表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
446/678

410話 鹵獲②

「何かあった?」

 そう問うものの何かあれば態々魔導歩騎(マギ・ファンタリア)の装備を換装させては来ないだろう。時々チートじみた勘とやらがすべてを見透かしているようで恐ろしく感じる時がある。

 操縦槽(ディポッド)開閉扉(ハッチ)が開き小首を傾げた瑞穂(みずほ)がこう言った。

「ハーンの代わり。どうせ好奇心に負けて(いつき)兄さんを置いて行ったと思ったけど、当たり?」


 確かに鹵獲は仕事ではなくハーンの趣味みたいなもんだ。彼の性格を理解していれば分かりそうではある。


「そうそう。困ったもんだよ。おかげで周囲の情報が分からなくなってね。戻ろうかと思ったんだ。助かったよ」

 礼を言うと魔導歩騎(マギ・ファンタリア)は片膝をつき腕に乗るように示してくる。

 右腕に乗ると操縦槽(ディポッド)のあたりまで持ち上げられて板状器具(タブレット)端末を見せてくれる。


 この騎体は早期警戒管制装備プラエナンティア・インピーリウムをつけたタイプで様々な探知機(インベンター)を装備しており周囲100サーグ(約400km)の状況をほぼリアルタイムで表示してくれる。

 もっとも様々な探知機(インベンター)で重量は増加し戦闘機動コンバット・マニューバーは無理との事だけど。

 余談であるがこの騎体が設計された時代は対空火器がチートじみて優秀で音速の数倍程度の速度でしか飛べない航空機や回転翼機は廃れていたという。


 板状器具(タブレット)端末の表示を見るにハーンは目標に到達したようだ。倒れたと思しき三騎に動きがないところを見ると騎士(キャバリエライダー)は気絶しているのだろう。まさかショック死してないよね?


 北西からくるやつはもうすぐここを通過する。言っている側から予想通りのモノが僕らの前を走り抜けていった。僕らの故郷たる日本(やまと)帝国自衛軍で採用している65式高機動車であった。

 その高機動車は程なくして急制動をかけ止まるとバックして戻ってきた。


高屋(たかや)!」

 そう声をかけてきたのは助手席に乗る人物であり元の世界に戻ったはずの九重(ここのえ) 宗司(そうし)であった。精霊使い(シャーマン)でもある彼であれば赤外線視力(インフラビジョン)にて普通の者には見えない光景も見えた故に判別がついたのであろう。


 僕も精霊魔法(バイムマジカ)に適性ある筈なんだけど全然ダメなんだよねぇ……羨ましい。


 ▲△▲△▲△▲△▲△▲



 互いの近況を語り合い状況を整理するとこうだ。

 黒い獣が本陣の【次元門ディメンジョン・ゲート】に飛び込んだ後に門が閉じてしまって何時までたっても復旧しない事で混乱が生じ逃亡者が出始めた。


 それでも高屋(たかや)家の一派が数百人おり、それを中心にまとまった部隊が屍人(ソンビー)と黒い獣に追われるように東へと逃亡を続けていたが食料が乏しくなり地理や言語に明るい九重(ここのえ)らが買い出しに出たのだという。

 お金はどうしたのかと言えば廃村から拝借したとの事だ。彼らも自分たちの持ち込んだ兵器などを迂闊に見せびらかせば危険だと判断で来る程度にはまだ冷静なようで安心した。


 もっとも弾薬はほぼ残されておらず燃料なしで動けるといっても整備(メンテナンス)なしではどこまで使えるかわからない。

 実際に共食い整備で部品を確保しており動けなくなった車体は爆破したという。


 因みに虎の子の大型回転翼機二機は負傷者たちと一緒にここから60サーグ(約240km)ほど離れた廃村に置いてきたそうだ。


 九重(ここのえ)らは食料などを購入後にこの高機動車で十字路都市テントスまで僕らに援助を求めるつもりであったという。



[高屋流剣術うち]の門下が多いのか……。腕は立つだろうし保護の対価でこちらでの生活を保障すれば取り込めるかな?


 瑞穂(みずほ)の方を見ると察したのか彼女は何度か頷く。

 決めた!

 そう思い僕は提案をした。


「食料品や医療品は僕が提供するよ。代わりに僕に協力して欲しい」



ブックマーク、評価、感想、誤字報告などありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ