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交流会ーー師匠の噂

「……イグニスってあの」

「魔法大会でぶっちぎりで優勝したっていう」


  スコットがコクリと頷く。

  ぶっちぎりで優勝したかはわからないが、魔法大会で優勝したのは確かだ。

 

「なるほどな。それで人数少ないのか」


  リオンの言葉にカルネが慌ててリオンの口を塞ぐがスコットはわかっていないようで不思議そうにしている。

  コナーはどう説明するべきかと言葉を探す。

  そこへ見回り中のウォルスが入ってくる。


「あいつは悪さばかりしていたからな。よく思われてないんだ」

「そっか、だから師匠は友達がいないんですね」


  ウォルスはスコットの言葉に堪らず笑い出す。


「そうだな。魔法使いになりたくないと言って騒いでいたからな」


  懐かしそうに目を細めるウォルス。いつ思い出しても、立派に一人前になったものだと感心する。


「師匠って……」


  ちょっぴり呆れ気味なスコット。先輩組は驚きと同時にかなりの実力者になっていることを不思議に思ったらしく、複雑な表情を浮かべる。


「もともと才能があったのは確かだが――」

「優秀な調教師がいたからね」


  いつの間にか輪に加わっているセルジュがさりげなくいう。


  意味を理解したコナーがわずかにひきつる。他の連中が理解していないのをわかって、セルジュは楽しそうに笑う。


「まぁ、それだけ師匠が凄いってことかな。弟子を理解して導けるんだから」

「そうね。わたしなんて、いつもケンカばっかりだもの」

「困ったことがあったら協会に相談においで。できる限りのサポートと対処はするからさ」

「ありがとうございます」


  雑談を始めるスコットたちを見て、大丈夫そうだとそっと場を離れるセルジュとウォルス。

  入念な下調べをしていたといえど、心配はあった。


「何事もなく終わりそうで安心だな」

「そうだね」

 

  会話が途切れ二人はスコットを眺める。

  仲良く出来ているようで、時折笑っているのがわかる。

  それを見てセルジュは微笑んだ。


  きっと協会としては正しくはない。一つの師弟に肩入れするのはよくないことだ。

  とか言いつつ、この協会はイグニスの師匠であるセンが関わっていると割と私情を挟むのだが。

 

  今回の交流会も、スコットとイグニスがセンの弟子でなければここまでの配慮はしてないだろう。

 

  しばらくして、交流会が終わりスコットはフィアと一緒に会場を出る。すると出入り口近くでイグニスが壁に寄りかかりながらスコットを待っていた。

  その隣にはカタリナの姿もあった。


「師匠!」

「お姉ちゃん」


  スコットとフィアがそれぞれの師匠に駆け寄る。


「楽しめました?」

「はい!カルネさんにお姉ちゃんに会いたいと言われました」

「まぁ」


  カタリナの問いにフィアはたのしそうに答える。

 

  一方、スコットはイグニスを見上げて、何か言いたそうにしている。


「どうしたんだよ」

「……師匠ってどんな悪いことしてたんですか」

「なんの話だ?」

「だって、ウォルスさんとセルジュさんがいってて……」


  イグニスは手で顔を覆いため息を吐く。そばにいたカタリナは必死に笑いをこらえて震えている。


「あいつら……」

 

  このままでは怒りを爆発させそうなイグニス。

  弟子に八つ当たりはしないだろうが、このままではスコットがかわいそうだとカタリナは口を開く。


「誰にでも失敗はありますわ。そっとしておいてあげなさい」

「わかりました」

「フィア、帰りますわよ」


  カタリナとフィアに手を振って、スコットとイグニスも帰路につく。


  帰り道、スコットは家に着くまで交流会でのことを話し、イグニスはずっとそれを聞いていた。


  後日、魔法協会にイグニスの姿があった。

  スコットを余計なことを教えるな抗議をするためだったが、昔からの魔法協会の職員たちに構われてからかわれて、ほとんど何も出来ずに撤退したイグニスだった。

センの話はそのうち書くつもりです。

おおざっぱにストーリーはあるので。


読んでいただきありがとうございます。

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