422話 いざ南へ
六人の少女たちはとぼとぼと肩を落として帰っていった。
「どうだったの?」
それを眺めつつ隣に居るアルマに問うとため息をついたのちにこう口にした。
「最近中央で女性の権利とか主張する団体に感化された娘のようね。主張に中身が伴っていないうえにあわよくば役得をって考えをへし折ってやったわ」
「助かったよ。男の僕の主張なんて聞く耳持たないって感じでねぇ……」
「お疲れ様です」
そう言って笑みをこぼす。
大手の共同体になるとあの手の理論が通じない手合いも来るようになるとか困るよなぁ。
丁度良かったのでアルマにも指名依頼の話をしておく。
「探索行の為に仕事を開けておくね」
そう言ってアルマは着替えに戻っていった。本日はたまたま審議官としての仕事で出ており運よく戻ってきたところだったそうだ。
しかし【虚偽看破】をかけて話を聞いていたけど嘘と紛らわしい言い回しとが多かったなぁ。それなりに美人だったので詐欺師になれば金稼げただろうなぁとは思った。
因みに初等教育が終わった後は何もしておらずお茶会ごっこに興じていたそうだ。
貴族や富裕層のお茶会は遊びじゃないんだけどなぁ……。あれは伝手を増やす目的と情報戦が目的の仕事なんですよというのがアルマの言だ。
子供には遊びに見えたのだろう。
初等教育しか終わっていない成人とかそれこそ雑用しか仕事ないじゃん。
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指名依頼の面子の選抜が終了し装備を整えたのちに各地へと散っていった。[高屋流剣術]の剣客集団には打刀を貸与させたかったのだけど打刀鍛冶が不在であった。そのため湾刀を両手で使えるように握りを伸ばしてもらった。
空輸の件は人選は終わったが機材は大型魔導騎士輸送騎で現地近くまで陸送する事となった。それはまた別に人選してある。
問題は黒の勇者捕縛である。人選が難航した。
そして迷いに迷った末に僕をまとめ役に和花、瑞穂、フリューゲル高導師、竜人族のガナン、アルマ、アリスに最後に九重となった。
おそらくうちの共同体で最大の戦力となる。
健司とシュトルムとダグはお留守番というか修業中という事で当人たちが辞退した。
南方へはフリューゲル高導師が何度か行ったことがあるとの事なので案内をお願いした。
移動に関しては白鯨級潜航艦は使用したくないので待機してもらう。
魔導騎士輸送騎も運搬業務で出払っており魔導居住客車も巡回業務の連中に貸し出してしまった。
これは【転移門】で行くしかないかとなった。
ところがここで大きな問題が。
誰が【転移門】を使えるのって話である?
【転移門】は拡大魔術に属するが難易度は第九階梯魔術に属しフリューゲル高導師でも成功率は高くない。
仕方ないのでフリューゲル高導師が【転移】で僕と和花を個別に【転移】させて目的地を記憶した後に三人で残りの面子を転移させようという事になった。
まだまだ未熟だ……。
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