幕間-65 召喚された者のその後㉓
明けましておめでとうございます。
諸事情にて本年も不定期投稿となりますが宜しくお願いします。
靄から現れた武装した豚鬼を迎え撃つべく俺が先陣をきって安全地帯から飛び出す。ある程度の知能を有する敵はこちらが安全地帯に籠ると出てくるまで周辺を徘徊するのである。
「見せてもらおうか、新魔剣の性能を」
どこかで聞いたようなセリフを吐きつつ抜剣する。高屋くんが人柱としてよろしくと言って寄こした一品だ。その名を舞い踊る剣という。
「舞い踊れ」
効果を発揮するための命令語を発する。
その途端に身体が軽くなり加速する。そして棘付き棍棒を振り上げた豚鬼の脇をすり抜けざまに一閃。
脇の下を大きく切り裂き血飛沫が舞う。続いて事態を飲み込めない豚鬼の首を一閃。
ようやく残った二体の豚鬼らの反撃の一撃が俺の身体に届こうというタイミングで風のようにすり抜けさらに一閃。豚鬼の右手首を斬り飛ばす。最後の豚鬼が逃亡するようで背を向けたタイミングで雷のような刺突が背中から心臓を正確に貫いた。
豚鬼四体を一分かからず仕留めた。
以前ではありえない速度である。
「これが魔剣の性能か…………」
その後みんなにちやほやされつつ五階の探索を行い幾度か豚鬼を撃破していった。
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迷宮から戻って幾日かが経過した。俺がもたらした改変後の地図が高く売れた事あり調子乗って更に処分奴隷の娘を引き取ってしまい怒られていた。
そんな折に珍しく高屋くんが引き取って欲しいと言ってリリィという元スリの娘とどう見ても女の子にしか見えない隻腕の少年を引き取った。
対価として装備や資金をゲットしたものの迷宮の調査が終わるまで本格的なアタックが出来ない状態なのである。
数日軽い訓練を行って過ごすと調査隊が迷宮の調査を終えたとの事でリハビリも兼ねて潜る事になった。
それなりの装備を貸与された事もあって問題なく靄が鬱陶しい五階を突破し六階をウロウロしていた。
「そろそろ荷運び人が欲しいね」
そう口にしたのは我が一党の魔術師である馬鹿七海だ。最近では俺に好意があるのではと錯覚するような事が多々あるが、どう考えてもキモヲタの錯覚だ。
「だが、どう考えてもこれ以上奥へと進むのであれば我々だけでは荷物を持って移動は難しいと思うよ」
そう続けたのは男装の麗人風の已己巳己巴だ。
この一党は力のある者が居ない事もあってどうしても持ち込める荷物に限りがある。
「荷運び人かぁ…………」
正直言うと印象が良くない。ほら、いざという時は囮に使われたりするじゃん。
体力のある荷運び人の女性とかレアすぎて募集かけても見つかるかすら怪しい。
男の荷運び人が欲しいところがちょっと男性が苦手な東雲天音が嫌がるので選択肢にすら入らない。彼女は我が一党の聖職者枠なのでいないと困るのである。
うちも大所帯になってきたのでそれなりに稼がないと年明けからは人頭税が凄い金額だし路頭に迷いかねない。
食料の問題などもあり今回は帰還する事にした。
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「君、小さい娘好きでしょ?」
年末に高屋くんが訪ねてきたらと思ったら開口一番これである。
なんでも処分奴隷を数人買う事になり俺に女の子の面倒を見ろという話であった。
男は高屋くんの方で面倒を見るとの事であった。
そこで交換条件として荷運び人を一人用意してくれと頼んでみた。
「いい人がいるよ。年明けに連れてくるよ」
そう言って高屋くんは忙しいから帰ると言って【転移】ですぐに帰ってしまった。
もう一話だけ続きます。
黒の偽勇者のパーティは本人(戦士)、オリヴィエ(槍戦士)、馬鹿七海(魔術師)、東雲天音(聖職者)、已己巳己巴(戦士)、クロニー(精霊使い)、アーシア(斥候)の面子に荷運び人が加わります。




