら迎えに行ったりするのも協会の仕事なんだ。スコットもイグニスも僕もそう、協会の人に連れられてここに来てるよ」
「そうなんですね」
「うん。たまに例外のあるけどね。森の外に出かけた魔法使いが偶然見つけたりね」
ここまでが基本的な仕事と、セルジュが一度区切る。
「あと特殊ってわけじゃないけど、森の外と関わりを持つのも魔法協会の仕事。商人とか旅人、他にもいるけど、こんな感じかな」
セルジュはカップのお茶を飲み干す。
「で、最後の確認をするのが会長だったり、僕らだったりするんだ」
うんざり気味にセルジュが言う。
聞いた内容を書いていくスコット。
大変そうと言うのが、スコットの感想である。
思い出したようにセルジュが一つだけつけたす。
どうでもいい情報だと前置きをしてセルジュが口を開く。
「協会の職員って魔力が少ない人が多いんだけど、みんな、何かしらの対応策を持ってるから、迂闊に手を出すと返り討ちにあうから気をつけてね」
その言葉に、イグニスは複雑そうな表情をする。
(集大成というかなんというか、その技術を叩き込まれたのがセンなんだよな)
イグニスは静かにため息を吐いた。
ありがとうございました。




