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スターリング家がやってくる!

  魔法協会近くの商店の帰り道、スコットは急に立ち止まった。


  それに気づいたイグニスはスコットに声をかける。


「どうしたんだ?ああ、今年はここでやるんだな」


  すれ違う魔法使いたちが妙に浮き足立ってるというか、そわそわしていると感じていたイグニスは納得する。


  視線の先にあったのは掲示板で、スコットの目を引いたのはひときわカラフルで賑やかポスターだ。


  スターリング家のマジックショーと書かれている。


「どこかで聞き覚えが……」

「あるだろうな。セルリアの実家だからな」

「なるほど」


  納得とスコットは握った右手を左手の手のひらでポンと打つ。


「じゃあ、マジックショーは?」


  スコットには聞いたことのない言葉だ。

  イグニスは説明をしてくれる。


「ここじゃ馴染みがないからな。そうだな、魔法よりも魔法みたいなもんだよ」



  イグニスの言葉にスコットの目が輝く。

  合同授業の際にセルリアからちょっとだけ見せてもらった魔法はすごかった。


  なにより、魔法を使わないのに魔法よりすごい。そんなことを言われたら、見てみたくなる。


「見たいのか?」


  コクコクと頷くスコット。


「応募だけはしてみるか」

「応募?」

「観たいって人が多ければチケットは抽選になるからな。スターリング家のショーは毎回そうだからな」


  ショーなどの娯楽は魔法使いの森にほとんどない。積極的に魔法使いと関わろうとする人間も少ない。

  かと言って、森の外にあまりでたがらない魔法使いたちなので、こういった催しがあると倍率は高くなる。


「師匠はみたことがあるんですか」


  スコットが尋ねる。


「何度かな」


  センの知り合いから招待をされて、森の外でみた。あの時は窮屈な服を着せられたりとかを思い出す。

 

  おかげで、ゆったりした席に座って間近で観ることができてはいたのだが。




 ―――――――――――――――――――


  ショーの一週間前、当選者にチケットが送られてくる。


  スコットは窓を眺めて、配達の鳥がやってくるのを今か今かと待っている。


  そんな弟子に呆れつつ、夕食の準備を進めるイグニス。


  さすがにこの時間だ。外れてるはずだ。


  スコットに見せてやりたいとは思うが、なにせ倍率が高すぎる。そう簡単に当たるとは考えていない。


「わっ!?」


  スコットが声を上げる。

  イグニスが振り返れば、一羽の白いフクロウがスコットの顔に張り付いている。


  どうやら、開けっ放しの窓から勢いよく入ってきたらしいが、いささか元気がよすぎるようだ。


  イグニスはフクロウを捕まえて、止まり木の上に乗せてやる。


「ほー!」


  慌てたように部屋の天井近くを旋回したフクロウは、床に落ちた封筒を咥えてまた止まり木に止まる。


 イグニスが受け取って、差出人を読む。


「スターリング家一同」


  イグニスは頭をかく。


  セルリアの家だ。

  直接会ったことはあるが、手紙がくるほど親しくはない。そもそも住所を知ってるのはおかしい。

  セルリアあたりが教えたのだろうけど。


  封筒を開けば、手紙と一通の封筒が入っていた。


  手紙はセルリアの父親からで、要約すると息子とその弟子がお世話になっています。チケットを同封するので、ぜひきてください。とのことである。


  スコットに伝えると、ものすごいテンションではしゃいでいた。


ありがとうございました。

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