レオルドが帰った後で
スコットから見れば、緊張とは無縁そうなイグニスが緊張をしたと言えば、不思議に思えた。
「師匠が緊張……」
「なんだよ」
声に出していたつもりがなかったスコットは、イグニスの返しに驚く。
「えーと、いや、だって、会いたくない人じゃなくて、会えて嬉しい人なんですよね?それなら、なんで緊張なんか」
イグニスは頭を乱暴にかく。
「あの人は魔法を教えてくれた人だからな。それに、若くして警備団副隊長候補なんて言われてるすごい人なんだよ」
「すごい人なんですね」
「本来、俺なんかが気楽に会える人じゃないのは確かだな」
そう言って、センの時とは違いわりとしっかりと話してくれるイグニス。
「消費魔力が多い魔法は師匠が許可を出すまで一人で使わないのがルールで、手本としてみせようにも、あいつは出来ないからレオルドさんに頼んだんだ」
「セン師匠はほとんど独学だって」
「まあ、そんな感じだな」
センが教えようとするのを、魔法使いに誰がなるかと拒んだからというのが主な理由ではあるが、実際は魔法協会職員やレオルドたちから学んでいる。
これ以上、この話題を掘り下げたくないイグニスはレオルドについて教えてくれる。
さりげなく?話題を変えるイグニス。
「レオルドさんは身体強化魔法が得意で、魔法がなくてもそれなりに強いんだよ」
「強化魔法って……ビューンって速く走ったりできるやつですよね」
「あー、まあそういうのだ」
スコットの表現に苦笑いのイグニスだが、思い浮かべている魔法はあっているのでよしとする。
この魔法は、日常生活でも役に立つが意外と得手不得手があったりするようだ。
遅刻寸前のやつがたまに使うことはあるが制御できず大惨事になることがことが多い。
「警備団は大抵使えるんだよな、強化魔法」
「そうなんですか」
「被害を少なくするためにも必要なんだろうな」
魔法使いが暮らすのは森の中が多いため、人が少ないといっても火属性の魔法は危険すぎる。かといって、他の魔法も周囲に被害が出ることを考えれば、使える魔法は限られてくる。
もう一つ、理由もある。
「強化魔法は魔法を消すより速く動けば、かなり最強に近いってのもある」
「さいきょう……」
「攻撃は最大の防御って言葉が似合うか」
それならと、スコットにある疑問が湧く。
魔法を消せるセンと戦ったらどちらが強いのだろうと――。
気になってイグニスに尋ねてみる。
「魔法がなければレオルドさんが確実に勝つだろうと思うけど……」
「けど?」
「強化魔法を素早く消す方法をセンは知り合いと共同で作ってるからな。五分五分だろうな」
イグニスにとって難しい質問である。
普通なら勝敗わかるような勝負も、センとその共同者が相手となると色々と規格外の人たちなのでわからないのである。
ありがとうございました。
イグニスにとってレオルドは第2の師匠です。




