499話
島に戻り急いでハーンと面会する。
「おや、樹さん何か用っすか?」
魔導機器技師仲間たちと何やら議論を交わしていたようであるが止めてもらい頼みごとをする。
「悪いんだけど自動工場の生産を一旦止めてこれから言うものを生産して欲しい」
作業をしながら聞き耳を立てていた魔導機器技師連中から不満の声が漏れる。
「どうしたんすか?」
突然の作業予定の変更に疑問を浮かべつつもハーン文句は口にせず理由を聞いてきた。余計な議論はしたくないので強権を使う事も視野に入れていたので若干拍子抜けしつつ必要なモノを説明すると、「それなら一日もあれば用意できるっすよ」と返ってきたので制作に入ってもらった。
思ったより簡単な話だったこともあり魔導機器技師連中もホッとしたようだ。
あっさりと問題が解決したので僕は次の目的地へと向かう。うちに借金を申し込んできた佐藤君の動向を聞くためだ。
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佐藤君とは南方で別れたのだけど、その後の動向は気にしていた。その為に複製版の[神の視点]を用いて彼の行動を監視してもらっていた。
その彼がようやく中原地方にやってきた。予想外だったのが奴隷の娘を八人も買った事だ。
借金の目的は気に入った可愛い奴隷の娘を見つけて嫁にでもする気かと思ったんだけどねぇ。いや、ほら、短い期間ではあったけど話を聞いた限りではそういう作品好きそうだったし。
報告書を読む限りでは特に疾しい気があっての購入ではなさそうだ。ただ南方と中原では奴隷に対する扱いが天と地ほども違うので混乱しないといいのだけど。
その次に報告書と一緒に置かれていた新聞にも目を通す。
「一体どうなってるんだ?」
記事の内容は近年になって勇者ではなく勇者と名乗る人物が幾人も出現してあちこちで騒ぎを起こしているという内容であった。
白色、赤色、青色、緑色、黄色、桃色、橙色、黒色、灰色、銅色、金色、銀色だ。
ちなみに幾人かは複数存在する。まずは青色だ。一人目は自称ではなく二つ名の方だ。東方では青の勇者と呼ばれる人物でゲオルグが随伴している。もう一人は既に死亡しているとの事だ。他には白の勇者は竜也の昔の呼び名だ。今のところ偽物の白の勇者は居ない。他には黒の勇者は処刑された同胞の日本君の事だ。偽物は現在は十字路都市テントスに向かっている最中だ。
勇者ではなく勇者と名乗るあたり明らかに日本人のようだ。恐らくそれぞれの並行世界の日本から呼ばれたのだろう。
不思議な事に召喚魔術の特性なのか術者が違えど一定期間の間に呼ばれる者はほぼ同じような世界の同じような地域から拉致って来るようである。この世界の歴史を見ても欧米人やらアフリカ人やら東南アジア系と思われる人物が過去に召喚された記述がある。
恐らくだが先々代の白き王の大規模召喚とその後の師匠の送還事業が原因ではないだろうか?
記事をさらに読んでいくと彼らは話が通じず様々な犯罪行為に手を染めているらしい。不法侵入、強盗殺人、器物破損、生態系の破壊などなど…………。
だけど誰が呼んだ? しかも彼らは少なからず強力な魔法の工芸品を装備しているという。召喚者が提供した物だろうか? だとすうると誰が何の目的で…………。
気になると言えば佐藤君と自称黄金の勇者がわりと近くにいるんだよねぇ。変な正義感でトラブルに巻き込まれないだろうか?
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