405話 艦内確認業務
2023-01-28 魔導歩騎の全高が間違っているので訂正
ハーンの先導で白鯨級潜航艦の内部を廻る。この大型の次元潜航艦は外観からは判別できないが三胴構造となっており両サイドは水流噴孔推進機関や格納式武装および水中活動用装備の艦内格納庫兼開閉扉などの区画。中央は艦内格納庫や万能素子転換炉や乗員区画などになる。
艤装の際に側面の格納式武装は外させたのでまずは側面艦艇部の水中用装備の確認だ。
左右で装備は同じとの事で右舷側だけ見せてもらう事になった。
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「これって魔導歩騎と――――」
「魔導戦闘車両と海豚級潜航艇っす」
右舷艦内格納庫に納められていたそれらは水中活動可能な選択装備を装備した全高1サートほどの魔導歩騎と形状だけ見ると水陸両用装甲兵員輸送車だ。こちらでは魔導戦闘車両と呼ばれる。無限軌道というのが珍しい。てっきり魔導客車の様に浮遊式かと思ったのだ。なぜ無限軌道かというと装甲を施し武装した人を大量に乗せ水陸移動するには万能素子転換炉の出力が低すぎるとの事だ。2.5サートほどの全長だが重量は重量級の魔導騎士を上回る32グランとの事だ。
外装板に関しては重弩砲や重射石砲の一撃に耐えられる程度にはあるらしい。最大で一個小隊か荷馬車二台分の荷物が載せられるとの事である。
魔導歩騎の性能も僕らが普段運用しているものより高性能で10騎、魔導戦闘車両と海豚級潜航艇がそれぞれ2騎が左舷にも置いてあるという。
お前は一体何と戦う気だと突っ込みそうになったけど今度行く予定の西方は巨獣の巣窟との事なのでこれくらいの装備は必須かもしれない……自分を納得させた。
そしてもう一騎。
海豚級潜航艇だ。海豚と名がついているが形状的には鯱に近い。全長は1.5サートで単座型の水中用魔動騎と呼ばれるモノだそうだ。武装は外しているそうだが本来であれば頭部に衝角が装備されるそうだ。
ハーンの話では今回は配備を見送ったが設計図には海竜級潜航艇があったそうだ。
▲△▲△▲△▲△▲△▲
空間拡張の影響で意外と歩く。総面積は帝都ドーム一個分相当であり艦内移動用に何か用意したいところだ。そんな話をハーンとしつつ中央区画の先端まで移動する。
艦首には二つの装備がある。一つは次元音響探針装置であり、もうひとつは|艦首万能素子爆縮放射槌だ。
|艦首万能素子爆縮放射槌に関しては判りやすい例えはよしてはMAP兵器かアニメのゲロビだろうか?
もっともハーンの話だと設計された頃に比して現在の万能素子は希薄なので性能を発揮できるとは思えないとの事であった。一応封印はしてあるので放射は出来ない。
次は魚雷発射管室と音響解析室である。魚雷は試験用の次元喰いと呼ばれるモノが6本あるのみである。最大で120本搭載可能との事だ。別に戦争する気はないので埋まることもないだろう。
次は艦橋の真下にある戦闘発令所だ。大半は教育済みの複数の脳核ユニットで処理できるそうだ。極端な話だけど非常時は艦長ひとり動かせるという話だ。
航法室には定番の[神の視点]が鎮座しほぼリアルタイムで地上の動静が見れる。ただし現在は亜空間航行中なので真っ黒だ。ここは会議室も兼ねる。
居住区画に関しては上級船員は2スクーナの個室が割り当てられる。中級船員及び下級船員は1スクーナの二人部屋となる。
仕様書と変更した点は食堂や娯楽設備を階級分けしないで統一したくらいだそうだ。
乗員数は最大で200名を想定している。
娯楽設備は池水、大浴場、遊戯室、鍛錬室、映写室、仮想操縦訓練装置などが完備してあるので長時間の潜航でも暇は潰せそうだ。ちなみに図書室はないが各員に板状器具端末が貸与され文字情報などはそこから閲覧可能である。二万年前の娯楽小説などもあるそうだ。
もっとも読書と映画鑑賞に関しては下位古代語が必須となる。
中央構造物の後ろにある10連垂直発射装置に関しては一番に試験用として緊急展開飛翔体が積んである。
これが何かって?
弾頭部に空挺装備の三騎の魔導歩騎を搭載した潜水艦発射弾道飛翔体である。
ロボット物の作品にありそうな装備ではあるがどの世界でも考える事は一緒なのだろう。
万能素子転換炉、圧縮万能素子貯蓄槽、がある動力部、空気や水の生成、排水処理を行う生命維持装置室を見学して残りは艦内格納庫だけとなった。
▲△▲△▲△▲△▲△▲
「予想はしていたけど……」
艦内格納庫の中には予想通りのモノが鎮座していた。そう魔導騎士、当時の名称だと巨人騎士だ。
それも三騎。すべて一次装甲のみの素体状態である。騎体サイズが中量級から重量級の中間くらいで頭部が烏帽子型の縦長の頭部が特徴だ。
ハーンの解説では脳核ユニットの他に補助脳核ユニットを積んでいるせいだという。
操縦槽の整備が追いついておらず戦闘機動は無理との事だ。
そしてもう一騎変ったものが鎮座していた。
パッと見は全長3サートほどの大型の三胴二節の魔導客車かと思ったのだけど、ハーンの説明だと収納形態の多脚戦車だという。
三対六脚と一対二腕の蜘蛛っぽい形状になるそうだ。先頭の区画が操縦槽で真ん中が動力部だ。上部に円筒基部があり砲塔が乗っかている。左右に五連発煙弾発射機があり主砲として対巨獣長尺加速投射器を巨大化したようなモノが砲身を二つ折りした状態で鎮座している。
後部の区画は荷台だそうだ。
一体ハーンは何と戦うつもり……どうせ知的好奇心でとりあえず作ってみたとかそんなところだろう。
広大な艦内格納庫には他には何もなく時間があれば色々と製造したいと言っていたが暫くは潜水母艦には戻らないとだけ伝えておく。
大雑把に艦内の案内も終わった頃にタイミングよく僕の腹が鳴った。それを聞いたハーンがニヤリと、
「自動調理器を体験しましょう」
と言ったのだ。
ブックマーク、評価、感想、誤字報告などありがとうございます。
なぜ週一投稿すらできないのだ……。




