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420話 下準備

 指名依頼の件を了承し書類を確認しサインし控えを貰って事務所(ビューロー)に戻ってきた。

 手が空いている事務員(クリーク)にフリューゲル高導師(アルタ・グル)雲龍(うんりゅう)三等陸佐を呼んできてもらう。


 八半刻(一五分)ほどして二人を伴って事務員(クリーク)が戻ってきた。礼を言って仕事に戻ってもらう。


 まずはフリューゲル高導師(アルタ・グル)には門弟を巡回業務(パーティオトヨッタ)に貸し出して欲しいと頼むと、快く了解してくれた。体得したことは実戦を経て血肉となるというのが彼の持論である。


 もう一つの黒の勇者を捕縛ないし討伐の件でフリューゲル高導師(アルタ・グル)を中心とした一党(パーティー)を編成して欲しいと伝えた。黒の勇者の実力は伝え聞く限りではうちの共同体(クラン)で直接戦えるのは僕か瑞穂(みずほ)かフリューゲル高導師(アルタ・グル)雲龍(うんりゅう)三等陸佐、竜人族(リルドラケン)のガナンあたりだろう。

 人選はフリューゲル高導師(アルタ・グル)に一任した。


 次に雲龍(うんりゅう)三等陸佐には|垂直/短距離離着陸回転翼機ティルトローターを用いた運搬業務(トラスポーティ)として操縦士である徳永(とくなが)三等陸尉を中心とした一党(パーティー)を編成して欲しいと頼む。通訳代わりとして同行している僕らの同級生を誰か連れて行っていいと付け加えた。


 次に巡回業務(パーティオトヨッタ)として五人一組のチームを一〇組作って欲しいと頼む。そこにフリューゲル高導師(アルタ・グル)の門弟たちをガイド兼魔術師(メイジ)として組み込む。人選と装備を見繕うように頼むと自分らの有用性をアピールしたかった彼らとしては渡りに船であったようで嬉々として稽古場へと戻っていった。


 次に呼んでもらったのがメイザン司教(ビショップ)である。

 彼には共同体(クラン)の副業としていくつかの商品を販売してもらおうかと考えていた。生産はこちらで行い販路は彼に任せる予定である。稼げれば彼は自分の地位を固める事が出来るし悪い話ではない筈だ。


 捌いてもらうように頼んだものは和花(のどか)錬金学(アルケミー)で作っている万能化粧水(エリクシール)と各種水薬(ポーション)の他に携帯糧食(レーション)として缶詰め(パーキタスタ)を売り出そうかと考えている。自動工場(ファブリカー)を使用しないで生産するので大量生産は出来ないけどそれなりに日持ちがして携帯性が優れているのはある程度稼げるようになった商人(マークアンテ)冒険者(エーベンターリア)にはありがたいはずだ。


 誰だって硬いだけのパンや塩っぱ過ぎる硬い干し肉(チャルケ)超硬乾酪(カービュアチーズ)ばかりでは飽きるだろう。


 その為に必要なモノを見繕い生産工場を建設し工員を用意してもらう。中原(セントルム)であれば缶詰め(パーキタスタ)くらいは世界の技術で作れると職人からお墨付きをもらっている。ただ数を生産するにはそれなりの投資が必要なので誰も手をつけなかったのだ。



 さて、これで僕らは遺跡(ダンジョン)探索に専念できる。アルマと文献を漁っていて候補とした場所である。以前に行ったことのある虚無の砂漠の東側に約5千年ほど前の魔法帝国時代の都市が眠っている……らしい。


 人選をどうしようかと悩んでいたら事務員(クリーク)がやってきて「若い冒険者(エーベンターリア)が面会希望なのですが……」と告げてきた。妙に歯切れが悪いので詳しく聞いてみると既に六度目の訪問であり何度も断っているのだとか。


 年齢は成人したてとの事で15歳くらいだとの事。

 仕事もせずに何をやっているのだかと思うが、大抵の若い冒険者(エーベンターリア)共同体(クラン)の恩恵にあずかり楽して稼ごうという気満々だ。一度断るとほとんど来ない。それが六度となると逆に会ってみたくなった。


 応接室エンプファングスロームに通すように伝える。

 さて、どんな猛者かねぇ。



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