表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
454/678

418話 

 ハーンとレルンと別れた後に事務所(ビューロー)へと行くと待っていましたと言わんばかりの満面の笑みを浮かべたメイザン司教(ビショップ)が近寄ってい来た。


「お待ちしてましたよ。高屋(たかや)さんには是非ともアレを譲っていただきたい」

「アレとは?」

「またまた~最近拾ってきたアレですよ」

 分かってるくせにと言わんばかりである。本来であれば彼がアレの存在を知るはずがない。魔法の契約書(コントラート)の隙をついた方法で誰かから情報を聞き出したのだろう。流石は元やり手の商人にして商業の神(マネイナ)司教(ビショップ)である。


「適正な価格で引き取っていただけるなら許可しますが……」

 そこで一度言葉を切る。

「アレの件はどこまで話が行ってます?」


 メイザン司教(ビショップ)の立ち位置は面倒で複数の組織に在籍している。どの組織の利益の為に動いているのだろうか?


「まだ私の胸の内に……。迂闊に洩らせるものでもないでしょう」

 そう述べるメイザン司教(ビショップ)表情(かお)は変化はない。そりゃすぐに表情(かお)に出るような商人(マークアンテ)は三流だ。


 交渉事は審議官(スタドトラット)のアルマがいる事で有利に進められていたが彼女が不在だと嘘か真か判断しにくいなぁ。

 商人は利益のために淀みなく嘘をつくがメイザン司教(ビショップ)は契約を重んじる商業の神(マネイナ)司教(ビショップ)でもある。


 ここは聖職者(クレリック)でしての彼を信じるとしよう。流石にアレを全部ハーンの玩具にするには勿体ない。


「ハーンに不用品を売却するように指示書を(したた)めますのであとはメイザン司教(ビショップ)の方で交渉してください」


 僕はそう告げると事務員(クリーク)から封筒と上質紙(かみ)先玉筆(ボールペン)を借りて(したた)める。


 先玉筆(ボールペン)を置き

綴る(コンポーズ)基本(ソーサー)第一階梯(ファルク)彩の位(ルリグ)輝き(リューシート)魔力(マーナ)筆跡(メーニス)刻印(スカルプターラエ)発動(ヴァルツ)。【魔術師の署名(マージ・サイン)】」

 素早く詠唱し指示を(したた)めた上質紙(かみ)に触れると勝手に僕の名前が記される。

 この【魔術師の署名(マージ・サイン)】は人体の固有の波長を記憶しているので偽造は不可能なのだ。魔術師(メイジ)にとっては実印に相当する。


 書面を再度確認し問題ないと判断した後に封筒に納めると封蠟(ラカー)共同体(クラン)印章(スティンピル)を押す。


「これをハーンに渡して指示に従うように伝えてください」

「では最大限高く売りつけてきます」

 そう言うとウキウキと事務所(ビューロー)を出ていった。うちの共同体(クラン)で得た商品を最優先で引き取る契約であるし大所帯になってしまった共同体(クラン)を運営するには資金(かね)がいる。


樹さん(ボス)。実は冒険者組合エーベンターリアギルドから大規模の指名依頼の話があるそうです」

 事務員(クリーク)の一人がそう言って書類を差し出す。


 受け取った後ざっと目を通すと巡回業務(パーティオトヨッタ)に人手が欲しいとの事だった。ただし詳細は書面では記せないとの事である。


 共同体(クラン)担当職員(オーサル・パーソナー)マクファイトさんに会いに行くか。健司(けんじ)が狙っているので同伴してもらおうかと思ったけど事務所(ビューロー)の窓から外の訓練風景を見た限りでは見当たらないので一人で行こうかと思う。



ブックマーク、評価、感想、誤字報告などありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ