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490話 迷宮攻略に向けて③

2024-05-10 文言追加。誤字修正。

 さて、次は西方(オクシデント)に仮拠点を設けよう。こっちの目的は対外的には西方(オクシデント)の迷宮攻略を行ているという体を保つためである。あとは島には娯楽施設がないので交代でガス抜きをさせる為だ。


 手続きなどの事務関連は和花(のどか)やアルマに丸投げし僕はと言えば島の迷宮攻略の編成(パーティ)を考えていた。

 この島は周囲の万能素子(マナ)を吸収し迷宮などの設備を稼働させているのだけど全部で七か所ありそれ故に各施設の使用できる万能素子(マナ)が大幅に減り困っている状態である。特に自動工場(ファブリカー)とか。

 七か所のうち四つの迷宮(アトラクション)は既に所有者が死んでおり最後の命令通りに警備用の怪物とかを無駄に生み出している。

 これを攻略するのだけど問題は四つ同時攻略しないと面倒だという事だ。理由としてはひとつずつ攻略していくと万能素子(マナ)の分配量が増えた残りの迷宮が万能素子(マナ)不足で機能が縮小していたのが回復してしまうのだ。ようするに迷宮攻略の難易度が上がってしまうという事である。

 ゲームじゃないんだから攻略難易度が上がっても特にうれしくはない。いくら回復魔法や蘇生魔法があると言っても死傷者が出る可能性も十分ある難易度が低いに越したことはないよね。


 一班は僕、和花(のどか)瑞穂(みずほ)、アルマ、健司(けんじ)、ダグである。いつもの面子である。

 二班はフリューゲル師を筆頭にアリス、九重(ここのえ)(たつみ)竜人族(リルドラケン)のガナン、風霊族(エアリアル)からエリアスという冒険者志望の男性が入ってくれる。彼は精霊魔法(バイムマジカ)を使い近接も射撃も行えるタイプだ。実力は折り紙付きである。

 三班は保護した妖精(アルヴ)族を主としてなどで編成した。まとめ役(リーダー)地霊族(ドワーフ)匠の神(トーラス)神官戦士(モンク・ウォーリア)でもある重武装のヴォルケン、他にやや好戦的な炎霊族(フラニス)精霊使い(シャーマン)兼戦士のフロイセン、回復役も兼ねる精霊使い(シャーマン)水霊族(メロウ)のマイナ、斥候(スカウト)役として幼人族(リトナー)のアーヴェ、この面子に唯一足りない知識枠兼近接要員としてフリューゲル師の一番弟子であるクリフハイトで編成した。


 そして問題は四班である。実力者はそれなりに居る。だけどまとめ役が居ない。取り残された防衛軍のまとめ役である雲龍(うんりゅう)三等陸佐なら実力実績共に間違いないのだけど彼には港湾領都ルードで残った面子の指揮をお願いしたい。

 こんな時にシュトルムが居ればなぁと思う。彼は貴族であり騎士として教育を受けているので集団を管理運営するのが得意だ。更に戦士としても優秀である。

 ここは禁忌を犯すか…………。一瞬頭をよぎる。

 僕は意図して小銃(ライフル)などの火薬兵器の配布を禁じている。弓や魔法や剣より強いし防衛軍の皆は使い慣れているだろうけど、危険すぎると判断したためだ。

 単に強さだけなら装甲歩兵アーマタエ・ペダイテズに重火器装備させて人海戦術させればおそらく最も被害が少ないだろう。

 ただしこれらの兵器群は簡単に人を殺せてしまう。赤の帝国(チャコール)レベルの重火器ですら簡単に人が死ぬ。広めてはならないと戦争を見て改めて思ったのだ。そして奪われた際にそれらが自分たちに使われる危険もあるのだ。


 二日くらいあーでもないこーでもないと迷っていたところに助っ人が現れた。




「何か手伝えることはないか?」

 そう言って執務室に入ってきた男は闇森霊族(ダークエルフ)のアドリアンであった。三氏族(クレーネン)が無事にこの島の氏族(クレーネン)に受け入れられ肩の荷が下りたようで以前のような余裕のない刺々しさが無くなっている。

 彼の実力はよく分かっている。彼らに四班をお願いしよう。そう言う話をすると条件としてやや持て余し気味の半豚鬼(ハーフオーク)を使わせて欲しいと言って来た。

 彼らは赤肌鬼(ゴブリン)豚鬼(オーク)すら使い捨てる傾向にあるので人道的には反対である。建前としてだけど。

「そう言うと思ったよ。だが、考えてみろ。あいつらはある意味で豚鬼(オーク)よりたちが悪い。実際に持て余してるんだろ?」

 見事に僕の悩みを指摘されてしまった。半豚鬼(ハーフオーク)の問題点はその体格からくる膂力と体力の他に有り余る性欲である。しかも豚鬼(オーク)のように人型生物なら誰でも種付け可能な変態遺伝子と違い、こいつら

 同族以外は交配不可なのである。だからこそ豚鬼(オーク)ですら彼らを人族社会の破棄奴隷に相当する扱いである。

 実際のところ女性陣から半豚鬼(ハーフオーク)からそういう目で見られていて怖いと苦情が来ている。

「でも連れてきたのは君らじゃない」

 当然そう反論した。

「だからこそ責任を持って処理する。あいつらは上位者の俺らに服従しているからな」

 アドリアンはそう言ってのけた。

 この世界の人の感覚であれば普通なのかなという気もするけど…………。と言っても歩く性犯罪者とまで揶揄される半豚鬼(ハーフオーク)をいつまでも自由にさせておくことも難しい。


 和花(のどか)とかに相談すれば間違いなく、「性犯罪者死すべし。慈悲はなし」と回答するだろう。


 迷った末に以下の二点を条件として半豚鬼(ハーフオーク)の動員を認めた。


 無駄死にさせない。

 活躍した場合は待遇改善する。


「よーするに40人近い半豚鬼(ハーフオーク)を適当に間引けばいいわけだな」


 アドリアンは僕が口にしなかった真意も含めて提案をそう受け取ったようだ。



 四班の編成についてはアドリアンに一任したので僕は残りの面子の割り振りを考える。こっちは四か所の迷宮(アトラクション)の入り口付近に橋頭保を築き周辺の怪物を討伐する仕事だ。防衛軍のおじさん連中を小隊(およそ30人)単位で配置しそれに補助として妖精(アルヴ)族らやフリューゲル師のお弟子さんらを配置する。


 これで十分かな?

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