イグニスの決意
「はぁー」
机の上に並べた書類と小さな箱を眺めて、イグニスは大きなため息をつく。
魔法協会によったついでと仕事を受けたものの、しっかりと確認をするべきだったと後悔する。
「どうしたんですか師匠?」
勉強をする手を止めて、スコットはイグニスの方を見て首をかしげる。
「なんでもねぇよ」
指でトントンと机を叩き、なにか決意をしたように小さな箱から髪飾りを一つ取り出す。
「上手くいきますように」
誰も聞き取れないほどの小声で呟くと、深呼吸をして髪飾りに魔力を込めていく。
何度か繰り返した後、イグニスは髪飾りを箱に投げ入れて、頭を乱暴にかく。
「師匠?」
「失敗した。繊細なコントロールは苦手なんだよ」
細かい魔力のコントロールを学んだのはいつだった。ほとんど魔法について教わった記憶はないが、コントロールだけはしっかりと学んだはずだった。
出来ないと協会に行くのも嫌だし、どうにかやるしかない。
そう考えると気が滅入るが仕方がない。
イグニスは必死に記憶をたぐるが思い出せない。
思い出したところで、おそらく自分のペースだと間に合わない可能性が高い。
苦手な分野で僅かだけの魔法付与だ。かなりの精度が必要である。
頭を抱えて悩んだあげく、イグニスは乗り気のしない声で告げる。
「センのところに行く」
どうせ話したいこともある。
会いにいきたくはないが、イグニスは決意を固め、ため息をつくのだった。
ありがとうございました。
少しは書くのが上手くなってればいいけど‥‥‥‥。




