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幕間-39 召喚された者のその後⑤

 夜間に野盗(マリング)の襲撃である。天幕(ゼルト)に火矢が撃ち込まれ燃え上がる。

「オリヴィエはここで皆を守れ!」

 俺はそう叫ぶと片手半剣(バスタードソード)を取り護衛の冒険者(エーベンターリア)らに加勢するために走り出す。

 以前高屋(たかや)くんに言われたが俺に付与された戦士としての技量(うで)は一流だが使い手の意思はあまり反映しないので使い方に注意するようにと指摘されていた。

 自分の身体がゲームのキャラの様にコントローラーで操作している感覚である。そこに自分の意図を挟む余地がない。攻撃を始めてしまうと途中で動作(モーション)がキャンセルできない。攻撃パターンも数パターンしかなく同格以上相手だとほぼ完封されるだろうとの事であった。ただ雑魚狩りには有効で俺の一撃は鋭く野盗(マリング)を一撃で絶命させる。

 敵の数は夜間ゆえに不明であるが撤退を確認したときには俺の倒した野盗(マリング)の数は8人であった。怪我人は出たものの軽傷程度で応急治療で済むレベルであった。


 護衛の冒険者(エーベンターリア)や商人らに感謝され以後は隊商(キャラバン)に正式に同道を許可された。しかも護衛として代金も支払ってくれるそうだし斬り伏せた野盗(マリング)の中に賞金首(プレミー・デナーロ)がおり町に着いたら懸賞金までもらえる事になった。


 これは運が上向きになっている?



 港湾都市アドラスには予定通りに到着した。その間に3度の襲撃を受けたがすべて撃退した。己惚れてしまいそうである。賞金首(プレミー・デナーロ)の討伐報告を行い賞金を貰うと資金は結構回復した。現在手持ちの資金は金貨40(四万ガルド)枚に小銭が幾ばくである。

 ここから俺らの行動は二択となる。本来の予定通り船便に乗るか二頭立て四輪荷馬車(ワゴン)で別の港湾都市に移動するかである。

 なぜかと言うと悪天候で肝心の船がまだ到着していないのである。隊商(キャラバン)まとめ役(リーダー)であるオルバンという商人(マークアンテ)に話を聞いたところ次の停泊地であるカザフという港湾都市であれば別の船があるのではとの事であった。ここからだと距離にして50サーグ(約200km)ほどだ。順調に移動出来れば5日ほどで到着する。

 船の遅れは未定で明日には到着するかもしれないがあと一週間(一〇日)かかるかも知らないとの事である。


 ここで俺らは船を待つことを選んだ。二頭立て四輪荷馬車(ワゴン)は手放し安宿に泊まる。


 この選択は正解であった。翌日の夕刻には到着したのである。急ぎで荷下ろしが行われ俺らを乗せて運んでくれるのは5隻の複層式重帆船(キャラック船)による最小単位の船団である。


 荷下ろしは徹夜で行われ積荷を積み翌々日には多くはない乗客の受け入れ作業に入る。


 俺らに与えられた寝床は4スクーナ(約2坪)ほどの部屋であり就寝には床でなるものとハンモックで寝るものに分かれる。子供らは初めての航海に最初ははしゃいでいたが出港して外洋に出ると船酔いに苦しんだ。俺も含めてである。

 幼いころから旅慣れていたオリヴィエだけが平然としていて甲斐甲斐しく俺らの看病をしてくれた。


 航海中に海賊の襲撃が一回あったがこれは接舷され白兵戦に発展する程であった。ここでも俺は活躍した。乗り込んできた海賊をバッタバッタと斬り伏せていき終わった後はちょっとした英雄扱いであった。もしかしたら俺って普通に強い? 高屋(たかや)くんたちが上澄みだったのだろうか?

 航海中に大海蛇(シーサーペント)の襲撃を受けた時は流石に焦った。襲われたのは最後尾の艦であったので囮として難を逃れた。酷いように聞こえるがこれがこの世界での常識であり普通は大海蛇(シーサーペント)をあっさり返り討ちなどできないのである。


 風にも恵まれ夏の中月(8月頃)後週(下旬)の半ばには中原(セントルム)の南端である港湾都市エリュードに到着した。あとは十字路都市テントスまで陸路である。ここからは街道も整備されており順調にいけば夏の後月(9月頃)中週(中旬)には到着するはずである。


「余裕だったな」

 資金も時間もまだ余裕があり俺の前途は明るい気がした。

ブックマーク、評価、感想、誤字報告などありがとうございます。


夏季休業まで幕間が続きそれから本編に戻ります。たぶん。

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[一言] >「余裕だったな」 いらんフラグたておって……w
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