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幕間-22

今回はやや短め

「これで目撃者は始末した」


 先ほどまでオレらが居た島は跡形もなく消し飛んだ。隣にいるこの男が召喚した隕石によってだ。普通に考えればあの男は死んでいるだろう。だがあいつがあれで死んだとは思えない。生きててもらわねば困る。そうでなければ一族の安寧の地を紹介してもらえないのだ。


 オレの中では既に使い潰す気でいる結社(ソシエティー)を切ってあの男に一族の未来をかけようかと考えている。


 これまでに17人の同胞を失った。オレら闇森霊族(ダークエルフ)(トゥル)族のように子宝に恵まれない。長寿の代償というべきか(トゥル)族と比較して性欲が薄いものが多い。結ばれるまでに(トゥル)族の世代で三世代(約90年)とか普通である。


「貴重な生体サンプルの確保、ご苦労であった」

 オレが思案に耽っていると隣に居た男はそう言うと振り返り部下に何やら指示を出す。残念ながらオレには彼らが日常的に使う下位古代語(ロー・エンシェント)はあまり理解できない。

「約束通りお前の女は返そう。今後とも我らの為に働いてもらうぞ」

 結社(ソシエティー)の幹部たる男と部下が去りひとりの女が残された。


「アドリアン……ごめんなさい」

 残された女は俺の義妹にして妻である半闇森霊族(ハーフダークエルフ)のマリエルだ。オレらは彼女を含む一族の女らを人質に取られパシらされている。本来であれば彼女も仕事に参加する予定であった。とある理由で人質となったのだ。


「気にするな。安住の地の目途は立った」

「本当ですか?」

「信用は判らんが信頼できる男と約束した。あとは我らが準備するだけだ。だが――――」

 俺は視線を湖へと向ける。生きてるんだよな? 



「マリエル。ひとつ頼みがある」

「なんでしょう?」

「手紙を(したた)めるので十字路都市テントスを拠点とするタカヤという男に確実に渡して欲しい」


「タカヤ……あの(トゥル)族の?」

「そうだ」


 これから一族を囲っている結社(ソシエティー)のアジトである迷宮(アトラクション)から連れ出さなければならない。彼らの多くは若手と言われるオレよりも若く未熟だ。そして脱出には恐らく戦闘が発生する。そこへマリエルを同伴させるわけにはいかないのだ。次世代をその身に宿した彼女は……。



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