452話 後処理②
僕らとは言えば[魔法の鞄]の中に非常用の携帯糧食まで寄進の名目で供出を強要された。
大地母神嫌いになりそうです。
流石に王都の住民一万人が暴徒となって襲ってきますよと言われれば渋々と言った感じで提供した。
「このまま残ってたらあいつらにケツの毛まで抜かれかねないな」
炊き出しに争うように群がる現地人を眺めつつそうボヤくのは健司である。同意ではあるけど戻りたくても呪的資源不足で全員を【転移】で飛ばす余裕がないのだ。それで仕方なく回復のために待機しているのである。
こういう場では少数に特別なことをすれば騒動に発展しかねない。実際に治療を担当したアルマやアリスに至っては呪的資源を使い切り息を切らせていたら治療を受けられなかった軽傷者らに暴言を吐かれる始末である。
あれを見てしまうとヘタな温情はやめた方がいいなとなりそうなもんだ。少なくても僕はお断りしたい。
二の半刻頃になり更なる要求されそうな雰囲気になりかけた時に問題が発生した。
複数の破砕音と共に王城の主城が突然崩れ落ちたのである。だが崩れ方に違和感がある。
「あの崩れ方…………」
主城が内部から爆発したようにも見えたのだけどそれにしては破片の舞い方がおかしい。遠すぎて判り難いが壁の吹き飛び方に違和感があるのだ。
取りえず僕は厄介事を避けるために逃げる事にした。群衆の意識が僕らから逸れた隙に物陰に隠れて【転移】で潜水母艦へと跳ぶ。そこで[転移門の絨毯]を回収して王都に戻ってきてそれを広げる。
状況を察した面子が素早く[転移門の絨毯]経由で十字路都市テントスの拠点へと戻っていく。最後に僕が[転移門の絨毯]を回収して潜水母艦へと戻れば無事に逃げられる。独立商人殿には頑張れとエールを送りたい。
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南方から帰還して全身タイツの女と覗き魔と闇司祭の首と日本を冒険者組合に預けて待つ事一週間が過ぎた。
その間にあった事と言えば商業の神から派遣された監視役のメイザン司教が一族が死亡したタルセン砂糖商会の株を買い漁り筆頭株主となり新たな経営者を送り込んでホクホク顔な事と依頼の最中に取得した魔法の工芸品の一部の取得が認められたことだろうか。
流石に魔術師組合の禁庫から日本が盗んだブツと祭器だけは取得権利が認められなかった。
それはどうでも良いのだ。
予想以上に凄いものが手に入ったからである。他にも細々とした物があったのだけど最大のモノは[時空倉庫の腕輪]である。共同体で一部の者に貸与している[魔法の鞄]は【時空収納】という魔術で容量が六千リーターなのに対して、推定であるけど|六億二千万リーター《約一二億四千万リットル》とほぼ無制限に入る。
あと最大の違いは[魔法の鞄]は鞄の口の二倍以上大きな品物は収納できないのに対して大きさ無制限なのである。とはいっても最大容量を超えない限りという条件はつく。
何が良いって言うと共同体の装備で大物、魔導騎士などを収納できる点である。
ただ得たものの誰も使いたがらないのが全身黒タイツの[秘匿のタイツ]である。超越級の凄いアイテムなのだけで誰も欲しがらない。効果だけ聞くと凄いんだけどねぇ。見た目がね…………。
そして本日冒険者組合から使いが来て出頭せよと連絡があった。
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