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天使狩り


軽いグロです。

 

 夕暮れ時が好きだ。


 赤い太陽が地平線の下に半分だけ隠れ、青空色と夜空色の中間の深い藍色の空。そこに日の光が反射して出来た赤橙あかだいだいの雲。



 哀愁を感じる。とても切ない気持ちになるんだ。


 まるで今日の終わりを告下られる感覚だからかな……。



 あーダメだ。今の無し。忘れろ。




 話を変えよう。魔法は便利だが、面倒臭くて融通が効かない。特にこの魔法はこんな夕暮れの日にしか出来ない。



 式を地に書く。それを六芒星に繋げて、奴らの同法の黒い羽根を3枚。六芒星の中心に置いて、それに火を付けて煙を巻き上げ俺の居場所を教える。



 ショタじじいとは別行動だ。俺が逃げないと思ってるらしい。まあ確かに逃げる気は無いけどさあ。


 あの血まみれ天使共の神様(上司)を探し始めて今日で2日目。そろそろ進展が欲しい。




 ーーバサバサバサバサ……。



 そんな事を考えてる内に奴らが来た。


 魔法の名前は【グリムの取引】。ちと古い魔法だ。



 これは、動物達と取引を持ちかける魔法だ。呼んだ動物はカラスだ。


 空を飛べるし下手すりゃ人間よりも頭がいい。捜索で1番頼りになる動物達だよ。無下に扱うと拗ねて、仕事を放棄しちゃう事もあるけどね。


 俺が用件を言おうとした、その前に奴らのリーダーが先に口を開いた。



「【グリムの取り引きか】。やれやれ……。


 どんな年寄りかと思えば、こんな反抗期真っ只中の青年だとはな」


 大分年寄りのカラスみたいだ。多分70歳位かな。てかあんた……。


「俺の事ガキ扱いすんなよ」


 思わず言い返した。


「【人を見た目で判断するな】っと言いたいのか?


 しかしだ。君からは大人の落ち着きと呼べる物を感じないのだよ。体の年齢も16程だろ? 」


 ……クソッタレ。俺はカラスに口で勝てた試しがない。口を開けば、俺の事をガキだの、少年だのと小馬鹿にしてくる。多分遊び半分でからかってるんだろうぜ。


 まあ、いい大人は目が隠れそうな程前髪は伸ばさないし、蛇と十字架の目立つピアスなんてしないわな。髪の毛は染めてねぇから、目には優しい気がするんだけど。



 自分の見た目が反抗期クソ野郎ってのも、正直反論は出来ない。実際大人は好きじゃないし、反発した事もある。俺の外面だって、【僕】の時と比べるとパッと見で絡みたくない奴って感じだしさ。



 まあ俺が好きでやってるんだけどさ。人間に好かれていい事なんてそんなねぇし。


 自分語りが多すぎた。ごめん。ちょっと自重する。






「取引だ。【クマノ神の使い】。 あんたらに探して欲しい奴らがいる。最近この街にいる血まみれの天使共と、その神だ。奴らの住処を探してほしい」



 電線の上で無数に群がるカラス達は結構怖い。今喋ってた奴なんて目が赤く光ってる。



 カラスが聞き返す。


「報酬はなんだ? 貴様の目か? 貴様の血肉か?


 それとも魂か? 」



 ……物騒な事を聞いてくるが、奴らは俺をからかってるだけだ。 まあ首を縦に降れば、普通に食い殺されるがね。



 取り敢えず報酬を提案した。【これ】をカラス達はかなり気に入ってくれたらしい。





「ほー気に入ったぞ。よもやそこまで血も涙もないとはな。御身には、人の血は残っていないのでは無いか? 」




「魔法使いになった時点で、俺たちは人間辞めてんだよ。てか俺の事……、人間なんかと一緒にすんなよ。あいつらみたいな思考停止野郎と同類なんて死んでもゴメンだね 」


 カラスの群れのリーダーが、呆れたようにため息を付いた。そのまま下を向いて、こっちを見なくなった。


「……はあー。まあ取引は成立だ。我らも努力はするが、結果は期待しないでくれ 」



 その言葉を最後に、カラス達が一斉に飛び去っていった。あんな事を言っていたが、必ず結果を残すさ。奴らは人間と違って賢い。




 ※※※※



 欲しい物……欲しい物。今、私が欲しい物。


「悩むかい? 」


「うん。ちょっとだけ待ってて。私考える 」



 そうだ! あの頃のお母さん!……ダメだ。お母さん何ていらない。いつも私を殴ってくるのあの人は、いらないや。捨てちゃおう……。



 お父さんはどうだろう?……やっぱりいらないや。



 女の人と浮気した人なんて欲しくない。あれから1度も会いに来てくれなかった。私の事なんていらないんだ。



 だから私もお父さん何て要らない。



 はあー……。欲しい者かー。そんなのあるわけ……、



 いや……ある。あの人が欲しい。



 私の事を助けてくれた……あの優しいお兄ちゃんが欲しい!


 私、あのお兄ちゃんと結婚したい!


 私はお母さんみたいにならない。優しいママになるんだ!


 あのお兄ちゃんならお父さんみたいにならない! きっといいパパになる!



 私決めた!!



「ねぇ! 【神様】! 私……あの時助けてくれた、




 お兄ちゃんが欲しい! 私……あのお兄ちゃんと結婚する! 」



 神様はニコッと笑って、私の目を見て言ってくれたの!



「いいよミエコ。




 君が欲しい物は……何でもあげよう 」




 ※※※※



 自らの白い羽を血で汚し、神から授かった法衣を罪で汚した天使達。奴らは人気の無い路地裏にて集まっていた。


 1人がやや興奮気味の口調で会話のネタを話し始めた。



「彼女が4回目の願い事を、我らが神に託されたそうだ」



「オーー!! 」 っと天使達が声を上げた。皆が歓喜に震えている。



 瞳の奥には希望の光が溢れてる。長年の悲願でもかなったんだろう。


「祝杯の幸を用意しなければな。あと数人の人間の血肉と魂で我らが神は、新たな扉を開く事が出来る」



「……しかし我らが神は何と聡明なのだろう。そこらの八百万の神では考え付かない事をお考えになる。


 無名の神とあの御方を愚弄した天の神々も、いずれは後悔する事になるだろうな 」




 ……聡明だ? アホか。




 グシャァァァ……




「! 何者! 」



 天使共が一斉にこっちを振り向いた。俺が奴らの仲間の死体を投げつけたせいかな。そう怒るなよ。


「聡明ってのは……頭が冴えて、人格者を指す言葉だ。お前ら無駄口が多いから気をつけろよ。


 自分達の無能っぷりが知れるぞ? 」



 カラス達の情報はネット何て物より確かだった。俺の後ろの群れが報酬を待ってる。全員目を赤くしてな。


「まあ待てってろよ。約束は守るからさ」


「無理しなくても構わんぞ? 代わりになる物はあるだろ? 」


「それは勘弁」

 

 あーもう性格悪いカラス達だ。


 とか言ってる好きに天使達が襲いかかってきた。相変わらず全員同じ地味顔の男。数は40。



「とりま35人は……いらないな」



 ビキ……ビキ……ビキ。



 まだあの子から引き継いだ傷が治ってない。だが、お前らに遅れをとるような俺じゃねぇよ。



「……な、何ィィィィ!!? 」



 右腕だけ変化させた。全身変えるのは面倒臭い。それにこっちの方が早い。



 でかくした腕使って、取り敢えず向かってくる奴らを握りつぶした。ぐしゃっと来るかと思えばプチって感じ。


 何か予想と違って面白かった。



「き、貴様!!」


 さっきので5人減った。次……。


 2人向かって来た。 俺の背中から機械の羽出した。


 人の指で言う、人差し指と中指に当たる箇所で奴らをつまんだ。後は握り潰してスクラップにする。



 この場合は頭を掴むんだ。腹だと色々飛び散りそうで嫌だろ?



 グシュって音がして潰れた。血は派手には飛び散らない。トマトみたいなもんだよ。ブシュって……。


 な? 何かシュールで可笑しくないか?


 俺は奴らの死に際の表情が妙にシュールでお腹痛い。顔掴まれた瞬間半泣きになって、脳みそをトマトみたいにぶちまけるんだぜ?


 面白くない訳ないだろ。



 これで7人……っと。ほらほら次々。


「おのれェェ! 」



 今度は全員で来た。面倒臭いな。最低でも3人残さないといけねえのによ。面倒だ。この魔法使お。



 書く式は、3匹の聖獣の不敗神話。古代王朝より伝わる、【八岐大蛇ヤマタノオロチ】【狛犬コマイヌ】【鳳凰ホウオウ】の三体の話。



「な、何だ奴は!!?」


「半神の魔法使い! だが……式を書くのが早すぎる! あの速度はありえん!!」



 これ使うと、お前ら楽に死ねないよな。 悪く思うなよ。




「術式陽の口寄せ。護国三聖獣ごこくさんせいじゅう




 神話をここに再現した。【ヤマタノオロチ】に【コマイヌ】【ホウオウ】。地に降り立つ獣は、血肉を欲して天使共を喰らいかかった。



「うわあああ!!」



 終わるまで2chでも見るか。20人食ったら満足するだろ。……多分な。


 呼び出したはいいけど、アイツらって俺の言う事聞かないし、手に負えない。魔法って融通効かないから嫌いだ。



 グキ……グチュグチュ。



 天使共の腸が、まるでラーメン啜ってるおっさんみたいに聖獣達に食い荒らされる。



 思った事は一つだけ。


 天使にも腸ってあるだなって事。



 もう少し代わり映えしてくれた方が殺ってる側としては面白いのだけど、まあ現実そんな甘くない。



 しかし以外にも、割と腹を満足させたのか5人位残して聖獣達が土に帰っていった。



 もうちょい休憩したかったけど、まあやるか。



「……こ、殺せ」


 テンプレっぽい発言だ。そう言うのは嫌いじゃない。だが……。


「それじゃダメだ。お前らの神様の居場所、後弱点。知ってる事全部吐け 」


「……断る 」



 そうかい。なら仕方ないか。


 真紅の小粒を5つ。それを天使共の腹の中に1個ずつねじ込んだ。


「……な、何を……する気だ!? 」




 腹抱えながら聞いてきた。痛かったか? 次はもっと痛いのに、それで大丈夫?



「……話してくれないならさ、





 拷問しかなくね? 」



 ブシャァァ……



 親指サイズの穴が天使1人1人に空いた。そこから生まれて来たのは、人の腕位の大きさで、ピンク色のムカデ君。



「うわぁぁ!! なんだ!! なんだよコレぇぇ!!? 」




 奴らの目の中には恐怖が渦巻いてた。まあ腹から大蛇みたいなムカデが出たらビビるわな。



 今の反応は少し可笑しくて、正直笑った。



 それと1つ思い出した事がある。




 俺はお前らみたいなクズが、希望を持っている事がそんなに好きじゃない。



 だが……その顔が絶望に歪んでいくのを眺めるのは、俺にとっては地味に娯楽なんだ。




 しっかり苦しんで、いい顔で泣いてくれ。



 最高の顔だったら、撮ってやるよ。



「おい、小僧」


 カラスのリーダーが話しかけてきた。



「何だ? 」


「ワシらは仕事は終わった。もういいだろ? 」



 そうだそうだ。そうだったな。忘れてたよ。



「ごめんごめん。すまんな待たせてさ。





 そこにある死体。全部やるよ 」




「そうか……では有難く 」







 バサバサと音をたてて、カラス達が天使の死体の肉をむしり食って行く。



 黒い羽を巻き散らかし、肉片と血が床を染め上げていく。



 赤く。情熱的に赤く。



 綺麗だ。こう言うのを撮りたいんだ俺は。






 これは【グリムの取引】で提案した、カラス達への報酬だ。「殺した天使共の血肉を食わせてやる」ってね。


 あ、折角だし。



「あーそうだ! 多分こっちも3人位は死ぬと思うからさ。腹空いてたらこっちのも食べてよ!」




「……分かった」





 さてと……。



「まあそういう事。喋らなきゃ死ぬぜ?


 勿論楽にも死ねない 」



 ピンク色のムカデが、口から黒い触手を無数に出して、自分の宿主の耳の中を舐めまわした。



「さっさと話せよ。楽になるぞ? 死んでもカラス達に食われるし、話した方が得だろ? 」




 別に言わなくてもいい。お前らの代わりはいくらでもいる。口を割らなきゃ他の奴でやるだけだ。


 

 さてと、残りの人生を謳歌しようかな。



次回はもっとグロい

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