438話 王城へ①
文章をコンパクトにまとめるスキルと時間を有効に使うスキルは売ってないもんでしょうか?
王城へ向かう面子は僕、和花、瑞穂、アルマ、ガナン、九重、フリューゲル高導師とかなり攻撃寄りの人選である。
【光源】の明かりを頼りに王城へと向かう僕らの行く手を阻むものは今のところ存在しない。曇り空の上に街灯がなく住居も燃料節約の為か明かりが灯っていないこともありとにかく周囲の状況が掴みにくい。
街中は奇怪な叫び声や怒号が響いている。いつどこから襲われるか判らないのが地味に怖い。もちろん倒すことは簡単だが可能な限り殺しは避けたいという意味でだ。
しかしその懸念が的中する事はなく賢者の学院を通過し魔導機器組合を通過し異常がない事を確認しつつ王城の前に到着した。
水堀に多くの死体が浮いており大半が町の人だ。僕らの位置からでは死因は特定できないけど原形を留めている事から魔導従士などに蹴散らされたものではなさそうだ。巨大な跳ね橋は下ろされ巨大な城門が破壊されており奥からは重く響く激しい戦闘音が響いている。恐らく魔導騎士ないし魔導従士での戦闘だ。
「城中に踏む込むのは危険ではないのかね?」
フリューゲル高導師が至極真っ当な意見を口にする。2サート近い巨体が戦闘する足元を移動するのは踏み潰してくれと言っているようなものなのだから。
「危険ですが行きます!」
僕はそう言うと跳ね橋を走り抜け城門を抜け外郭の下中庭へと入る。この城の内郭は高台に存在しここは経済活動と軍事活動の設備などがある箇所だ。
衛兵隊と住人の死体が散乱し奥では二騎の魔導従士が擱座している。死体に関しては損傷が酷すぎて出来ればモザイクをかけて欲しいくらいだ。
騎種が判別できないが軽装型と呼ばれる開放型操縦槽の魔導従士であった。中原や東方では見た記憶がないので南方向けに出荷している廉価騎ではないだろうか。
損傷は大きく胴体を切り裂かれており恐らくは全損判定だ。騒ぎが収まれば部品取り用される運命だろう。
そのまま内郭へと向かう斜路の手前で魔導騎士と四騎の魔導従士が戦闘を行われていた。魔導騎士が守って魔導従士が攻めている感じに見える。
あの戦闘エリアを突っ切って斜路を上り内郭へ向かうのはかなり危険だ。騎士はよほどの名手でもなければ足元は結構お留守になりがちだ。ここは【飛行】かと思ったけどそれだとアルマと竜人族のガナンと九重の三人を置いて行くことになる。
逡巡していると、「ココハ我ラニ任セテモラオウ」と声帯の構造の問題で聞き取りにくい公用交易語で述べると竜人族のガナンとフリューゲル高導師と頷きあう。
「我々が道を切り開くのでその隙に斜路へ」
そう言うと呪句の詠唱に入った。
「綴る、拡大、第八階梯、付の位、開放せよ、肉体、増強、硬化、柔軟、賦活、発動。【能力覚醒】」
フリューゲル高導師の詠唱が完了すると全身の筋肉が増強されていくの視覚的にも分かった。身体が大きくなったのだ。
そのタイミングで竜人族のガナンがどっしりとした構えから白き王からの鹵獲品である[聖剣ヴァルロード]を大きく振り上げる。[功鱗闘術]の奥義【屠月斬】の構えだ。
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