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530話 試練の迷宮⑱

今回は分割

 本来であれば全員を【水上歩行ウォーターウォーキング】で移動させようかと思っていたので呪的資源(リソース)が浮いた。


「お疲れ様」

 先頭に参加した面子に労いの言葉やかけ、次いで集まってきた面子に素材取りの指示を出す。多頭水蛇(ヒュドラ)の皮は厚く丈夫で良質の革鎧(ソフトレザーアーマー)などが作れるからだ。もっともゲームと違い個体数が少ないので痛んだりすると補修する際に素材が手に入らな過ぎて高額請求されるけどね。

 多頭水蛇(ヒュドラ)の肉は固くて下拵えに多大な労力と資金が必要なために基本的には回収しない。味も淡白だしね。骨も特に用途がない。あとは万能素子結晶(マナ・クリスタル)くらいだろうか。


 囮を務めた半豚鬼(ハーフオーク)らは三人殉職した。遺体は回収不可能である。しかし同胞が犠牲となっても彼らの中にはライバルが減ったくらいの感覚しかない。無事に生き残って恩恵に預かろうとしか思っていないのだ。


 僕自身が半豚鬼(ハーフオーク)らに興味を示さない事もあって面子をきちんと把握していない。面倒さえ起こさなければそれで十分と思っている。

 だけど何の気まぐれかよく観察してみると一人だけ違和感のある奴がいた。半豚鬼(ハーフオーク)英雄(チャンピオン)のクロガーの事ではない。明らかに半豚鬼(ハーフオーク)らしからぬ存在なのだ。その人物はなぜか集団の中央に置かれ何もしていない。

 半豚鬼(ハーフオーク)は身長47.5サルト(約190cm)以上、体重120グロー(約100kg)のマッチョ軍団であるが中央に囲われている半豚鬼(ハーフオーク)は身長42.5サルト(約170cm)未満、体重60グロー(約50kg)程度の色白細身であった。顔立ちも結構整っている。あれを初見で半豚鬼(ハーフオーク)と見抜けるものは多くはないだろう。もしかすると半豚鬼(ハーフオーク)英雄(チャンピオン)のクロガーとは真逆の希少個体なのだろう。


「そう言えば彼は?」

 側にいた闇森霊族(ダークエルフ)のアドリアンに尋ねる。彼が半豚鬼(ハーフオーク)らの監督だからだ。

 するとアドリアンは不快そうに表情(かお)を歪める。

「あいつは半豚鬼(ハーフオーク)らの玩具だよ」

 種族的本能として性欲の化け物みたいな半豚鬼(ハーフオーク)らを大人しくさせるために結社(ソシエティー)が用意した特殊な個体だそうだ。


 ん?


 まさか…………。


「たぶんお前が思ったような用途だよ」

 閉鎖的な環境に住む森霊族(エルフ)に限らず闇森霊族(ダークエルフ)も同性愛を唾棄すべき存在として考えている。

 多くの半豚鬼(ハーフオーク)らを黙らせるための女役という事か。とくに森霊族(エルフ)の血が色濃く出ているせいか小柄で華奢で半豚鬼(ハーフオーク)らにさせるような力仕事に向かないので必然的にそうなったようである。


 船乗りも性欲処理で華奢な船員を同様に扱う習慣があると聞くけど知りたくなかったなぁ…………。


 頭の隅から半豚鬼(ハーフオーク)らの事は追い出し周囲を見回すと戦闘中に死んだ大湖蛇(ラカズサーペント)やら群狼魚(フロキャシホップ)もいつの間にか万能素子結晶(マナ・クリスタル)だけとなっておりそれらも回収しているのが見えた。


 そういえば報酬部屋とか次の階層(フロアー)への入り口はどこだろうか?

 そんな事を思いつつ周囲を見回していると程なくして下り階段が発見された。どうやら報酬はなしという事かな?

 素材回収と休憩で一刻(二時間)ほど経過しておりゆっくりもしていられないので全員に下層への移動を指示する。


ブックマーク、評価、感想、誤字報告などありがとうございます。

貴重なお時間を使って報告していただき感謝に堪えません。

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