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402話 予期せぬ来客たち

 茶番の決闘があった翌日からは訓練と事務処理と来客対応であっという間に時間が過ぎていった。気が付けば春の中月(5月頃)中週(中旬)の初めである。

 そのあいだに来客が三件あり何れの客人も共同体(クラン)に加入する事になった。

 まず最初に訪れたのは学術都市サンサーラで活動するフリューゲル高導師(アルタ・グル)率いる暑苦しい集団だ。

 因みに見た目の話である。

 全員が半サート(約2m)近い筋骨隆々な体躯の持ち主だ。導師(グル)級の魔術師(メイジ)であり[金剛闘流]と[雷迅棍術流]と呼ばれる武技(グウェラー・アーツ)魔戦技(ストラグル・アーツ)の使い手たちだ。

 彼らには若手集団への魔戦技(ストラグル・アーツ)の稽古と希望者には武技(グウェラー・アーツ)魔術(ギャルダー)や各種専門知識を教えてもらうことになる。

 彼らには美優(みゆう)の後見人としてお願いしていたのだけど師匠の願いによりうちの共同体(クラン)に在籍する事になったのだ。

 そして肝心の美優(みゆう)正魔術師(メイジ)となったことで魔術師組合(メイジギルド)の準職員待遇となり自活可能となったので彼女の意思で残る事となったそうだ。

 ただ東方(オリエント)情勢が不安定であり誰かを派遣すべきかと考える。様々な事を考えると(カダー)なみに早く長距離移動が出来て乗り手に戦闘力が必要とだと判断してペンタズ氏族(クレーネン)の若き女戦士ミューリア・ベルアートハルカラ率いる砂漠の民らに傭兵(マーセナリー)扱いで東方(オリエント)に行ってもらうことにした。


 次の来客は階段都市モボルグから僕らの共同体(クラン)の噂を聞きつけてやってきた地霊族(ドワーフ)の集団であった。

 大規模共同体(クラン)であれば雑務として様々な職人が必要になるであろうと態々売り込みに来たのである。

 その数48人。

 地霊族(ドワーフ)は何らかの職人として一人前にならないと成人として認められない。そしてここに来た地霊族(ドワーフ)らはすべて40代とのことだ。

 地霊族(ドワーフ)に限らず職人界隈は工房(ワークスタット)の数を抑制するために一人前の技術があっても簡単に店舗を持つ事が出来ない。彼らは下働きで燻っていたとの事だ。

 売り込みに来ただけあって様々な職人(クラフトマン)がおり恐らく外注しないで済ませられそうである。土地の空きスペースに彼らの工房(ワークスタット)住居(アシンパイカ)の建造依頼をマネイナ商会(ファーム)というか商業の神(マネイナ)神殿から派遣されたメイザン司教(ビショップ)を通して依頼した。


 その次の来客は個人であった。借金奴隷(デビタム・スクラブ)として自分を買って欲しいという触れ込みでやってきた三対の角に黒い鱗の竜人族(リルドラケン)であった。昔のトラウマが蘇りそうになったのは内緒だ。

 事情を聴いたところ集落(ヴィレッジ)での食糧危機の際に(トゥル)族の商人と名乗る人物との交渉で足元を見られたのか買い叩かれたとの事で予算が足りず集落(ヴィレッジ)一番の戦士である自分が戦闘奴隷(スクラクト・スクラブ)として売ることで金に換えようと思って誰にも告げずにここに来たそうだ。

 彼の言い値で契約し契約期間は特に定めない事とした。働いて自分を買い戻せという事である。とりあえず彼が魔戦技(ストラグル・アーツ)と[功鱗闘術]の使い手であることを確認し当面は健司(けんじ)や他にも大型武器を使用する者への指導を頼むことにした。

 不服そうであったが何れ出番はあると宥めておいた。彼の巨躯では僕らの普段の運搬業務(トラスポーティ)には向かないし出番は迷宮(アトラクション)攻略だろう。奴隷として売り込む際に装備品を売却しており武具がないので防具の作成依頼を出し武器に関してはいいタイミングで白き王(竜也)の落し物がいくつかあるのでその中から好きなものを使ってもらうことにした。


 若手の冒険者(エーベンターリア)がうちの知名度に寄生をしようと加入させろとやってくるのを適当に処理しつつ暇が出来たのですっかり忘れていたあいつのところへと行くことにした。


 ハーンの元へである。

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