表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/678

82話 いい人にはなれない

 身軽な瑞穂(みずほ)と周囲を探索して分かった事は、六人一党(パーティー)であった事。(バールアング)岩魔像(ロックゴーレム)が来た方向に五体の遺体があった。奴隷(スクラブ)である半豚鬼(ハーフオーク)は数に含めないので六人一党(パーティ)で間違いない。


「てっきり区画主(エリアボス)と遭遇戦になって負けたから逃走したのかと思ったら————」

 ご休息中に襲撃を受けたようだ。殴打されて無残な遺体と化している彼らは装備を身に着けていない。破壊された大型の天幕(ゼルト)、大型の背負子(ベト・ゼーノー)、散らばった装備品…………。

 巨漢の半豚鬼(ハーフオーク)は顔に奴隷(スクラブ)を現す紋様が浮かんでいたので多分見張りを彼に任せて楽しんでいたのではないだろうか? それ以前にこんな時間に盛っていたのが不思議でならない。

「こんな場所でお楽しみとか神経が分からんなぁ」

「お楽しみ?」

 僕のボヤキを聞いた瑞穂(みずほ)が装備品の回収していた手を止めて聞き返してきた。

「単なる独り言だよ。ところで良いものはあった?」

 慌てて話を逸らす。まだ瑞穂(みずほ)には早い話だ。

「ん…………これ以外はゴミ」

 そう言って差し出してきたものは、小袋(スモールザック)だ。中を確認してみると結構な数の万能素子結晶(マナ・クリスタル)が詰まっていた。

「軽く見積もっても結構な額になるね」

「うん」

 迷宮(アトラクション)内で拾ったものは拾った一党(パーティ)のモノになる。ましてや持ち主は全滅しているのである。


 蘇生義務もないし認識票(アーケナングスマーク)だけ回収して、半豚鬼(ハーフオーク)奴隷(スクラブ)奴隷商(スクラブ・ディーラー)へと引き渡さないとならない。

 主人なしの奴隷(スクラブ)は基本的に最低限の活動以外は行わないようにされている。

 その為に良さげな人物に媚を売って自分を買い取ってもらうようにするのだが…………。


「ぶっちゃけ、いらないな…………」

「そうなの?」

 思わず口から出てしまったが、あの半豚鬼(ハーフオーク)はうちの一党(パーティ)には合わないタイプだ。うちの一党(パーティ)に図体がデカくて前線で盾を構えて突っ立っているような戦士(ウォーリア)は不要なのだ。盾戦士(タンカー)の仕事はあくまでも怪物(モンスター)敵意(ヘイト)を集めることで攻撃を受ける事じゃない。どだい人間サイズの僕らじゃ打たれ強さ(ヒットポイント)は大きく変わらない。これがゲームだと違うんだけどねぇ…………。


 そんな感じの説明を瑞穂(みずほ)にしつつ帰路につく。




「どうだった?」

 戻ってきた僕らを最初に出迎えてくれたのは和花(のどか)だった。

「全滅だった」

 細かい事は省いて事実のみ伝えた。

「あの半豚鬼(ハーフオーク)はどうするの?」

 一応気を使ったのか和花(のどか)日本(やまと)帝国語で問いかけてくる。

「うちじゃ相性が悪いからマニュアル通りに奴隷商(スクラブ・ディーラー)に引き渡すよ。何もしなければ彼はここで死ぬだけだからね。それに————」


 豚鬼(オーク)という種族そのものが嫌悪されておりセシリーが拒否反応を示しているのだ。

「そっか…………。私もそれが良いと思う」

 和花(のどか)はそう答え、瑞穂(みずほ)は無言で何度か頷く。

「今日は早いけど引き上げよう」

 そう皆に告げ帰還した。


 ▲△▲△▲△▲△▲△▲


「————という状況だったのですが、僕の判断は正しかったのでしょうか?」

 そう師匠に質問を投げた。

「善人ぶれなくて後悔してるのか?」

 そう答えた師匠の表情(かお)は笑っていてこの台詞が冗談の類であることが分かる。

「んもー。そういう冗談は言わないの」

 そう嗜めるのは師匠の横にピッタリと寄り添っているマリアベルデさんだ。いや、本名はメフィリアと言うのだが、つい偽名の方が先に来てしまう。

「お前らの一党(パーティ)じゃメリットはほぼないしな。んで、逃げ出した頭目(リーダー)っぽいのは遺体が見つかったのか?」

 帰り際に遺体を発見した。暗がりの中を頑張って走ったのだろうが、広場(ホール)近くで遭遇した骨魔像(ボーンゴーレム)によって倒され冷たくなっていた。

(いつき)らの一党(パーティ)だと必要なのは片手剣と盾を持った戦士(ウォーリア)か、槍戦士(ランサー)あたりだろうからな」


「でも、半豚鬼(ハーフオーク)なんて珍しいね」

 マ…………じゃなかった。メフィリアさんがそう言うのには訳がある。

 母体にかかわらず豚鬼(オーク)は九割九分が豚鬼(オーク)として誕生する。残りの一分が半豚鬼(ハーフオーク)として誕生するのだが、生まれた瞬間から半豚鬼(ハーフオーク)豚鬼(オーク)たちの奴隷(スクラブ)であり玩具なのだ。成人年齢である8歳まで生き残れる確率はほぼゼロとの事で極めて希少レアな存在なんだとか。


 その後迷宮(アトラクション)攻略などの話が続き半刻(1時間)ほどが経過していた。

 そろそろ本題に入ろう。


「師匠。お願いがあります」


更新しないとそのままFOしそうなので文字数少なめでも何とか更新していきたいが…………。


考えてみるとそこまでする必要があるのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ