437話
襲撃者の武装解除し回収した魔法の工芸品の鑑定は後回しとした。
鑑定スキルで見ただけで一発とかなら楽なんだけど、いちいち文献と照らし合わせないといけないので時間がかかるので仕方ない。
まさか魔導騎士が盗まれるなんてないだろうと思いつつも職員に一声かけてから恐らくはこのまま襲撃はなかろうと一旦僕らは僕らは駐騎場へ戻ることにした。
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「なんだ、これ…………」
駐機場は多くの町の人が倒れており衛兵隊の面々が黙々と運び出している最中であった。
居残り組の九重に尋ねると、「突然大勢の血走った眼をした町の人らの襲撃に合い応戦せざるを得なかった」との事だ。
こちらには九重、フリューゲル高導師、自衛軍のおじさんらだけだった。技量に覚えのある面子だったので最初は峰打ちなどで対処していたのだ。問題は数が多すぎる事と元々持っていた湾刀はさほど高品質でなかった事もあり刃を返して峰で打ち付けると刀身に負荷がかかり折れたり曲がったりする。仕方なしに死なない程度に負傷させる方向に切り替えたけどまるで痛みを感じていないかのように狂って襲い掛かてくるので圧力に恐怖した隊員がとうとう斬り捨ててしまったそうだ。
そうこうしているうちに近くにいた衛兵隊が駆けつけて来てくれてすぐさま状況を理解し制圧に乗り出したけど数の暴力に殺傷命令を出したことでこんな状況だよとの事である。
薬をキメたにしては数が多すぎるしこれだけ一斉に行動するとかちょっとありえない。そうなると魔法か…………。裏に魔法使いが居るのは厄介だなぁ。
そんな事を思案していると一人の男がそれを打ち破るように声をかけてきた。その人物は名前は忘れたけど衛兵隊の部隊長だった男だ。
実は他の箇所でも狂ったように暴れまわる集団がおり困っているという。何か元凶のようなものはないのか問うのであった。
僕の知識にある薬に似たようなものはあるけどこれほどの人間を同時に使うのはちょっと無理がある。そうなると――――。
「【狂気の踊り】かな?」
先ほどからひとり瞑目していたアルマがポツリとそんなことを呟いた。精神魔術にそんな呪文は心当たりがない。遺失魔術だろうか?
「名もなき狂気の女神の高位の信奉者が使う集団催眠のような闇の奇跡によく似ているの」
アルマの答えに思わず顔を顰める。闇司祭が相手という事か。小神と言えども狂人の組織相手だと被害が大きそうで指名依頼と関係ないのであればスルーしたいというのが本音だ。
部隊長さんは狂信者の相手は御免被るとばかりにコソっと僕らから離れていく。
「アルマ的には邪神の信徒を撲滅したい?」
「いち聖職者としては犯罪組織と大差ないので撲滅したいけど一人でも逃せば延々と粘着されるので始祖神か法の神の神殿に話を持ち掛けるべきかなぁ」
アルマとしては邪神の組織を壊滅する事は信仰心とは別の話なので僕に一任という立ち位置のようだ。
ただ潰せば報奨金は出るとの事である。
どうするか迷っていると大きな爆発音と続いて何か大型の建造物の倒壊する音が響いてきたが生憎と空は雲がかかっており篝火の明かりと【光源】の明かりに照らされた範囲以外はほとんど見えない。【暗視】の魔術の効果も既に切れている。
この王都アルディアで大型の建造物と言えば賢者の学院の三つの塔か王城しかない。
賢者の学院は先日襲撃があったばかりだしまさか王城だろうか?
面子を選別して王城に向かう事にした。
ブックマーク、評価、感想、誤字報告などありがとうございます。
書ききれなかった…………。
また少し仕事に集中してから投稿します。




