表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
464/678

428話 交渉?

 僕は王都アルディアであるモノを探しそれを持って共同体(クラン)の拠点に【転移(テレポート)】で戻ってきている。戦闘要員の増援の選抜の他にもうひとつやることがあり急遽戻ってきたのだ。

 事務所に顔を出し事務員(クリーク)にメイザン司教(ビショップ)の居場所を確認を取ると来客中との事で事務所(ビューロー)で待たせてもらう事にした。

 待つ間に選抜する面子を誰にするか考える事四半刻(三〇分)。メイザン司教(ビショップ)が二人の男を伴って事務所(ビューロー)に現れた。

 どちらも大物である。

 ひとりはシュトレイム侯爵(マークィス)。ウィンダリア王国軍務大臣(軍政担当)だ。もう一人は十字路都市テントス魔導機器組合(マギテックギルド)の支部長であるレオグラード氏である。


「おや、高屋(たかや)さんではないですか。たしか指名依頼で南方(アサド)へ行ったのでは?」

「メイザン司教(ビショップ)にお話がありまして」

「ほうほう。では、お聞きしましょうか」

 大物二人が立ち去る気配はない。勘のようなモノで聞いた方が良いと判断したのか。

「実は――――」



 僕の持ち込んだ話は南方(アサド)砂糖黍(シカレー)を生産し黒糖(ファリニソカリ)などに加工して輸出するタルセン砂糖(ギュラ)商会(ファーム)経営者(ジョタッジャ)一族が死亡して事業が止まっているという話だ。

 この世界にも取締役(ジョタッジャ)は存在するが一族経営が基本であり殆どの会社が親類縁者などが同じところに固まって生活している。それは情報の伝達が困難だからである。


 故に一族死亡イコール経営陣全滅という事になる。ほぼ例外はない。この場合は株式(バーラストッサ)を保有しているものが集う株主総会(アクシオニスター)で六割の支持を得た人物を次の代表取締役トイミタスジョタッジャーに据える事で商人組合(マークアンテギルド)から事業認可が下りる。


 経営者(ジョタッジャ)一族が不在で多くの小作人(パジニエックス)砂糖(ギュラ)工房(ワークスタット)の動きが止まる。彼らに経営を行うだけの教育は行われていない。

 こうなってしまうと先に会社の権利を手に入れた者がうまい汁を吸えるのである。


 中原(セントルム)では事業を行う際に手っ取り早く資金調達を行うために株式(バーラストッサ)を発行する。

 タルセン砂糖(ギュラ)商会(ファーム)株式会社(クーウムニィ)である。

 経営者(ジョタッジャ)一族殺害の報が届けば魔法の証券(ラーガー)の保有者は経営権を求めて争いが始まるであろう。


 しかし情報が届くのは今の南方(アサド)の状況では最速でも一週間(一〇日)はかかる。この時代の株取引は証券取引所などはないので魔法の証券(ラーガー)保有者との直接交渉である。魔法の証券(ラーガー)の小口保有者は経営者(ジョタッジャ)一族が死亡などといったトラブルがあったときは殆どの者が損切りと割り切って手にした魔法の証券(ラーガー)を売却に走る。


 儲け話にうるさいメイザン司教(ビショップ)がこの情報を有効活用して金儲けに走るだろうと思いこの際なので恩を売りつけておこうと思い話を持ち込んだ。

 砂糖(ギュラ)利権を得られるチャンスでもあり商業の神(マネイナ)聖職者(クレリック)たるメイザン司教(ビショップ)であれば従業員を無下には扱わないだろう。金を持ち人を使う立場にいる者ほど技術や知識を持つ者を大事にする。この世界、職能奴隷(テクニカ・スクラブ)と呼ばれる存在が平民以上に優遇される。うちのハーンとかもそうだ。


 人の不幸に漕ぎつけて不謹慎にも思えるけど悪くないよねぇ?


 そしてメイザン司教(ビショップ)と一緒にやってきた人物であるが、予想通り鹵獲品を買い取るために来た人物であった。

 赤の帝国(チャコール)の太古の魔導騎士(マギ・キャバリエ)の性能を解析して恐らく自国の正式採用騎に反映させるのではなかろうか?

 それ以外にも自衛軍から鹵獲した車輛にも興味津々である。


 そして彼らは僕に提案する。

 ハーン以下6名の魔導機器技師(マギ・インジグナー)を譲って欲しいという話であった。


 国の重鎮で貴族ともなれば自由民(ゲンテリブ)の僕なんかは本来は平伏して従うものなのだけどきっちりとお断りさせてもらう。


 仮に権力で締め付ける気であるなら逃げ出す算段はしてある。その為に白鯨級潜航艦(アルブム・セット)を秘匿しているのだ。


 手を変え品を変えて交渉を続けようとするが指名依頼(バーダズ・リクエスト)に影響があることを理由に断った。


 流石に僕の意思が固いと判断したのか鹵獲品の仕様書を作って欲しいという指名依頼(バーダズ・リクエスト)を受ける事となった。



 さて、選抜メンバーを南方(アサド)に連れて行かないと。



ブックマーク、評価、感想、誤字報告などありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ