432話 裏をかかれる
出張が終わって戻ってきたら仕事が溜まっているという悪夢。
投稿が遅くなってしまいました。
「やられたね…………」
何処かでこの国の貴族は狙われないのではと思っていたようで張り込みの候補から除外していた。
そしたらこの様である。
狙われたのは国王派と言われた正妃の父たる重鎮のレンド公爵と、その政敵ともいえる側妃の父たるリンドン侯爵が襲撃を受けた。当主と家人は死亡していた。また運が悪かったのか逃走経路上に居た家人も犠牲になっている。
これまでは中原民族ばかりであったが今回は生粋の南方民族であり資金さえ持っていれば人種は関係なく標的になるようである。
憲兵隊とともに調査を行い侵入方法などは見当はついた。恐らくは多種多様の魔法の工芸品を駆使しておりアルマとフリューゲル高導師と僕の持つ魔法の工芸品の知識を総動員した結果、最低でも足音を消す[妖精の長靴]に、超人的な跳躍力を付与する[跳躍の革靴]を使いこなし、姿を隠す[妖精の外套]を身に着けて侵入している。
更に障害物などを[空間分解の棒杖]で消し去り最短ルートで標的に向かっている。
対象の精神に侵入し情報を盗み出す[魔神の指]で幾人かの家人らの精神が崩壊している。
不意打ち対策に[高防御圏の指輪]があれば完全に認識の外からの攻撃でなければ自動防御が発動する。
一点気になる点がある。
貴族の当主の殺害に剣が使われている事だ。推測の域は出ないが武器の形状は広刃の剣が濃厚である。
貴族の当主の死に顔が恐怖に歪んでいる事から不意打ちではなく剣で切り殺すことをアピールしつつ殺害したのではとなった。
その際に誰も悲鳴を聞いていない事から周囲の音の流れを抑える[静寂の鐘]を保有しているのではないかと思っている。
更に財産を運ぶために[魔法の鞄]は確実に持っているだろう。
姿かたちの情報が少なすぎてこれでは探せないなと思っていた時だ。とある魔術の存在を思い出した。
以前にメフィリアさんが使って見せた第六階梯の時空魔術である【過去見】だ。
流石に400を超える全魔術をすべて記憶するのは無理があったので使用しなさそうな魔術は意図的に覚えない方向でいた。
殺害現場に戻ると[魔法の鞄]から呪文書を取り出し該当魔術の頁を開くと右手で呪印をきり呪句を紡ぐ。
「綴る、時空、第六階梯、探の位、時分、遡行、流動、情景、抽出、記録、発動。【過去見】」
失敗することなく魔術が完成すると僕の目には周囲の情景の時間が逆行していく。
周囲の情景は時間が巻き戻りついに決定的瞬間が映る。
当主が殺害される瞬間である。
剣を振り下ろした人物は平均的な体格の黒髪の男で爛々とした狂気に彩られた眼をしていた事を除けば知る人物であった。
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気が付いたのですが初投稿から五年経過してたんですね。




